[スポンサーリンク]

身のまわりの分子

テトロドトキシン Tetrodotoxin

[スポンサーリンク]

テトロドトキシン(tetrodotoxin:TTX)は、海産性毒物の一種である。フグ毒の主成分として知られている。

歴史・用途

東京帝国大学の田原良純教授によってフグから抽出され、フグの学名(Tetradontidae)と毒(Toxin)からTetrodotoxin(TTXと略称される)と名付けられました。

その毒性は青酸カリの数百倍以上とされる猛毒です。神経細胞などに存在するナトリウムチャネルに強く結合し、働きを阻害することで麻痺を引き起こします。

実験室内で養殖したフグは無毒であり、またフグ餌の海藻に付着する細菌からTTXが検出されるという事実から、「TTXは生物濃縮によってフグの体内に蓄積する」という説が受け入れられています。フグ自身は、蓄積したTTXを捕食を免れるための防御物質として活用しているようです。他方、フグはどうして自らのTTXで中毒しないのか、という疑問についての回答は、フグの持つナトリウムチャネルの構造が他の生物と違っているためTTXが結合しないから、とされています。

フグ毒化学の発展には単離(田原良純)・構造決定(平田義正・津田恭介)・化学合成(岸義人・磯部稔)いずれの分野でも、日本人化学者が大きな貢献をしています。これについては数々のドラマが知られていますので、参考文献を是非ご参照ください。

分子構造

関連書籍

関連リンク

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. トリクロロアニソール (2,4,6-trichloroaniso…
  2. チエナマイシン /thienamycin
  3. シアノスター Cyanostar
  4. シクロクラビン cycloclavine
  5. カルボラン carborane
  6. ペルフルオロデカリン (perfluorodecalin)
  7. プロリン ぷろりん proline
  8. ペンタシクロアナモキシ酸 pentacycloanamoxic…

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 第九回ケムステVシンポジウム「サイコミ夏祭り」を開催します!
  2. 米国、カナダにおけるシェール・ガスによるLNGプロジェクトの事業機会【終了】
  3. 世界で初めて有機半導体の”伝導帯バンド構造”の測定に成功!
  4. 構造化学の研究を先導する100万件のビッグデータ
  5. 最新プリント配線板技術ロードマップセミナー開催発表!
  6. 4-ベンゾイル安息香酸N-スクシンイミジル : N-Succinimidyl 4-Benzoylbenzoate
  7. パール・クノール ピロール合成 Paal-Knorr Pyrrole Synthesis
  8. ケムステニュース 化学企業のグローバル・トップ50が発表【2019年版】
  9. ムスカリン muscarine
  10. 笑う化学には福来たる

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2007年9月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

注目情報

最新記事

超塩基に匹敵する強塩基性をもつチタン酸バリウム酸窒化物の合成

第604回のスポットライトリサーチは、東京工業大学 元素戦略MDX研究センターの宮﨑 雅義(みやざぎ…

ニキビ治療薬の成分が発がん性物質に変化?検査会社が注意喚起

2024年3月7日、ブルームバーグ・ニュース及び Yahoo! ニュースに以下の…

ガラスのように透明で曲げられるエアロゲル ―高性能透明断熱材として期待―

第603回のスポットライトリサーチは、ティエムファクトリ株式会社の上岡 良太(うえおか りょうた)さ…

有機合成化学協会誌2024年3月号:遠隔位電子チューニング・含窒素芳香族化合物・ジベンゾクリセン・ロタキサン・近赤外光材料

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年3月号がオンライン公開されています。…

日本化学会 第104春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part3

日本化学会年会の付設展示会に出展する企業とのコラボです。第一弾・第二弾につづいて…

ペロブスカイト太陽電池の学理と技術: カーボンニュートラルを担う国産グリーンテクノロジー (CSJカレントレビュー: 48)

(さらに…)…

日本化学会 第104春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part2

前回の第一弾に続いて第二弾。日本化学会年会の付設展示会に出展する企業との…

CIPイノベーション共創プログラム「世界に躍進する創薬・バイオベンチャーの新たな戦略」

日本化学会第104春季年会(2024)で開催されるシンポジウムの一つに、CIPセッション「世界に躍進…

日本化学会 第104春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part1

今年も始まりました日本化学会春季年会。対面で復活して2年めですね。今年は…

マテリアルズ・インフォマティクスの推進成功事例 -なぜあの企業は最短でMI推進を成功させたのか?-

開催日:2024/03/21 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足の影…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP