[スポンサーリンク]

海外化学者インタビュー

第158回―「導電性・光学特性を備える超分子らせん材料の創製」Narcis Avarvari教授

[スポンサーリンク]

第158回の海外化学者インタビューは、ナルシス・アバーバリ教授です。フランス・アンジェ大学のLaboratory MOLTECH-Anjouに所属(現在CNRSディレクター)し、分子材料と配位化学を研究しています。それではインタビューをどうぞ(159回と順番が前後してしまいました)。

Q. あなたが化学者になった理由は?

子供の頃は科学全般に魅力を感じていましたが、初めて化学実験、特に化学火山(重クロム酸アンモニウムの分解)を見たときには、文字通り魅了され、化学者になりたいと思いました。また、中学時代の先生も素晴らしかったですね。私が化学で最も気に入っているのは、想像力と創造性が重要な役割を果たしていることで、おそらく他の「ハード」サイエンスよりも重要だと思います。

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

オペラ歌手になりたかったのですが、残念ながら(あるいは幸運にも・・・)その声が出ません。スポーツ、特にテニスや格闘技が好きなので、これらの分野の仕事に就きたいとも思っていました。しかしおそらくは、天体物理学者のような、他分野の科学を仕事にするのでしょうね。

Q. 現在取り組んでいることは何ですか?そしてそれをどう展開させたいですか?

現在進行中のプロジェクトの1つですが、導電性や光学特性を備えた超分子らせん状集合体の調製に興味を持っています。自己組織化プロセスの理解に加えて、この種の集合体を分子エレクトロニクスに利用することを最終目標に、らせんパターンの関数としての物理的特性の違いを実証することが主たる目的の一つです。

Q.あなたがもし、歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

とても独創的な質問ですね。少し考えさせて下さい。一般でいう歴史上の人物としては、史上最も注目すべき(そして美しい!)女性の一人である女王クレオパトラと夕食を共にしてみたいと思います。しかし、科学の世界に限定するなら、過去に有名だった錬金術師の誰かとであれば、きっととても面白いでしょう。

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

特に、ある配位子が金属に配位できるかどうか、ある化合物が簡単に結晶化できるかどうかなど、小さな実験をすることはよくあります。

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

持っていきたい本が、すでに読破済みなのが問題ですね。さておき、J.R.R.トールキンの『指輪物語』に一票を投じたいです(ただし、A.コーエンの『Belle du Seigneur』も僅差です)。

[amazonjs asin=”4566023826″ locale=”JP” title=”文庫 新版 指輪物語 全10巻セット (評論社文庫)”][amazonjs asin=”0140188711″ locale=”JP” title=”Belle du Seigneur (Penguin Twentieth Century Classics S.)”]

音楽アルバムでは、ピンク・フロイドの『The Wall』を選びます。

[amazonjs asin=”B00004CZIZ” locale=”JP” title=”Pink Floyd The Wall DVD Import”]

Q.「Reactions」でインタビューしてほしい化学者と、その理由を教えてください。

ルーマニアの優れた化学者であり、ブカレスト大学で働いているMarius Andruh氏にブログ上でインタビューしてほしいです。彼は、配位化学と結晶工学の分野で、非常にダイナミックかつ競争力のあるグループを作りあげました。

原文:Reactions – Narcis Avarvari

※このインタビューは2011年6月2日に公開されました。

 

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 第77回―「エネルギーと生物学に役立つ無機ナノ材料の創成」Cat…
  2. 第43回「はっ!」と気づいたときの喜びを味わい続けたい R…
  3. 第173回―「新たな蛍光色素が実現する生細胞イメージングと治療法…
  4. 第16回 教科書が変わる心躍る研究を目指すー野崎京子教授
  5. 第159回―「世界最大の自己組織化分子を作り上げる」佐藤宗太 特…
  6. 第20回 超分子から高分子へアプローチする ― Stuart R…
  7. 第117回―「感染症治療を志向したケミカルバイオロジー研究」Er…
  8. 第138回―「不斉反応の速度論研究からホモキラリティの起源に挑む…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 学術論文を書くときは句動詞に注意
  2. ノルゾアンタミンの全合成
  3. 学会ムラの真実!?
  4. 水溶性アクリルアミドモノマー
  5. 三核ホウ素触媒の創製からクリーンなアミド合成を実現
  6. ザンドマイヤー反応 Sandmeyer Reaction
  7. 乙卯研究所 2025年度下期 研究員募集
  8. 「赤チン」~ある水銀化合物の歴史~
  9. 武田、ビタミン原料事業から完全撤退
  10. 「脱芳香族的二重官能基修飾化反応の研究」ーイリノイ大学David Sarlah研より

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2021年8月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

注目情報

最新記事

【日産化学 27卒/Zoomウェビナー配信!】START your ChemiSTORY あなたの化学をさがす 研究職限定 キャリアマッチングLIVE

3日間で12領域の研究職社員がプレゼンテーション!日産化学の全研究領域を公開する、研…

hERG阻害 –致死性副作用をもたらす創薬の大敵–

創薬の臨床試験段階において、予期せぬ有害事象 (または副作用) の発生は、数十億円以…

久保田 浩司 Koji Kubota

久保田 浩司(Koji Kubota, 1989年4月2日-)は、日本の有機合成化学者である。北海道…

ACS Publications主催 創薬企業フォーラム開催のお知らせ Frontiers of Drug Discovery in Japan: ACS Industrial Forum 2025

日時2025年12月5日(金)13:00~17:45会場大阪大学産業科学研究所 管理棟 …

【太陽ホールディングス】新卒採用情報(2027卒)

■■求める人物像■■「大きな志と好奇心を持ちまだ見ぬ価値造像のために前進できる人…

欧米化学メーカーのR&D戦略について調査結果を発表

この程、TPCマーケティングリサーチ株式会社(本社=大阪市西区、代表取締役社長=松本竜馬)は、欧米化…

有馬温泉でラドン泉の放射線量を計算してみた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉は、日本の温泉で最も高い塩分濃度を持ち黄褐色を呈する金泉と二酸化炭素と放射性のラドンを含んだ…

アミンホウ素を「くっつける」・「つかう」 ~ポリフルオロアレーンの光触媒的C–Fホウ素化反応と鈴木・宮浦カップリングの開発~

第684回のスポットライトリサーチは、名古屋工業大学大学院工学研究科(中村研究室)安川直樹 助教と修…

第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」を開催します!

第56回ケムステVシンポの会告を致します。3年前(32回)・2年前(41回)・昨年(49回)…

骨粗鬆症を通じてみる薬の工夫

お久しぶりです。以前記事を挙げてから1年以上たってしまい、時間の進む速さに驚いていま…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP