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セントラル硝子、工程ノウハウも発明報奨制度対象に

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パテントセントラル硝子は社員に対する発明報奨制度を刷新した。報奨の対象を特許登録した技術だけでなく、コストダウンにつながる工程上のノウハウなどにも広げたのが特徴。報奨金額の上限も撤廃。制度の改定で技術者の士気向上を目指す。(引用:日本経済新聞)


98年の武田薬品工業の最高5,000万円の発明報奨制度の見直しから中村修二さんの青色発光ダイオード訴訟のなどの発明に対する訴訟が頻繁に行われている間、現在までそれらの影響もあるのか、時代の流れなのか多くの企業が発明報奨制度を見直しています。一方、今年の4月に改定された職務発明制度には契約、勤務規則その他の定めにおいて職務発明に係る対価について定める場合に、その定めたところにより対価を支払うことが不合理と認められない限り、その対価がそのまま「相当の対価」として認められることとなります。今回はここ数年の化学系、製薬系企業関連に絞っていくつかの企業の発明報奨制度をみてみましょう。

第一製薬(改定2001年1月)

改定後:最大5,000万円の報奨金を支払う

関西ペイント(改定2002年10月)

改定後:

・自社での実績報償金について、年間売上高と報償金の算出方法を明記。
・他社にライセンスした発明についても、別途算出方法を明記。 
・特別に著しく会社業績に寄与した特許の発明者に対しては、上記ルールに拘らず別途相応の金額を査定し、特別の報償金を支払う。

新日本石油(改定2003年5月)

改定前:特許出願報奨が1件につき1万円のみ。

改定後:特許出願報奨が1件につき1万円。新たに登録されたら3万円、実績報奨として特許貢献額X2%で最高1億円の報奨となりました。

クレハ化学(改定2004年4月)

改定後:発明に関してランク付けした後

Aランク:営業利益またはライセンス収入(譲渡価格を含む)の0.1%

Bランク:営業利益またはライセンス収入(譲渡価格を含む)の0.03%

セントラル硝子(2005年5月)

改定後:化学合成の工程ノウハウに関しても報奨制度を適用。他社の追随を防ぐため特許をあえて登録していない合成技術なども含まれる。3年間で営業利益3億円以上が対象。報奨額は最大で利益貢献額の6%。支給額には上限を設けない。

その他にも多くの企業が発明報奨制度を改定しています。これによって人間関係など見えないいろいろな問題もあるようですが、目標ができるのはよいことですね。

関連書籍


職務発明の理論と実務―「相当の対価」とインセンティブの検証と指針


図解入門ビジネス 知財評価の基本と仕組みがよーくわかる本―2005年4月施行の新職務発明制度に対応

続発する「発明の対価」請求訴訟。いま、知的財産の価値を経済的に評価する手法が求められています。本書は、知的財産ビジネスの最新動向から、知的財産会計、知的財産IR、知的財産担保融資、知的財産の証券化や信託、知的財産の価値評価方法まで、豊富な図や最新の実例とともにやさしく解説しています。


職務発明

4月の改正法施行で,高額の対価請求はできなくなるのか,裁判所はひきつづき対価を実体的に審査するのか。職務発明規程が合理的と判断されるための要件は。対価の性質はそもそも何か。職務発明をめぐるこうした重要問題を,それぞれの研究領域の第一人者が解き明かす。

関連リンク

味の素と元社員が和解 人工甘味料の特許訴訟

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Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

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