[スポンサーリンク]

試薬

エチルマレイミド (N-ethylmaleimide)

[スポンサーリンク]

N-エチルマレイミドは、生化学実験などの場面で使われる試薬。

 

詳細

N-エチルマレイミド(N-ethylmaleimide)は、チオールと反応する性質があり、システイン残基を持つタンパク質の不活性化に使われます。
例えば、脱ユビキチン化酵素や、ある種のDNA合成酵素などです。
GREEN2013nem3.png
エチルマレイミドとチオールの反応
この他、エチルマレイミドが活躍した歴史上重要な例は、N-エチルマレイミド感受性因子(N-ethylmaleimide sensitive factor)として、取られてきたNSFタンパク質があります。このタンパク質は、小胞による細胞内物質輸送の制御で鍵を握る分子のひとつです。
NSFタンパク質と相互作用するタンパク質にSNAP(soluble NSF attachment protein)タンパク質があります。さらに、SNAPタンパク質の受け手としてSNARE(SNAP receptor)タンパク質があります。小胞に包まれて運ばれてきた物質は、小胞がやがて細胞膜と融合することで、細胞の外へと放出されます。例えば、神経伝達物質のようにです。このとき、どちらもスネアドラムの中にあるバネのようなかたちをした、小胞と細胞膜にあるSNAPタンパク質とSNAREタンパク質がお互いを認識し、からまりあうことで膜融合が促進されます。細胞膜以外にも、ゴルジ体やリソソームといった細胞内の膜区画でも同様です。NSFタンパク質は、アデノシン三リン酸(adenosine triphosphate; ATP)を加水分解しながら、からみあったSNAPタンパク質とSNAREタンパク質をほどくと考えられています。この仕組みは、SNARE説と呼ばれ、アメリカの生化学者であるジェームズ・ロスマンらが中心になって、明らかにされました。ジェームズ・ロスマンは2013年にノーベル生理学医学賞を受けています。

参考論文

[1] “A fusion protein required for vesicle-mediated transport in both mammalian cells and yeast.” Rothman JE et al. Nature 1989 DOI: 10.1038/339355a0

[2] “SNAP receptors implicated in vesicle targeting and fusion.”Rothman JE et al.Nature 1993 DOI: 10.1038/362318a0
Green

Green

投稿者の記事一覧

静岡で化学を教えています。よろしくお願いします。

関連記事

  1. ギンコライド ginkgolide
  2. ペルフルオロデカリン (perfluorodecalin)
  3. 酢酸フェニル水銀 (phenylmercuric acetate…
  4. シガトキシン /ciguatoxin
  5. パクリタキセル(タキソール) paclitaxel(TAXOL)…
  6. シラフルオフェン (silafluofen)
  7. フルエッギン Flueggine
  8. カーボンナノチューブ /carbon nanotube (CNT…

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 不斉配位子
  2. 三枝・伊藤酸化 Saegusa-Ito Oxidation
  3. 未踏の構造に魅せられて―ゲルセモキソニンの全合成
  4. 昇華の反対は?
  5. ロゼムンド・リンドセー ポルフィリン合成 Rothemund-Lindsey Porphyrin Synthesis
  6. 第六回 多孔質材料とナノサイエンス Mike Zaworotko教授
  7. 発想の逆転で糖鎖合成
  8. イグノーベル化学賞2018「汚れ洗浄剤としてヒトの唾液はどれほど有効か?」
  9. 芳香族カルボン酸をHAT触媒に応用する
  10. カブトガニの血液が人類を救う

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

天然物生合成経路および酵素反応機構の解析 –有機合成から生化学への挑戦–

ケムステ海外研究記の第 33 回はテキサス大学 Liu 研究室に留学されていた牛丸理一郎先生にお願い…

海外機関に訪問し、英語講演にチャレンジ!~③ いざ、機関訪問!~

海外学会のついでに近郊機関に訪問し、ディスカッションと英語講演にトライしてみよう!シリーズ記事です。…

サントリー生命科学研究者支援プログラム SunRiSE

サントリー生命科学財団は1月31日、生命科学分野の若手研究者に1人当たり研究費1千万円を5年間、計5…

コロナウイルスが免疫システムから逃れる方法(2)

前回の記事では、コロナウイルスの基礎知識とコロナウイルスが持つRNA分解酵素(EndoU)について述…

第79回―「高分子材料と流体の理論モデリング」Anna Balazs教授

第79回の海外化学者インタビューは、アンナ・バラズ教授です。ピッツバーグ大学 化学・石油工学科に在籍…

コロナウイルスが免疫システムから逃れる方法(1)

新型コロナウイルスによる感染症が、世界中で猛威を振るっています。この記事を書いている私も、大学の閉鎖…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP