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シコニン

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シコニンはムラサキ科ムラサキ(Lithospermum erythrorhizon)の根から得られる紫色の色素。

シコニンの利用

奈良時代に既に記録があるほど染料として古くから利用されてきた。染色にはは乾燥した紫根を粉にし、湯で抽出してから灰汁で媒染して染色する。紫根は日本薬局方に生薬シコンとして収録されており、抗炎症作用、創傷治癒の促進作用、殺菌作用などの効能があるとされている。江戸時代には病気の治療の為に、紫に染めた絹をハチマキにして頭に巻く風習が生まれたが、あながち迷信とは言い切れないのかもしれない。

 

シコニンの化学

黒田チカは真島利行のもとシコニンの化学構造について研究し、1918年に報告した[1,2]。

shikonin_1シコニンの最初の提出構造

しかし、残念ながらその構造にはわずかに誤りがあった。後にシコニンには旋光性があることがわかり、修正構造が提出された(どの文献に最初に修正構造が提出されたかは不明)。同じムラサキ科の植物の根より、シコニンの鏡像異性体であるアルカニンが報告されている[3]。

shikonin_2

工業的にはムラサキの根から単離するのではなく、植物細胞の培養によって大量生産されている。1984年カネボウ(当時)が「レディ80 BIOリップスティック」を発売し大ヒットした。

 

 

参考文献

[1] Kuroda, C. 東京化学会誌 1918, 39, 1051.

[2] Kuroda, C.; Majima, R. Acta Phytochim. 1922, 1, 43.

[3] Brockmann, H.; Roth, H. Naturwissenschaften 1935, 23, 246.

 

関連書籍

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有機合成化学が専門。主に天然物化学、ケミカルバイオロジーについて書いていきたいと思います。

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