[スポンサーリンク]

海外化学者インタビュー

第171回―「超分子・機能性ナノ粒子で実現するセラノスティクス」Ken Cham-Fai Leung准教授

[スポンサーリンク]

第171回の海外化学者インタビューは、Ken Cham-Fai Leung准教授です。香港中文大学化学科 新機能分子センターに所属していましたが、香港浸会大学化学科 創造性研究所に異動しました。ナノ粒子の研究と生物医学的応用を目指した超分子化学を研究しています。それではインタビューをどうぞ。

Q. あなたが化学者になった理由は?

自然界に存在し、特定の機能を持つ複雑な分子の美しさにはいつも驚かされています。こういった好奇心から、分子の全合成や、分子の改変による機能変化を理解し、生命の起源にも迫りたいと考えています。

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

ホテルやレストランのシェフになりたいと思っています。実験化学と料理は似たところがあると思いますし、最近は分子ガストロノミーという言葉もできて、いろいろな工夫がされています。健康的なデザートなど、キッチンで作り上げた自分の実験的な製品を試食して特徴を出したいです。美味しかったら、友人(食べることが大好き!)とシェアするのが楽しみです。

Q. 現在取り組んでいることは何ですか?そしてそれをどう展開させたいですか?

現在は、磁気共鳴イメージング、蛍光イメージング、制御型ドラッグデリバリーのための無機・有機ハイブリッドナノ材料の開発に取り組んでいます。学生たちがこの分野に興味を持ち、しっかりと勉強して、社会に貢献してくれることを願っています。

Q.あなたがもし、歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

顕微鏡を使って微生物を発見したアントニ・ファン・レーウェンフックと一緒に食事がしたいです。当時、このような斬新なミクロの世界を目の当たりにした彼の体験や気持ちを共有したいです。そして、今では電子顕微鏡があり、ナノや原子の世界も観察できることを伝えたいと思います。

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

1週間ほど前に、ナノ材料の表面接触角の測定と、異なる機能性分子を用いたコア/シェルナノ粒子の合成を行いました。実験を行い、それを最適化することが好きです。

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

本も音楽も、1つだけ選ぶのはなかなか難しいです。好きなものが多すぎるのです。今回は、『聖書』とボン・ジョヴィの『クロスロード』にします。

クロス・ロード~ザ・ベスト・オブ・ボン・ジョヴィ

クロス・ロード~ザ・ベスト・オブ・ボン・ジョヴィ

Bon Jovi ボン ジョヴィ
¥1,000(as of 04/25 00:18)
Amazon product information

Q.「Reactions」でインタビューしてほしい化学者と、その理由を教えてください。

エディンバラ大学で面白く独創的な化学をやっているデビッド・リー教授に、これほど良い質問揃いのReactionsのインタビューを受けてほしいものです。

 

原文:Reactions – Ken Cham-Fai Leung

※このインタビューは2011年9月2日に公開されました。

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 第105回―「低配位有機金属錯体を用いる触媒化学」Andrew …
  2. 第42回―「ナノスケールの自己集積化学」David K. Smi…
  3. 第168回―「化学結晶学から化学結合を理解する」Guru Row…
  4. 第128回―「二核錯体を用いる触媒反応の開発」George St…
  5. 第109回―「サステイナブルな高分子材料の創製」Andrew D…
  6. 第134回―「脳神経系の理解を進める分析化学」Jonathan …
  7. 第25回 溶媒の要らない固体中の化学変換 – Len…
  8. 第66回―「超分子集合体と外界との相互作用を研究する」Franc…

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 山東信介 Shinsuke Sando
  2. 第17回 研究者は最高の実験者であるー早稲田大学 竜田邦明教授
  3. コーリー・ウィンターオレフィン合成 Corey-Winter Olefin Synthesis
  4. 第四回 ケムステVシンポ「持続可能社会をつくるバイオプラスチック」
  5. ものごとを前に進める集中仕事術「ポモドーロ・テクニック」
  6. ボリル化剤を無駄なく使えるsp3C–H結合ボリル化
  7. 光触媒を用いるスピロ環合成法が創薬の未来を明るく照らす
  8. アメリカの研究室はこう違う!研究室内の役割分担と運営の仕組み
  9. 橘 熊野 Yuya Tachibana
  10. 超分子ポリマーを精密につくる

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2022年2月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28  

注目情報

最新記事

【大正製薬】キャリア採用情報(正社員)

<求める人物像>・自ら考えて行動できる・高い専門性を身につけている・…

国内初のナノボディ®製剤オゾラリズマブ

ナノゾラ®皮下注30mgシリンジ(一般名:オゾラリズマブ(遺伝子組換え))は、A…

大正製薬ってどんな会社?

大正製薬は病気の予防から治療まで、皆さまの健康に寄り添う事業を展開しています。こ…

一致団結ケトンでアレン合成!1,3-エンインのヒドロアルキル化

ケトンと1,3-エンインのヒドロアルキル化反応が開発された。独自の配位子とパラジウム/ホウ素/アミン…

ベテラン研究者 vs マテリアルズ・インフォマティクス!?~ 研究者としてMIとの正しい向き合い方

開催日 2024/04/24 : 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足…

第11回 慶應有機化学若手シンポジウム

シンポジウム概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大…

薬学部ってどんなところ?

自己紹介Chemstationの新入りスタッフのねこたまと申します。現在は学部の4年生(薬学部)…

光と水で還元的環化反応をリノベーション

第609回のスポットライトリサーチは、北海道大学 大学院薬学研究院(精密合成化学研究室)の中村顕斗 …

ブーゲ-ランベルト-ベールの法則(Bouguer-Lambert-Beer’s law)

概要分子が溶けた溶液に光を通したとき,そこから出てくる光の強さは,入る前の強さと比べて小さくなる…

活性酸素種はどれでしょう? 〜三重項酸素と一重項酸素、そのほか〜

第109回薬剤師国家試験 (2024年実施) にて、以下のような問題が出題されま…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP