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Twitter発!「笑える(?)実験大失敗集」

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先日よりTwitterの#sci_onタグで寄せられていた「笑える実験大失敗」のつぶやきが、大盛り上がりを見せていました。

化学・生物関連の実験失敗談が数多く寄せられていましたが、いやぁ、実験屋ならではの経験談、皆していろいろお持ちですね~「あるある」話も多くて大いに笑わせていただきました。

特に化学は実験してナンボの学問ですし、危険なものも扱う機会も多い。それだけにやはりヒヤリハットも多い多い。そんな笑える(?)化学系失敗談から、今回いくつかご紹介してみましょう。

『塩酸原液をメスピペットで直接吸って盛大にむせた同期』

『ピペットで試薬を計量しようと口で吸引する際に、硫酸から水酸化ナトリウムまでありとあらゆる試薬を吸い込み過ぎて口に含んでしまった彼についたあだ名が『ソムリエ』』

メスピペット吸いは、吸いすぎてしまいそうで結構危険な香りのする操作。だからそもそもこんなの流石にやらないだろう!と思いきや、やってたチャレンジャーがいたとは・・・世界は広い!

ちなみに筆者は、DMFをメスピペットで吸いすぎて口中がトンデモナイことになった経験があります。これは経験してみないと到底わからないとんでもない味がしたのですが・・・塩酸・硫酸・NaOHよりはまだましだと思えますな。
・・・っていうかそれ以前の話として、みんな安全ピペッター使おうYO!!

『過塩素酸ナトリウムが試薬瓶(しかも500g)の中でカチカチだったので、スパーテルでガンガン叩いて割った。何も起こらなかったけど後で思えば一番怖い。』

大掃除をしてると確かに巨大な不要試薬瓶が幾つも出てくるもの。いつも廃棄に困るんですよねぇ。
でもだからといってこんなコトしちゃダメだよ!金属の過塩素酸塩はどれも極めて高い爆発性があるんで。廃棄は適切な手順で・・・ってかこれほどの量だと、高くついても業者に引き取ってもらうのが無難かなあ。無駄な試薬は買わないようにしませう。

『実習でエーテルから再結晶させようとして、栓をしたまま超音波かけて当然蓋がすっぽ抜け、ガラス窓に再結晶させた同級生。』

超音波は得てして発熱もするんで、低沸点溶媒を使うときは注意!密閉系にすると破裂します。飛散ガラスコワイヨガクブル。

『キャヌラーの錆びと穴に気づかずt-BuLi吸ってドラフト内花火』

これはこわいですねー笑えませんねー。tBuLiはとても簡単に発火してくれるので、器具は欠損がないかどうか、くれぐれもよく事前確認を。あと手元の消火器装備も忘れずに!一歩間違えるととんでもない大事故に発展しかねませんよ(参考:UCLAでの死亡事故例)。

『後輩が洗浄作業中ポチャンと落として硝酸の飛沫が少し顔に。ギョッとして固まってるので和ませようと手を叩いて賞賛浴びせたらダジャレが通じず本気で怒ってしまった。』

ここまでわかりにくいジョークを飛ばせるあなたにむしろ惚れました(笑)

『試薬のクッションで使われていたおがくずをその試薬と勘違いして、天秤で計って仕込もうとしていた人が』

知らないとしょうがないとはいえ、流石にこれはまだ見たことないっすなぁ・・・世界は広い(笑)

『合成反応かけて、反応がすすんだか発熱反応なのでフラスコさわって確かめようと触ってばかりいる後輩、暖かくなってきた気がしますって、それは君
の体温だから。。』

『いつまでもカラムからモノが出てないと騒いでた先輩。crudeをのせるのを忘れたことに気付くまで8時間かかったらしい』

いやはやボケボケですねーやってくれますねー(笑) 反応しこむ時の試薬入れ忘れぐらいは、もちろん誰しもありますけどね。それで気付かずTLCとって分液までしてしまうとかも、もちろんありますよね・・・え、あっちゃだめですかそうですか。

『インジカン(尿中毒素)検出実験。検体は自分の尿。色が濃いほど毒素が濃い=便秘がひどい、ということを知らず、「見て!鮮やかな緑!!」と見せびらかした、うちの学科一の美女…』

『水質調査(COD測定)の実験をするから身近な水サンプルを持ってきて」 実験当日、サンプルを忘れた先輩があわてて用意したのが出したてホヤホヤの自分の尿』

っていうかシモネタは反則ですwwww 面白すぎるだろこれは!

『相対論確かめようとしてストップウォッチを遠心分離機にかけて思いっきりまわしたら、ストップウォッチが爆発。』

まさに、「その発想はなかったわ・・・」どこでも学生さんは激アツです。

『股間に強力発ガン性物質・ジメチル硫酸をぶちこぼした某先輩。「大丈夫だったんですか?」「おう、何てことないし。メチル化された分でかくなってよかったかもな」氏は現在京都大学教授。』

有機化学美術館の@KentaroSatoさん提供ですが、例示されてる人が誰だか何となく特定されてしまいそうなあたり、狭い世界ですねぇホント(笑)

以下余談ですが、実は著名なノーベル賞化学者も、何人かはひどい実験中の事故に見舞われています。

たとえばSharpless教授は、学生の作ったNMRチューブを観察している時に爆発し、左目にガラスが刺さって失明してしまったそうです。
野依良治教授は助手時代、実験装置が粉々になるほどの爆発事故に見舞われて、顔面を十八針も縫うけがを負ったそうで。しかし三日後には包帯を巻いたまま研究室に現れ、それ以降「鬼軍曹」と呼ばれるようになったとか。

筆者のすぐ身近にも、トリメチルシリルシアニドの瓶を落として割ってフロア中大騒ぎになったり、トリフルオロ酢酸を顔面に付着させて薬傷を負ったり、水素化リチウムアルミニウム(LAH)を激しく発破させて天井を焦がした人がいたもんで。まぁなんとも、我ながら今まで良く五体満足だったもんだなぁ。

病気と同じく事故は人を選びません。発火・爆発・異臭騒ぎに事欠かない世界=化学ですが、危険はなるべく回避しましょう。日々の実験にはくれぐれも注意してくださいね!

 

関連書籍

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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