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日本人化学者インタビュー

第70回「ケイ素はなぜ生体組織に必要なのか?」城﨑由紀准教授

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第70回目の研究者インタビューです! 今回は第52回ケムステVシンポ「生体関連セラミックス科学が切り拓く次世代型材料機能」の講演者の一人、九州工業大学の城﨑由紀(しろさき ゆき)准教授にお願いしました。

城崎先生は、生体セラミックス材料を医用に活かす研究をされています。Vシンポで研究のお話をうかがえるのが一層楽しみになるインタビューをいただけました!
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それではインタビューをどうぞご覧ください!

Q. あなたが化学者になった理由は?

今でも自身を化学者ととらえてよいのかあやしいですが,身体を材料で修復するということに興味を持ちこの世界に足を踏み入れました。はっきりと分かっていない材料―生物間の現象を材料構造の点から明らかにしたいという気持ちで研究を続けて今に至ります。

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

精巧にデザインされた物を作ることや,それに伴う知識・技術を極めることが好きなので,縫製技術者やコスチューム(ジュエリー)製作者になりたいです。趣味としては制作を継続しています。

Q. 現在、どんな研究をしていますか?また、どのように展開していきたいですか?

現在の私が最も興味を持っていることは,ケイ素を含む化合物が,どのように私たちの身体の細胞機能に寄与するのかを明らかにすることです。たった2 g程度しか含まれていないケイ素がなぜ身体にとって必要なのか,組織を構築するどのような細胞にも同じように寄与するのか,ケイ素を含んでいればどのような化合物でもいいのかなど,たくさんの疑問を持っています。希薄溶液中のケイ素化合物の構造を特定するのに苦労していますが地道に取り組んでいます。ケイ素を含む化合物の構造と細胞応答性との関係を明らかにし,組織再生足場材料の材料設計に活かそうと考えています。

Q.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

フローレンス・ナイチンゲール,ヘレン・ケラー,マリ・キュリーです。子供の頃に伝記を読み,その生き方に大きく刺激を受け,強い信念を持った女性の姿に憧れていました。

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

作製方法がある程度確立している材料は学生に任せて,新しい研究や細胞評価が難しい材料に関しては自身で実験しています。新しい材料作製や細胞培養評価などは,実際に手を動かしてその場で確認しながら考えた方が気がつくことが多いので,ストレスを感じません。

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

サバイバル本。どうやって生き延びるかの日々が続くと思うので,砂漠という過酷な状況で生きる術のヒントを得られる本であればなんでも。

Q.次にインタビューをして欲しい人を紹介してください。

東京大学,星野歩子先生。海外での研究経験も含めて,国際的に活躍したい学生にとって刺激を受けるお話が聞けると思います。

spectol21

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ニューヨークでポスドクやってました。今は旧帝大JKJ。専門は超高速レーザー分光で、分子集合体の電子ダイナミクスや、有機固体と無機固体の境界、化学反応の実時間観測に特に興味を持っています。

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