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マラリア治療の新薬の登場を歓迎する

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マラリア国境なき医師団(MSF)は、DNDi(顧みられない病気のためのイニシアティブ:Drugs for Neglected Diseases initiative)とサノフィ・アベンティス社のマラリアの新規治療薬に関する共同声明を歓迎する。アーテスネート(artesunate:アルテミシニンの誘導体)とアモジアキン(amodiaquine)を一錠中に含んだこの薬剤は、2006年には患者の手に届くだろう。アルテミシニンと他の抗マラリア薬を併用する治療法、すなわちACTは、マラリアに対する最も効果的な治療法である。


ACTのこの新処方は特許が存在せず、また患者が服用しやすく低価格であることから、マラリア患者の治療を一歩前進させるだろう。これは、MSFの主導により2003年に設立された非営利財団のDNDiが成就させた最初のプロジェクトとなる。この新処方はとくに次の3つの理由から期待が寄せられる。(引用:国境なき医師団必須医薬品キャンペーンニュース


マラリアの特効薬といえばキニーネというアルカロイドが有名ですが、キニーネに対する耐性を持つ種も多いことから、新たな薬の開発が望まれています。


アルテミシニンartemisinin) とその誘導体も古くからマラリアの特効薬として用いられています。この物質は最近抗がん剤としても注目されています。共通した構造にペルオキシドを有しており、これが生体内の鉄イオンにより開裂しラジカルを発生することで、細胞死を誘導します。


これらの薬は特許がなくどの製薬会社でも製造できる、服用が簡単、さらに値段が安い(1回の治療につき成人で1米ドル、小児で0.5米ドル)という利点があります。


ただ、それでも薬の供給が間に合わず、効果的なマラリア治療を受けられないために、毎日3千人もの患者が命を落としています

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再び猛威をふるいはじめた恐怖の疫病マラリア。医学者、製薬会社、そして行政。先進国のマラリアビジネスの謎を暴き、病禍を拡大せずにはおかない現代社会の構造に鋭くメスを入れる、迫真のメディカル・ノンフィクション。

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マラリアとは?

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Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

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