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日本人化学者インタビュー

第50回「非二重らせん核酸は生物種を超えて生命を制御できるか」建石寿枝准教授

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ついに第50回を迎えました研究者へのインタビュー。今回は第23回のケムステVシンポの講師である建石寿枝准教授(甲南大学)へお願いいたしました。

大学から甲南大学で過ごしてきた日々、その後研究に没頭。その間も企業就職、留学、子育てと様々なライフイベントを乗り越えて現在に至ったそうです。杉本教授とともに核酸の構造によって制御される生命現象を解明する研究の専門家です。

それではインタビューをごらんください。

Q1. あなたが化学者になった理由は?

大学で配属された研究室の研究が、予想上に面白かったからです。

大学生だった私は、体育会のハンドボールクラブで主将を務め、化学を学ぶよりもむしろ、ハンドボールのが中心の生活を送っていました。学部4年生になり、当時甲南大学理学部の杉本直己教授(現甲南大学先端生命工学研究所・所長・教授)の生命分子化学研究室に配属されました。研究室のメンバーは研究室に泊まり込んで実験し、週末も年末年始も研究に励んでいる姿に驚いたことを覚えています。研究を進めるにつれて、これまでの勉強不足を実感し、懸命に勉強しながら実験をするようになりました。研究はなかなかうまくいきませんでしたが、研究室の先輩方や同期、後輩に励まされ、楽しい時間を過ごしました。杉本先生の「我々の研究成果は生化学の教科書を書き換える」という言葉に触発され、一層、研究に励み、2008年3月に同大学博士号を所得することができました。その後、化粧品や健康食品を取り扱う企業の開発部の研究員として就職しました。その後、短期間ではありましたが客員博士研究員として海外で研究する機会もいただき、帰国後は、化粧品開発に携わり、とても充実していましたが、第一子の出産後、育児のため退職してしまいました。

ハンドボールから研究、研究から仕事に移り変わったもの、日々あわただしく過ごしていた私にとって、子供のペースにあわせて過ごす時間はとても新鮮で楽しかったです。しかし、ふと学生時代の研究を思い出し、あの実験はこうしたら良かったのではないかと思いついたことをきっかけに、また研究をしたいなと思うようになりました。その後、子供(長男)が1歳になった頃から、週に数回、実験補助員としてのパートタイムの勤務をしながら、アカデミックでの職を探し始めました。運良く2010年7月甲南大学先端生命工学研究所の助教としてポジションを頂きくことができました。研究所で勤務を開始した当初は、子育てをしながら、研究をどこまで続けられるのだろうと不安がありましたが、周りの方にご支援いただきながら、現在まで研究を続けることができています。

Q2. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

カフェのオーナー。またはハンドボールの熱血コーチ。研究以外の好きなことを仕事にできればいいなと思ったからです。

 

Q3. 現在、どんな研究をしていますか?また、どのように展開していきたいですか?

核酸の構造によって制御される生命現象を解明する研究を行っています。これまでゲノムを構成する核酸は遺伝情報としての役割を持つ分子であり、タンパク質は遺伝子の発現を調節・制御する分子であると捉えられてきました。しかし、近年、この既成概念を覆し得る事象として、ヒト細胞内での非二重らせん構造(例えば、三重らせん構造や四重らせん構造)が、遺伝子発現を制御しているという報告が相次いでいます。核酸の構造の形成は、周辺の環境の影響を大きく受けます。私たちは、初期がんの細胞内では、がん遺伝子上の四重らせん構造が転写反応を抑制し、悪性がん細胞内では、四重らせん構造が不安定化し、転写が活性化されることを見出してきました。このように、核酸は周囲の環境を感知し、多元的に核酸の構造を変化させ、主体的に遺伝子の発現を制御している可能性があります。私たちはヒトの細胞内における疾患の発症や進行に伴う環境変化が、核酸の構造を介して遺伝子発現に及ぼす影響を解明する研究を行っています。

さらに、これまでのゲノム研究では、研究対象となる生物種ごとに核酸構造が解析されてきましたが、物理化学的視点に基づけば、核酸の構造形成メカニズムは生物種に依存しないはずです。そこで私たちは、核酸構造による遺伝子発現の制御機構は、生物種を超えた生命現象の統一的な制御機構なのではないかと考え、生物の枠組みを超えて非二重らせん構造を解析し、遺伝子発現機構の類似点や相違点を解明する研究に着手しました。

Q4. あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

Marie Curie、Gertrude Belle ElionやRosalind Franklinなど、世界を変えた女性科学者の研究への取り組み方や私生活について聞いてみたいです。

 

Q5. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

今日(2021年11月24日)です。新規のプロジェクトの立ち上げにあたり、これまでヒト細胞を中心に取り扱っていましたが、初めて植物を扱うことになりました。研究員の方と一緒にシロイヌナズナの種を寒天にまき、購入したばかりの人工気象機の中にドキドキしながら置きました。

 

Q6. もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

音楽:洋楽が好きなので、音楽を聴きながら過ごしたいです。Alicia Keysの歌が好きですが、特にGirl On Fireなどは元気がでるので、いいですね。最近は、私の影響か、娘が洋楽を好きになって、元気いっぱいに歌っている娘の様子を眺めるのも好きです。

本:『世界を変えた10人の女性科学者』(化学同人) 最近、購入して読んだのですが、もう一度、ゆっくり読みたいです。

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Q7. 次にインタビューをして欲しい人を紹介してください。

東京農工大学大学院 グローバルイノベーション研究院 教授の村岡貴博先生

を推薦します。以前に共同研究をさせていただく機会がありましたが、とてもご活躍の先生なので。

研究者の略歴

名前:建石寿枝

所属: 甲南大学先端生命工学研究所(FIBER)

専門: 核酸機能化学

略歴:

2020年4月 – 現在甲南大学 先端生命工学研究所 准教授
2016年4月 – 2020年3月 甲南大学 先端生命工学研究所 講師
2010年7月 – 2016年3月 甲南大学 先端生命工学研究所 助教
2008年4月 – 2009年2月 株式会社ファイン 研究開発課 研究員
2008年4月 – 2008年6月 米国イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校 客員博士研究員(兼務)
2005年4月 – 2008年3月 甲南大学大学院自然科学研究科生命・機能科学専攻(博士課程)
2005年4月 – 2008年3月 独立行政法人日本学術振興会 特別研究員(DC1)

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Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

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