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化学者のつぶやき

低投資で効率的な英語学習~有用な教材は身近にある!

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”英語”に困っているのは化学者に限らないけれども、英語が嫌いな(苦手な)化学者が多いのが現実。

それでも必要に迫られて、何とかしようと、英会話教室に行ったり本屋で教材を衝動買いしているものの、なかなか身につかない。

そこで今回は、英語を勉強するポイントである、

1)そもそも知らない単語は聞こえない(理解できない)

2)聞こえることと理解することは別の話

の2点を少々のがんばりで効率的にクリアするために、いかにお金をかけずに、そこら中にありふれた教材でいかに学ぶかについて、ご提案いたします。

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本稿をごらんになっている方、英語は苦手ですか?

私は英語ができるできないにかかわらず英語が好きだったので、苦手かどうかという気持ちは残念ながら分かりません。

ただ、相手の行っていることを完全に理解し、誤解の無いように伝えられるかといえば、

”NO”です。正直申し上げると、下手の横好き、状態です。eikaiwa.png

ですので、何らかの努力をして、よりよいレベルに持って行こうとは常々試みています。

勉強のスタイルは人それぞれですし、学問に王道は無いわけですが、可能な限り無意味な努力はしたくないものです。

今回は自分の経験を踏まえつつ、これまでの自分自身の英語に対する戒めを含めて、可能な限りいかにお金をかけずに(全く0円と言うことではありません、あしからず)、英語は勉強できると言うことを、大きく2点にまとめて解説いたします。ただし、全く努力しようという気のない人は読まないでください。本稿ではお金をかけない、と言っているだけで、努力は必要ないと申し上げておりませんので。

要点1)単語を拾え

いきなりなんだろう、と言う言葉で始めましたが、私が高校の英語の先生に言われた言葉、

「知らない単語は聞こえない」

と言う事実を踏まえると、まず何をすべきかといえば、単語を覚えると言う、至極単純なことをしなければなりません。

これが面倒くさいから英語の勉強はしたくないんだよ、と言う声が聞こえてきそうですが、残念ながら、日本語のように漢字から意味を推定することが科学の専門用語はほぼ不可能です。漢字なら意味がついてくるので何となく意味は推測できますが、英語はどこからこんな単語が生まれてきたんだ、と言うような単語だらけですから。なので、少々我慢して、単語を覚える努力をしましょう。

と言っても、何から始めれば・・・と言うことなのですが、それは、

「英語の教科書を読むこと」

です。英語をすらすら読むことができないから困っているのに・・・、と思っている方、我慢してもう少しだけ本稿を読んでください。

英語の教科書、と言っても、何も新しいことを学ぶための教科書ではなく、既にある程度理解している分野の教科書を英語版で購入せよ、と言っているのです。

私の場合、学部時代に学んだ分子生物学の知識を英語の教科書で読んだらどうなるかと思い、大枚はたいて”Molecular Biology of the Gene”を買いました。

私はこの”Molecular Biology of the Gene”を大学院入試の英語の教材として活用し、2ヶ月で200ページ読み、知らない学術単語を減らす努力をしました。

それにより、知らない単語が減り論文が読みやすくなるだけでなく、理解できる状態で聞こえる単語が増えていくのです。

 

この量が多いのか少ないのかは実際のところ分かりませんが、言いたいことはたくさん読め、ということでは無く、

①内容を日本語で理解していることは、英語でも理解しやすい。

②教科書の英語は無駄な表現が無く、読みやすい。

という点です。

はっきり言って初学者に英語の論文を読みこなすのはつらいことであり、無理強いしてもなかなか効率が上がらないというもの。

結構英語ができる人であっても、分野外の論文は読みこなせないという点も同様なことがいえると思います。

ですので、日本語である程度理解している分野の英語の教科書を購入し(今は円高ですからチャンスですよ!)、ゆっくりと読むことをおすすめします。意外とこんなに英語を読めたかな?と思うくらい読めると思いますよ。

あ、無料でと言っていたのに、出費しろ?いえいえ、お金を可能な限りかけないと言っただけでそれくらいは我慢してください。だって、教科書は英語の勉強だけではなく、今後の研究活動などに必要なものですから。

要点2)無料の素材は落ちている!

ある程度英語の論文を読みこなせるようになっても、聞き取りと話すことは本質的に別次元の問題であり、難しいと感じている人が多いことでしょう。

月並みな言い方ではありますが、聞いて理解できるようになってから、話せるようになるのですね。子供が言葉を覚えるのと一緒です。

私が海外に行った時に英語ネイティブの人に言われたことは、聞き取り話せるようになるためには、

“listening”

ではなく

”understanmging”

しなければならないとここと。確かにそうです。日本語だって単語がすべて聞こえても、意味を理解したことにはなりませんね。

ですので、できるだけ聞き取りの練習をすることです。

それで、CNNやらBCCやらで英語の聞き取り、もいいのですが、読み取りと同じように、内容を知らない英語はとっかかりが無く、理解できないものです。きれいな発音なので、教材としては優れているのですが、これらをきちんとキャッチアップできる人は本稿はそもそも必要ないですね。

じゃあ、少しでも専門を科学にということで、私は以下の無料podcastをおすすめします。

Nature Podcast

http://www.nature.com/nature/podcast/

Science Podcast

http://www.sciencemag.org/site/multimedia/podcast/

JACS Cover Art Podcast

http://pubs.acs.org/JACSbeta/coverartpodcasts/

もちろん、全部無料です。ただし、ある程度の科学力は要求されますが。

最新号のトピックが聞き流せるので、最新号をあわせて読むと効果倍増です。

しかしいくら無料といえどもなかなか聞き取るのは大変だという方は、例えば、molecular biology of the cellに添付されているDVDを活用することをおすすめします。

他の教科書を知らないのですが、解説のDVDがあるのは珍しいことではありません。

このDVDの優れているところは、動画がついていると言うことです。内容をある程度理解して、単語を知っていれば、かなりフォローできるはずですね。科学は決まり切った表現しか使われないので、しつこく聞いて脳みそにすり込んでしまいましょう。

ちなみにこの教科書のDVDにはプレゼンに使えそうなPPTファイルが収納されています。教育的な場所では効果的に使えそうですね。

今回紹介した教科書は、生化学・分子生物学よりのものですが、”化学”もきちんと解説されていますよ。海外の研究者は、基本となることはきちんと理解するんだと言うことがよくわかります。負けじと幅広く勉強いたしましょう。

最後に、言うまでもないことですが、語学は1日してならず。ゆっくりと、しかししっかりと楽しくがんばりましょう!

あぽとーしす

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微生物から動物、遺伝子工学から有機合成化学まで広く 浅く研究してきました。論文紹介や学会報告などを通じて、研究者間の橋掛けのお手 伝いをできればと思います。一応、大学教員で、糖や酵素の研究をしております。

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