[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

化学反応のクックパッド!? MethodsNow

化合物や反応の検索には欠かせないSciFinder。実は個人的にはあんまりしようしていないのですが、久々にSciFinderを覗いていたら、ニュースとともに反応式の検索結果になにかいつもと異なるものが。皆さん気づきましたか?

それが今回紹介するMethodsNowです。

簡単に言えば、SciFinderのなかで詳細な実験項がみれるようになった」*

ということ。では、具体的にちょっとだけ説明してみましょう。

 

MethodNowとは?

2016年2月10日からSciFinderに搭載された、新機能です。簡単に述べれば、上述したとおりですが、化学情報協会のウェブサイトに概要が掲載されています。一部引用。

MethodsNow は,主要な雑誌や特許に収録されている物質の分析方法や反応の実験手順の詳細情報に簡単にアクセスすることができる製品です.本製品を使用することで,分析方法,実験手順の調査にかける時間を節約することができます.

SciFinder を MethodsNow オプション付きでご契約いただくと,下記の 2 つの機能が利用できます.

(A) MethodsNow: Analysis (分析方法)

    分析方法の詳細情報を確認できるほか,物質,分析機器,条件をテーブルにまとめて,他の方法と比較検討することができます.

(B) MethodsNow: Synthesis (合成方法)

      SciFinder の反応検索結果画面より,詳細な実験手順や生成物のスペクトルデータを見やすいテーブル形式で表示できます.

(引用:化学情報協会

ほほう。まあでも実際使ってみないとわからないの上記の(B)のMethodsNow:Synthesisを使ってみました。

 

まずは反応検索をかけてみる

まずは通常の使っているように、反応検索をかけてみましょう。試しに、化合物を入れて、反応検索してみます。すると検索結果がでるのですが、いくつかの検索結果にMethodsNowの文字が。

 

反応検索結果の一部

反応検索結果の一部

 

View more…もしくはView with MethodsNowをクリックするとポップアップ画像が立ち上がります。どうやら、現在は5回まで試しに使ってみることができるようです。とりあえず進んでみると、以下のような画面が登場します。

MethodsNowの検索画面

MethodsNowの結果画面

 

使っている試薬や溶媒に加えて、実験手順(Procedure)が掲載されています。さらには、NMRデータや、HRMS、TLCのRf値や合成品の色まで記載されています。原著論文に進めばみつけることができるデータですが、これは便利ですね。

ついでに別の実験手順もみてみました。同様に、しっかり掲載されています。

 

もうひとつ別のMethodNow検索結果

もうひとつ別のMethodNow検索結果

 

また、この機能のよいところは、原著論文の実験手順よりもわかりやすいこと。2つめの原著論文にアクセスして、この実験項を探してみました。原著論文自体にはChem Commなので掲載されておらず、Supporting Informationにありました。それがこちら。

実際の実験校(出典:ChemComm, 2014, 6145, SI)

実際の実験校(出典:ChemComm, 2014, 6145, SI)

 

この論文はしっかりと書いてありますが、MethodsNowのようにポイントを押さえて、手順1,2のようにあるとよりわかりやすいですね。もちろん、実験手順をプリントアウトして、実験するすぐ手元においておくこともできます。

まさに料理法を検索するクックパッドの如く、レシピを検索するように実験が可能となりますね

個人的には、学習のために、”レシピ”を検索するだけでなく研究の背景や反応の一般性、反応機構が記載されてある、原著論文に戻って欲しいところですが、忙しい奥さん…もとい研究者の方なら、とりあえず反応だけでもかけたいということが多々あります。同じ化合物をそのまま作りたいという研究者にはかなり重宝される機能です。とことん簡便性を追求するならば、料理の完成図のように、実際のNMRデータをSciFinder中でクリックだけでみれたら、もう完璧です(残念ながらその機能はありません)。

 

というわけで、簡単に説明してみましたが、いくつか疑問点があったので、実際に化学情報協会に問い合わせてみました。すぐに回答を頂いたので、最後にそれを紹介したいと思います。大学の情報センターの方々と異なり、いつもくだらない質問でもすぐに簡潔に答えてくれる化学情報協会の方にこの場を借りて御礼申し上げます。

 

ちょっとした疑問に答えてもらった

Q.  Scifinderにどのくらい費用をプラスすればこのMethodsNowが使えるようになるのか。

A. SciFinder 本体価格の何%という基準はなく,企業・大学にかかわらず,お客様の規模や業種,ユーザー数などを総合的に勘案してご提供します.

 

Q. もう少しトライアルを延長できるのか?

A.  2週間のトライアルが可能です。それが基本ですが,2週間ではすべての方が試用できない,などの理由があればご相談ください.

 

Q.  現在100万以上の実験項を登録されていますが、今後どのくらい増やしていく予定があるのか。

A. MethodsNow: Synthesis (合成方法)には現在 100 万件以上の操作手順を 収録しています.今年中に3倍ほどに拡張する予定です.
また,MethodsNow: Analysis (分析方法)には約 15 万件の分析手法を収録しており,こちらも今年中に2倍ほどに拡張する予定です.

 

以上、興味の有る方は研究機関の担当者に希望を伝えるか、直接化学情報協会に問い合わせてみてはいかがでしょうか。

 

*SciFinderがなくとも使えるスタンドアローン版もあるようです

外部リンク

The following two tabs change content below.
webmaster

webmaster

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院准教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. トイレから学ぶ超撥水と超親水
  2. 高分子を”見る” その2
  3. 顕微鏡で化学反応を見る!?
  4. 核酸医薬の物語3「核酸アプタマーとデコイ核酸」
  5. 【ワイリー】日本プロセス化学会シンポジウム特典!
  6. 私がなぜケムステスタッフになったのか?
  7. 【速報】2010年ノーベル化学賞決定!『クロスカップリング反応』…
  8. 中学入試における化学を調べてみた

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

注目情報

ピックアップ記事

  1. ムギネ酸は土から根に鉄分を運ぶ渡し舟
  2. 向山縮合試薬 Mukaiyama Condensation Reagent
  3. はてブ週間ランキング第一位を獲得
  4. 今年の光学活性化合物シンポジウム
  5. 【書籍】化学探偵Mr. キュリー
  6. とある社長の提言について ~日本合成ゴムとJSR~
  7. 114番元素と116番元素が正式認可される
  8. ダフ反応 Duff Reaction
  9. 可逆的付加-開裂連鎖移動重合 RAFT Polymerization
  10. 触媒の貴金属低減化、劣化対策の技術動向【終了】

注目記事

関連商品

注目情報

試薬検索:東京化成工業



最新記事

分子振動と協奏する超高速励起子分裂現象の解明

第98回のスポットライトリサーチは、コロンビア大学の宮田潔志さん(日本学術振興会海外特別研究員)にお…

二次元物質の科学 :グラフェンなどの分子シートが生み出す新世界

内容2004年にブレークしたグラフェンは,電子材料はじめさまざまな応用が期待される新素材の担…

高機能な導電性ポリマーの精密合成法の開発

そろそろ100回目が近づいてきました。第97回のスポットライトリサーチ。今回は首都大学東京 理工学研…

ストックホルム国際青年科学セミナー参加学生を募集開始 ノーベル賞のイベントに参加できます!

一週間スウェーデンに滞在し、ノーベル賞受賞者と直接交流するなどの貴重な機会が与えられるセミナーSto…

「電子の動きを観る」ーマックスプランク研究所・ミュンヘン大学・Krausz研より

「ケムステ海外研究記」の第13回目は、第6回目の志村さんのご紹介で、マックス・プランク量子光学研究所…

岩澤 伸治 Nobuharu Iwasawa

岩澤 伸治 (いわさわ のぶはる、19xx年x月x日-)は、日本の有機化学者である。東京工業大学 教…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP