[スポンサーリンク]

海外化学者インタビュー

第154回―「ランタノイド発光化学の生物・材料応用」Jean-Claude Bünzli教授

[スポンサーリンク]

第154回の海外化学者インタビューは、ジャン=クロード・ブンズリ名誉教授です。スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の化学工学研究所と、高麗大学のWCU Center for Next Generation Photovoltaic Systemsに所属しています。ランタノイドイオンの発光に関する研究を行い、癌細胞を特異的に検出するためのバイオプローブや、太陽光発電および通信用材料の開発に重点を置いています。それではインタビューをどうぞ。

Q. あなたが化学者になった理由は?

生物の世界や日常生活の中で、しばしば太陽光の影響を受けて物質が変化する様子が見られ、その魔法に早くから情熱を傾けていました。一見してより厳密な科学である物理学に進むことにはためらいがありましたが、私はその境界に身を置くことで曖昧さを解消し、後に生命科学の次元を加えました。

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

結局のところ化学とあまり変わらない仕事であり、実践するのが好きなので料理人になるか。とても滑らかでインスピレーションを与え、感情や熱意をうまく伝え、問題に立ち向かう(そして解決する)気分を強化できる音楽をとって指揮者になるか、という厳しい選択を迫られます。

Q. 現在取り組んでいることは何ですか?そしてそれをどう展開させたいですか?

2つの研究機関に属している私には2つの希望があります。1つ目は、EPFLで最近開発されたバイオプローブが、がん細胞を迅速かつ安価に検出するための真のツールとなること。もう1つは、ランタノイドによって光電変換素子の改良に成功することです。

Q.あなたがもし、歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

オペラ『椿姫』の野外公演を行っている時のジュゼッペ・ヴェルディです。たとえば2年前にチューリッヒ駅の構内で行われたときのように。ロマンティックな音楽が好きなので、この作品にインスピレーションを与えた小説版『椿姫』も大好きですし、もしマルク・シャガールを招待していただけるのであれば、とても嬉しいですね。

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

物理的な無機化学者だからこそ、簡単にできることがあります。2009年のクリスマスから新年にかけて、一連のデンドリマー型エルビウム錯体の発光スペクトルと量子収率を測定しました。また、2010年7月には、韓国に引っ越してきたばかりの分光蛍光光度計の装置機能を決めました。

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

アルバムは、ドヴォルザークの交響曲『新世界より』、本はベルナール・ウェルベルの『蟻』3部作、『相対的知識と絶対的知識の百科事典』などがあれば、生き延びることができるかもしれません。

Q.「Reactions」でインタビューしてほしい化学者と、その理由を教えてください。

北京大学のChunhua Yanです。彼は中国の若手世代の科学者を体現しているだけでなく、ランタノイドのナノ材料、特にナノ蛍光体、ナノバイオプローブ、アップコンバージョンナノ粒子など、将来性のある分野の研究や仕事にとても熱心に取り組んでいます。

 

原文:Reactions – Jean-Claude Bünzli

※このインタビューは2011年5月6日に公開されました。

cosine

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。現在国立大学教員として勤務中。専門は有機合成化学、主に触媒開発研究。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 第六回 電子回路を合成するー寺尾潤准教授
  2. 第48回「分子の光応答に基づく新現象・新機能の創出」森本 正和 …
  3. 第145回―「ランタニド・アクチニド化合物の合成と分光学研究」C…
  4. 第118回―「糖鎖のケミカルバイオロジーを追究する」Caroly…
  5. 第41回―「クロム錯体のユニークな触媒活性と反応性を解明する」K…
  6. 第85回―「オープン・サイエンス潮流の推進」Cameron Ne…
  7. 第39回「発光ナノ粒子を用いる生物イメージング」Frank va…
  8. 第九回 タンパク質に新たな付加価値を-Tom Muir教授

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 三枝・伊藤 インドール合成 Saegusa-Ito Indole Synthesis
  2. タンパクの骨格を改変する、新たなスプライシング機構の発見
  3. (-)-Calycanthine, (+)-Chimonanthine,(+)-Folicanthineの全合成
  4. 第六回ケムステVプレミアレクチャー「有機イオン対の分子設計に基づく触媒機能の創出」
  5. アブシジン酸(abscisic acid; ABA)
  6. 大学院生のつぶやき:第5回HOPEミーティングに参加してきました
  7. 3級C-H結合選択的な触媒的不斉カルベン挿入反応
  8. 有機合成化学協会誌2017年7月号:有機ヘテロ化合物・タンパク質作用面認識分子・Lossen転位・複素環合成
  9. モリブデンのチカラでニトロ化合物から二級アミンをつくる
  10. 第13回 次世代につながる新たな「知」を創造するー相田卓三教授

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2021年6月
« 5月   7月 »
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

注目情報

注目情報

最新記事

有機合成化学協会誌2022年1月号:無保護ケチミン・高周期典型金属・フラビン触媒・機能性ペプチド・人工核酸・脂質様材料

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2022年1月号がオンライン公開されました。本…

第167回―「バイオ原料の活用を目指した重合法の開発」John Spevacek博士

第167回の海外化学者インタビューは、ジョン・スペヴァセック博士です。Aspen Research社…

繊維強化プラスチックの耐衝撃性を凌ぐゴム材料を開発

名古屋大学大学院工学研究科有機・高分子化学専攻の 野呂 篤史講師らの研究グループは、日本ゼオンと共同…

反応化学の活躍できる場を広げたい!【ケムステ×Hey!Labo 糖化学ノックインインタビュー②】

2021年度科学研究費助成事業 学術変革領域研究(B)に採択された『糖鎖ケミカルノックインが拓く膜動…

UiO-66: 堅牢なジルコニウムクラスターの面心立方格子

UiO-66 は六核ジルコニウムオキシクラスターを SBU に持ち、高い熱安定性 · 化学安定性を示…

危ない試薬・面倒な試薬の便利な代替品

実験室レベルでは、未だに危険な試薬を扱わざるを得ない場合も多いかと思います。tert…

赤外線の化学利用:近赤外からテラヘルツまで

(さらに…)…

【誤解してない?】4s軌道はいつも3d軌道より低いわけではない

3d 遷移金属は、多くが (3d)n(4s)2 という中途半端に 3d 軌道が埋まったまま 4s 軌…

第六回ケムステVプレミアレクチャー「有機イオン対の分子設計に基づく触媒機能の創出」

新型コロナ感染者数が爆増し、春の学会がまたほとんどオンラインになりました。残念で…

生体医用イメージングを志向した第二近赤外光(NIR-II)色素:③その他の材料

バイオイメージングにおけるの先端領域の一つである「第二近赤外光(NIR-II)色素」についての総説を…

Chem-Station Twitter

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP