[スポンサーリンク]

天然物

リコペン / Lycopene

[スポンサーリンク]

 

トマトやニンジン、柿、スイカ、果てはパパイヤまで、さまざまな植物に含まれる赤い色素、それがリコペンです。

このリコペンは、構造を見てもわかるとおり、脂溶性のカロテノイドです。そのため、トマトやニンジン、ケチャップなどを油とともに用いると、リコペンが油によく溶けるため油の色が赤~橙に変化します。

リコペンなどのカロテノイドは、高等な植物においてはイソペンテニル二リン酸から合成されるが、動物は合成できないため、植物から摂取する必要があります。

また、リコペンの色は、共役系の発色団によるものです。これは、カロテンなどにも共通します。この共役系がラジカル種に対して高い反応性を示すことが、強い抗酸化作用を持つことの理由です。そのため、トマトの色がついてしまった服の色を落としたいときには、日光にあてておくと良いと言われます。紫外線によって生じる微量のラジカル種によって共役系が失われていくためです。さらに、共役系が完全に失われれば色は消失しますが、付加反応が中途の段階で止まった場合には、黄色や緑など、さまざまな色を示します。そのため、リコペンやβ-カロテンを含む物質に臭素などを少しずつ加えていくと、黄色や緑などの鮮やかな色を作り出すことができます。

 

  • 参考資料

[1] カロテノイド – Wikipedia

[2] リコペン – Wikipedia

[3] カゴメ株式会社 > もっと知りたい トマトと野菜 > トマト大学 > 医学部

 

 

Avatar photo

chemaholic

投稿者の記事一覧

修士(化学教育)取得後、公立高校に勤務している高校教師です。わかりやすく!をモットーに、身近なところに潜むトピックに迫りたいと思っています。

関連記事

  1. シコニン
  2. Sulfane sulfur が生み出す超硫黄分子
  3. キセノン (xenon; Xe)
  4. ペリプラノン
  5. 酢酸ウラニル(VI) –意外なところから見つかる放射性物質–
  6. カンプトテシン /camptothecin
  7. シラフィン silaffin
  8. 化学者のためのエレクトロニクス講座~化合物半導体編

注目情報

ピックアップ記事

  1. 第32回 BMSコンファレンス(BMS2005)
  2. コルベ・シュミット反応 Kolbe-Schmitt Reaction
  3. LEGO ゲーム アプローチ
  4. 硫黄―炭素二重結合の直接ラジカル重合~さまざまなビニルポリマーに分解性などを付与~
  5. 今年も出ます!サイエンスアゴラ2014
  6. デュボア アミノ化反応 Du Bois Amination
  7. 国際化学オリンピック、日本の高校生4名「銀」獲得
  8. 第41回「合成化学で糖鎖の未知を切り拓く」安藤弘宗教授
  9. 【追悼企画】世のためになる有機合成化学ー松井正直教授
  10. 新たな要求に応えるために発展するフッ素樹脂の接着・接合技術

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2012年4月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  

注目情報

最新記事

アクリルアミド類のanti-Michael型付加反応の開発ーPd触媒による反応中間体の安定性が鍵―

第622回のスポットライトリサーチは、東京理科大学大学院理学研究科(松田研究室)修士2年の茂呂 諒太…

エントロピーを表す記号はなぜSなのか

Tshozoです。エントロピーの後日談が8年経っても一向に進んでないのは私が熱力学に向いてないことの…

AI解析プラットフォーム Multi-Sigmaとは?

Multi-Sigmaは少ないデータからAIによる予測、要因分析、最適化まで解析可能なプラットフォー…

【11/20~22】第41回メディシナルケミストリーシンポジウム@京都

概要メディシナルケミストリーシンポジウムは、日本の創薬力の向上或いは関連研究分野…

有機電解合成のはなし ~アンモニア常温常圧合成のキー技術~

(出典:燃料アンモニアサプライチェーンの構築 | NEDO グリーンイノベーション基金)Ts…

光触媒でエステルを多電子還元する

第621回のスポットライトリサーチは、分子科学研究所 生命・錯体分子科学研究領域(魚住グループ)にて…

ケムステSlackが開設5周年を迎えました!

日本初の化学専用オープンコミュニティとして発足した「ケムステSlack」が、めで…

人事・DX推進のご担当者の方へ〜研究開発でDXを進めるには

開催日:2024/07/24 申込みはこちら■開催概要新たな技術が生まれ続けるVUCAな…

酵素を照らす新たな光!アミノ酸の酸化的クロスカップリング

酵素と可視光レドックス触媒を協働させる、アミノ酸の酸化的クロスカップリング反応が開発された。多様な非…

二元貴金属酸化物触媒によるC–H活性化: 分子状酸素を酸化剤とするアレーンとカルボン酸の酸化的カップリング

第620回のスポットライトリサーチは、横浜国立大学大学院工学研究院(本倉研究室)の長谷川 慎吾 助教…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP