[スポンサーリンク]

E

ホーナー・ワズワース・エモンス反応/Horner–Wadsworth–Emmons Reaction

[スポンサーリンク]

⏱ 30秒サマリー

  • 何をする反応か — 電子求引基をもつホスホン酸エステル(ホスホネート)を塩基で脱プロトン化し、生じたカルバニオンをアルデヒド(またはケトン)と縮合させて炭素–炭素二重結合をつくる。
  • 何ができるか — 位置の定まった E-α,β-不飽和エステル(同様にケトン・ニトリル・アミド等の共役体)。試薬と条件を選べば Z 体も作り分けられる。
  • いつ使うか — Wittig反応の安定化イリドで E 体を狙いたいが Ph₃P=O の分離が煩わしいとき。副生するリン化合物が水溶性で分液除去できるため、後処理が格段に楽になる。

概要

ホーナー・ワズワース・エモンス反応(HWE反応)は、ホスホネートのα位カルバニオンをカルボニル化合物と縮合させ、α,β-不飽和エステルなどの共役オレフィンを与える反応である。Wittig–Horner反応、Horner–Emmons反応とも呼ばれる。

ドイツの Leopold Horner が1958〜1959年に、ホスフィンオキシド/ホスホネート由来のカルバニオンがオレフィン化剤として働くことを報告し [1][2]、続いて William S. Wadsworth, Jr. と William D. Emmons が1961年に合成手法として体系化した [3]

Leopold HornerとWilliam D. Emmons

冒頭一般式におけるEWG は電子求引基(エステル、ケトン、ニトリル、スルホン、ホスホネートなど)で、α位に電子求引基が存在することが必須である。これを欠くホスホネートでは脱離段階が進行せず、アルケンではなくβ-ヒドロキシホスホネートで反応が止まる [13]

実務上の要点は
① 後処理が容易: 副生するリン酸ジアルキル塩((RO)₂P(O)O⁻)は水溶性で、分液操作により除去できる。量論量の Ph₃P=O が副生してカラム精製を難しくするWittig反応に対する最大の優位点である。
② 試薬が安価:ホスホネートは亜リン酸トリアルキルとα-ハロエステルの Michaelis–Arbuzov反応で容易に合成でき、市販品も多い。
③ 一般にE選択的:ただし選択性の程度は基質・塩基・カチオン・温度に強く依存する。適用できる求電子剤はアルデヒドが中心で、ケトンは反応が遅く立体選択性も低いことが多い。

反応機構

(1) カルバニオンの生成 — 塩基がホスホネートのα位を脱プロトン化し、ホスホネート安定化カルバニオンを生じる。

(2) カルボニルへの求核付加 — カルバニオンがカルボニル炭素を攻撃し、オキシアニオン中間体を与える。

(3) 環化 — オキシアニオンの酸素がリンを攻撃し、四員環のオキサホスフェタンを形成する。

(4) syn脱離 — オキサホスフェタンがレトロ[2+2]的に分解し、アルケンとリン酸ジアルキルアニオンを与える。強いP=O結合の生成が全体の駆動力となる。

(5) 中間体観測の現状 — Wittig反応ではオキサホスフェタンが ³¹P NMR で直接観測されている [22] のに対し、HWE系での中間体の分光学的観測例は極めて乏しい。Breuer らの1979年の報告 [23] が数少ない例として知られる。

律速段階は一つに固定されていない

律速段階は条件によって変化する。Brandt・Norrby・Martin・Rein による量子化学計算 [26] は、裸のアニオン(気相)では律速段階がオキシアニオン→オキサホスフェタンへの環化であるのに対し、溶媒和を考慮すると多くの条件で律速段階が二分子的な付加段階へ移ると報告している。安藤による計算研究 [27] もこの理解を補強している。

「ベタイン中間体」という古典的説明の現在

多くの教科書は「まずベタイン中間体が生成し、続いて環化してOPAを与える」と説明してきたが、現在は議論があるとされる。

Byrne–Gilheany の総説 [29] は、リチウム塩非存在下のWittig反応について「すべてのイリド型で共通の機構により速度論支配で進行し、唯一の中間体はオキサホスフェタンである」とまとめ、同時に「多くの学部教科書における提示は過度に単純化されているか、まったく不正確である」と指摘している。Singleton らの同位体効果・分子動力学研究 [30] は、ベタインを「バイパスされる中間体」と位置づけた。ポテンシャル面上に極小はありうるが、動力学的には通過されてしまうとの理解である。

ただしこの結論をHWEにそのまま外挿することはできない。Byrne–Gilheany 自身が「リチウム塩が共存する系は依然として理解が不十分」と明言しており [29]、HWEは本質的に金属カチオン共存下で行われる反応だからである。

E/Z選択性の起源

生成するアルケンのE/Z比は、①初期付加の立体化学的帰結と、②中間体(cis/trans-オキサホスフェタン)が平衡化しうるかの双方に依存し、付加の可逆性を高める条件が E 体を与える [42]

  • 通常のHWE(R4 = Et, Me):付加が可逆で、cis/trans-OPA間の平衡化が脱離より速い。熱力学的に有利な trans-オキサホスフェタン を経て E-アルケンが優先する。
  • Still–Gennari法 [4]/安藤法 [7](R4 = CH₂CF₃ / Ar) :電子求引性のOR4基によってリンが求電子的になり、オキサホスフェタンの分解(syn脱離)が加速される。逆付加による平衡化が間に合わず、速度論的に先に生成する cis-オキサホスフェタン がそのまま Z-アルケンへ流れる [17]
  • 解離条件(KHMDS+18-crown-6、過剰 Na⁺) — カチオンによる中間体安定化(=可逆化の助長)を抑え、この速度論支配を強化する。

実験的にも、Wiemer らはα-ホスホノラクトンについて、KHMDS/18-crown-6/THF では E 体を、K₂CO₃/18-crown-6/THF では Z 体優先、DBU/CH₃CN では E 選択性 9:1(収率77%)という、塩基とカチオンだけでE/Zが逆転する結果を報告している [25]

金属塩(LiCl等)の役割

Roush–正宗条件 [5] で加える LiCl の役割は、通常「Li⁺がホスホネートの実効的な酸性度を高め、DBU や i-Pr₂NEt といった弱塩基でも脱プロトン化できるようにする」と説明される。Rathke–Nowak は Li塩だけでなくMg塩も有効であることを示した [6]。この通説を正面から検証した物理有機化学的研究は Froment–Corset の振動分光による検討 [24] がほぼ唯一であり、「Li⁺がキレートによりカルバニオンを安定化する」という広く語られる説明には一次的裏づけが乏しい現状と考えられる。

特徴・適用範囲・類似反応との比較

強み

  • 副生リン化合物が水溶性で、分液操作により除去できる(HWEを選ぶ最大の動機)
  • ホスホネートカルバニオンは対応する安定化リンイリドより求核性が高く、反応性の低いカルボニルにも届きやすい
  • 試薬が安価で、Michaelis–Arbuzov反応により自作しやすい
  • 分子内HWEによるマクロ環化が効率よく進行し、大環状化合物合成の標準手法のひとつとなっている
  • プロセス化学・工業スケールでの実績がある [35]

弱み・注意点

  • ケトンが苦手 アルデヒドに比べ反応が遅く立体選択性も低い。付加が遅いため低温反応が難しく、低温を要求する Z 選択条件を適用しにくい
  • エピマー化・ラセミ化 NaH等の強塩基下でα-キラルアルデヒドがエピマー化しうる。→ Roush–正宗条件 [5] または LiHFI条件 [14]
  • α位置換体で選択性が崩れる α-メチルホスホネート(三置換アルケン合成)では、教科書的な高 E 選択が成立しないことがある
  • 過剰ホスホネートの副反応 生成物はMichaelアクセプターであり、余ったホスホネートアニオンが付加しうる
  • 原子効率 量論量のリン試薬を消費する点はWittigと共通
  • 触媒化が未達 Wittig反応は触媒化に成功している [15] のに対し、HWEの触媒的(P回転)版は確立していない。触媒的Wittig反応の総説 [44] にもHWEの触媒化への言及がない
主なバリエーション
変法 試薬・条件 選択性 使いどころ
標準HWE (EtO)₂P(O)CH₂CO₂R、NaH/NaOMe/LDA 主に E 最も安価・汎用。塩基感受性基質には不向き
Still–Gennari法 [4] (CF₃CH₂O)₂P(O)–、KHMDS、18-crown-6、−78 ℃、希薄 Z(原法 >50:1) 条件が限定的。試薬が高価
安藤法 [7][8] (ArO)₂P(O)–(o-アルキルフェニル体が高選択)、NaH/NaI-DBU Z(93:7〜99:1) 試薬が安価。α置換体で三置換アルケンにも展開 [8]
HFIP型改良法 [17][20] ビス(ヘキサフルオロイソプロピル)ホスホノアセタート、NaH、−20 ℃ Z(芳香族 97:3) 18-crown-6もKHMDSも−78 ℃も不要。三置換アルケンにも拡張 [20]
Roush–正宗条件 [5] LiCl+DBU または i-Pr₂NEt、MeCN/THF、室温 E 塩基感受性基質の第一選択。選択性そのものは変えない
Rathke条件 [6] Li塩またはMg塩+Et₃N E Mg塩でも機能する
LiHFI条件 [14] リチウム ヘキサフルオロイソプロポキシド E エピマー化をほとんど伴わない
安藤NaI/DBU条件 [11] (ArO)₂P(O)–、NaI、DBU Z 塩基感受性基質で Z を狙う場合
改良法・派生法の広がり

無溶媒・DBU触媒による高 E 選択HWE [16]、ボールミルによるメカノケミカルHWE)[21] といったグリーン化が進む一方、不斉版としては、アキラルなホスホネート+外部キラル配位子を用いる手法 [9] と、Cinchona由来4級アンモニウム塩による相間移動触媒的不斉HWE [10] が1998年に相次いで報告されている。近年では、リン酸緩衝液中(pH 7.6〜8.6)でタンパク質・糖タンパク質をHWE修飾する手法 [18] や、Weinrebアミド型 E 選択的HWEにおける反応性マグネシウムホスホノエノラートの単離 [19] が報告された。

類似反応との使い分け
反応 主な前駆体 生成物の型 長所 短所・注意 使いどころ
HWE ホスホネート+アルデヒド E-α,β-不飽和エステル等(変法で Z 副生リンが水溶性で後処理が容易。安価 ケトンが苦手。強塩基が必要 E 共役エステルの標準手法。分子内マクロ環化
Wittig(安定化イリド) ホスホニウム塩+カルボニル 主に E 外部塩基が不要、単離イリドを使える Ph₃P=O の分離が課題 HWEが使えない場面の代替
Wittig(非安定化イリド) ホスホニウム塩+カルボニル 主に Z Z-アルケンを直接与える 塩基・条件に敏感 対応するHWE変法がなくWittig独自の領域
Julia–Kocienski スルホン+アルデヒド 主に E-二置換 one-potで高 E 選択 三置換以上で性能低下、スルホンの自己二量化 非共役の E-オレフィン
Peterson オレフィン化 α-シリルカルバニオン E/Z 作り分け可 立体的に小さく、込み合ったカルボニルでも進行。酸→E、塩基→Z 付加段階の選択性が別途必要 HWE/Wittigが失敗する嵩高い基質
Tebbe / Petasis 試薬 Ti試薬+カルボニル メチレン化のみ エステル・アミドもメチレン化可能 用途が限定、高価、Ti副生物 HWE/Wittigが効かないカルボニル

実務的な目安: E-α,β-不飽和エステルを作るならまずHWE。塩基感受性なら Roush–正宗条件か LiHFI。Z 体が欲しいなら安藤法(コスト面で有利)または HFIP型試薬。込み合ったケトンなら Peterson や Tebbe/Petasis を最初から検討する。

反応例

(+)-Aniduquinolone A の全合成[36]

MOM保護ホスホネートとアルデヒドを反応させている。特筆すべきは失敗例が明記されている点で、アセトキシ保護ホスホネートを用いた初期検討では目的物が全く得られず、保護基が脱離した生成物のみが得られた。一方で、MOM保護に変更したところ円滑に進行した。保護基の選択が反応性を左右する実例である。

Loroxanthin の全合成[37]

C15-ホスホネートとC25-アポカロテナールをHWE条件で連結し、ポリエン骨格を構築している。

Elgonene B の全合成・構造改訂[38]

「安藤型HWEオレフィン化」を鍵段階として明記した2024年の報告。Z 選択的変法が現在も第一線の全合成で使われていることを示す。

Lactimidomycin の全合成[33]

12員環に不飽和系を含む難環化系で、Zn(II)媒介の分子内HWEが用いられている。通常の塩基条件では閉環できず金属媒介条件を要したケースとして重要。

Curtachalasin B の全合成[39]

分子内HWEがマクロ環化法として現在も選ばれ続けていることを示す最新例。

ルストロンボパグ(Mulpleta®)の製造プロセス[35]

上市医薬品の鍵カルボン酸中間体について、ホルミル化とHWEをワンポット化した工業スケールプロセスが報告されている。

Roush–正宗条件 [5]

塩基感受性基質・エピマー化しやすいα-キラルアルデヒドに対しては、LiCl(過剰)+ DBU または i-Pr₂NEt を MeCN または THF 中で用い、室温で反応させる条件が第一選択とされる。エピマー化をさらに抑えたい場合は LiHFI条件 [14] も選択肢になる。

実験手順

標準的な実施例(断片連結型HWE)[37]

Loroxanthin 全合成の最終縮合。

  1. アルゴン雰囲気下、TES保護C25-アポカロテナール(245 mg, 0.40 mmol, 1.0 equiv)とTES保護ペンタジエニルホスホネート(226 mg, 0.48 mmol, 1.2 equiv)を無水THF(15 mL)に溶かす。
  2. −40 ℃に冷却し、NaHMDS(1.0 M THF溶液、0.96 mL, 0.96 mmol, 2.4 equiv)を加える。
  3. 同温で30分撹拌する。
  4. 飽和塩化アンモニウム水溶液で反応を停止し、酢酸エチルで抽出する。有機層を飽和食塩水で洗浄、乾燥、濃縮する。
  5. フラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン = 8:92)で精製し、縮合体を赤色粘性油状物として得る(247 mg, 収率67%)。
  6. (後続工程)無水THF(10 mL)中、TBAF(1.0 M THF溶液、1.04 mL)で室温15分処理して脱シリル化すると、loroxanthin が2工程 61% で得られる。
試薬コストの改善[34]

メチル化安藤型試薬を、カラムクロマトグラフィー不要・再結晶のみで調製できる。なお、HWE試薬そのものの調製法としては Organic Syntheses に収載されたプロトコル [32] が信頼できる。

実験のコツ・テクニック

  • LiCl は E 選択性を上げ、弱塩基の使用を可能にする [5][6]
  • 塩基とカチオンを変えると選択性が逆転しうる: 同一のα-ホスホノラクトン基質で、KHMDS/18-crown-6/THF → E 体、K₂CO₃/18-crown-6/THF → Z 体優先、DBU/CH₃CN → E 9:1 という報告がある [25]。選択性が出ないときは、まず塩基とカチオンを振ってみる価値がある。
  • 一般則としての選択性の振れ幅: E/Z 比は (1) THFよりDME、(2) 高温、(3) M⁺ = Li > Na > K、(4) アルデヒドのα置換が増えるほど、E 側に増加すると整理されている。
  • 安藤ホスホネートでは Na⁺ を過剰に加えると Z 選択性が向上する [12]。NaI/DBU条件 [11] も同じ方向の知見と整合する。
  • >99% E を狙うなら試薬の品質が効く: 「新たに昇華したKOtBu」「乾燥ジオキサンから再結晶したLiCl」「厳密な乾燥」「不活性雰囲気」の組み合わせで初めて達成できた。
  • ホスホネートを過剰に使いすぎない: 生成するα,β-不飽和エステルはMichaelアクセプターであり、余ったホスホネートアニオンが二重結合を攻撃しうる、という指摘がある。1.2当量程度で十分だったという報告例がある。
  • 添加順序・添加速度・撹拌効率は論文に書かれないことが多い: 再現しないときに疑うべき「記載外の変数」として挙げられている。
  • ⚠ NaH を DMF・DMAc・DMSO 中で用いると暴走反応・爆発の危険がある: プロセス化学の文献で報告されている。HWEを DMF/NaH で行う処方は多いため、スケールアップ時には特に注意が必要である。Wittig–Horner反応の反応熱量測定 [31] も大スケール実施時の参考になる。
  • 後処理: 副生するリン酸ジアルキル塩は水溶性のため、水洗・分液で除去できる。これがHWEの最大の実務的利点である。

参考文献

【原著】

  1. Horner, L.; Hoffmann, H.; Wippel, H. G. Chem. Ber. 1958, 91, 61–63. DOI: 10.1002/cber.19580910113(Hornerによる最初の報告)
  2. Horner, L.; Hoffmann, H.; Wippel, H. G.; Klahre, G. Chem. Ber. 1959, 92, 2499–2505. DOI: 10.1002/cber.19590921017(続報)
  3. Wadsworth, W. S., Jr.; Emmons, W. D. J. Am. Chem. Soc. 1961, 83, 1733–1738. DOI: 10.1021/ja01468a042(ホスホネートカルバニオンを用いる合成手法としての体系化。本反応の実質的な原報)

【変法・改良法】

  1. Still, W. C.; Gennari, C. Tetrahedron Lett. 1983, 24, 4405–4408. DOI: 10.1016/S0040-4039(00)85909-2(Still–Gennari法の原報)
  2. Blanchette, M. A.; Choy, W.; Davis, J. T.; Essenfeld, A. P.; Masamune, S.; Roush, W. R.; Sakai, T. Tetrahedron Lett. 1984, 25, 2183–2186. DOI: 10.1016/S0040-4039(01)80205-7(Roush–正宗条件の原報)
  3. Rathke, M. W.; Nowak, M. J. Org. Chem. 1985, 50, 2624–2626. DOI: 10.1021/jo00215a004(Mg塩+Et₃Nも有効であることを示した拡張)
  4. Ando, K. J. Org. Chem. 1997, 62, 1934–1939. DOI: 10.1021/jo970057c(安藤法の中核。ジアリールホスホノアセタートによる Z 選択化)
  5. Ando, K. J. Org. Chem. 1998, 63, 8411–8416. DOI: 10.1021/jo981337a(α置換体=三置換アルケンの Z 選択合成へ展開)
  6. Mizuno, M.; Fujii, K.; Tomioka, K. Angew. Chem. Int. Ed. 1998, 37, 515–517. DOI: 10.1002/(SICI)1521-3773(19980302)37:4<515::AID-ANIE515>3.0.CO;2-Q(外部キラル配位子による不斉HWE)
  7. Arai, S.; Hamaguchi, S.; Shioiri, T. Tetrahedron Lett. 1998, 39, 2997–3000. DOI: 10.1016/S0040-4039(98)00442-0(相間移動触媒的不斉HWE。[9]と同年の別アプローチ)
  8. Ando, K.; Oishi, T.; Hirama, M.; Ohno, H.; Ibuka, T. J. Org. Chem. 2000, 65, 4745–4749. DOI: 10.1021/jo000068x(NaI/DBUによる「温和塩基 × Z 選択」の融合)
  9. Pihko, P. M.; Salo, T. M. Tetrahedron Lett. 2003, 44, 4361–4364. DOI: 10.1016/S0040-4039(03)00935-3(安藤ホスホネートの Z 選択性が過剰Na⁺量に依存することを示した)
  10. Reichwein, J. F.; Pagenkopf, B. L. J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 1821–1824. DOI: 10.1021/ja027658s(EWGを欠く非安定化β-ヒドロキシホスホネートを用いる新規カップリング)
  11. Blasdel, L. K.; Myers, A. G. Org. Lett. 2005, 7, 4281–4283. DOI: 10.1021/ol051785m(LiHFI条件。エピマー化をほぼ伴わず高 E 選択)
  12. O’Brien, C. J.; Tellez, J. L.; Nixon, Z. S.; Kang, L. J.; Carter, A. L.; Kunkel, S. R.; Przeworski, K. C.; Chass, G. A. Angew. Chem. Int. Ed. 2009, 48, 6836–6839. DOI: 10.1002/anie.200902525(Wittig反応の触媒化)
  13. Ando, K.; Yamada, K. Green Chem. 2011, 13, 1143–1146. DOI: 10.1039/c1gc15134g(DBU触媒による無溶媒・高 E 選択HWE)
  14. Janicki, I.; Kiełbasiński, P. Molecules 2022, 27, 7138. DOI: 10.3390/molecules27207138(HFIP型改良Still–Gennari試薬。18-crown-6もKHMDSも−78 ℃も不要)
  15. Angelastro, A.; Barkhanskiy, A.; Journeaux, T.; Sivapalan, R.; King, T. A.; Rodríguez Pérez, L.; Goundry, W. R. F.; Barran, P.; Flitsch, S. L. Nat. Synth. 2024, 3, 976–985. DOI: 10.1038/s44160-024-00563-z(タンパク質・糖タンパク質のHWE修飾。強塩基不要)
  16. Murata, T.; Tsutsui, H.; Shiina, I. J. Org. Chem. 2024, 89, 15414–15435. DOI: 10.1021/acs.joc.4c01140(Weinrebアミド型 E 選択的HWE。反応性マグネシウムホスホノエノラートの単離)
  17. Janicki, I. J. Org. Chem. 2025, 90, 5725–5728. DOI: 10.1021/acs.joc.5c00470(HFIP型試薬の三置換アルケンへの拡張)
  18. Chen, H.; Barreto, S.; Solomin, V.; Dubouilh-Benard, C.; Couvé-Bonnaire, S.; Bouillon, J.-P.; Castanheiro, T. Chem. Eur. J. 2025, 31, e202500458. DOI: 10.1002/chem.202500458(メカノケミカルHWE)

【反応機構・選択性】

  1. Vedejs, E.; Snoble, K. A. J. J. Am. Chem. Soc. 1973, 95, 5778–5780. DOI: 10.1021/ja00798a066(³¹P NMRによるオキサホスフェタンの直接観測)
  2. Breuer, E.; Zbaida, S.; Sgall, E. Tetrahedron Lett. 1979, 20, 2203–2204. DOI: 10.1016/S0040-4039(01)93676-7(HWE系でオキサホスフェタンを観測)
  3. Froment, F.; Corset, J. J. Phys. Org. Chem. 1990, 3, 746–750. DOI: 10.1002/poc.610031108(「LiCl+DBUはなぜ働くのか」を正面から扱った物理有機化学的研究)
  4. Lee, K.; Jackson, J. A.; Wiemer, D. F. J. Org. Chem. 1993, 58, 5967–5971. DOI: 10.1021/jo00074a023(同一基質で塩基を変えるだけで E/Z が逆転)
  5. Brandt, P.; Norrby, P.-O.; Martin, I.; Rein, T. J. Org. Chem. 1998, 63, 1280–1289. DOI: 10.1021/jo971973t(律速段階が溶媒和の有無で移動することを示した量子化学計算)
  6. Ando, K. J. Org. Chem. 1999, 64, 6815–6821. DOI: 10.1021/jo9909150(リチウムエノラートを陽に含めたモデルによるHWE経路と立体化学の計算研究)
  7. Franci, X.; Martina, S. L. X.; McGrady, J. E.; Webb, M. R.; Donald, C.; Taylor, R. J. K. Tetrahedron Lett. 2003, 44, 7735–7740. DOI: 10.1016/j.tetlet.2003.08.095(Still–Gennari法と安藤法の直接比較)
  8. Byrne, P. A.; Gilheany, D. G. Chem. Soc. Rev. 2013, 42, 6670–6696. DOI: 10.1039/C3CS60105F(Wittig機構の現代的解釈)
  9. Chen, Z.; Nieves-Quinones, Y.; Waas, J. R.; Singleton, D. A. J. Am. Chem. Soc. 2014, 136, 13122–13125. DOI: 10.1021/ja506497b(ベタインは「バイパスされる中間体」)

【応用例・プロセス】

  1. Grabarnick, M.; Zamir, S. Org. Process Res. Dev. 2003, 7, 237–243. DOI: 10.1021/op020075i(Wittig–Horner反応の反応熱量測定)
  2. Azuma, H.; Okano, K.; Fukuyama, T.; Tokuyama, H. Org. Synth. 2011, 88, 152–161. DOI: 10.15227/orgsyn.088.0152(HWE試薬の調製法)
  3. Larsen, B. J.; Sun, Z.; Lachacz, E.; Khomutnyk, Y.; Soellner, M. B.; Nagorny, P. Chem. Eur. J. 2015, 21, 19159–19167. DOI: 10.1002/chem.201503527(Lactimidomycin全合成)
  4. Bressin, R. K.; Driscoll, J. L.; Wang, Y.; Koide, K. Org. Process Res. Dev. 2019, 23, 274–277. DOI: 10.1021/acs.oprd.8b00423(メチル化安藤型試薬のスケーラブル調製)
  5. Matsuura, T.; Sato, Y.; Nishino, Y.; Komurasaki, T.; Imamura, Y.; Kakinuma, M. Org. Process Res. Dev. 2020, 24, 2651–2656. DOI: 10.1021/acs.oprd.0c00311(ルストロンボパグの鍵中間体製造プロセス)
  6. Guo, F.-W.; Mou, X.-F.; Qu, Y.; Wei, M.-Y.; Chen, G.-Y.; Wang, C.-Y.; Gu, Y.-C.; Shao, C.-L. Commun. Chem. 2022, 5, 35. DOI: 10.1038/s42004-022-00655-x((+)-Aniduquinolone A全合成)
  7. Yamano, Y.; Tanabe, M.; Shimada, A.; Wada, A. Mar. Drugs 2022, 20, 658. DOI: 10.3390/md20110658(Loroxanthin全合成)
  8. Mandal, S.; Mahananda, D.; Dey, S.; Bharathavikru, R. S.; Thirupathi, B. J. Nat. Prod. 2024, 87, 152–159. DOI: 10.1021/acs.jnatprod.3c00988(Elgonene B全合成)
  9. Gao, F.; Wu, H.; Zhang, J.; Wang, P.; Deng, J. Angew. Chem. Int. Ed. 2026, 65, e24740. DOI: 10.1002/anie.202524740(Curtachalasin B全合成)

【総説】

  1. Boutagy, J.; Thomas, R. Chem. Rev. 1974, 74, 87–99. DOI: 10.1021/cr60287a005(古典的枠組み)
  2. Wadsworth, W. S., Jr. Org. React. 1977, 25, 73–253. DOI: 10.1002/0471264180.or025.02(HWEを扱った Organic Reactions の章)
  3. Maryanoff, B. E.; Reitz, A. B. Chem. Rev. 1989, 89, 863–927. DOI: 10.1021/cr00094a007(立体化学論の標準的一次出典)
  4. Kelly, S. E. In Comprehensive Organic Synthesis, 1st ed.; Trost, B. M., Fleming, I., Eds.; Pergamon: Oxford, 1991; Vol. 1, pp 729–817. DOI: 10.1016/B978-0-08-052349-1.00020-2(アルケン合成法全般の中でのHWEの位置づけ)
  5. Lao, Z.; Toy, P. H. Beilstein J. Org. Chem. 2016, 12, 2577–2587. DOI: 10.3762/bjoc.12.253(触媒的Wittig/aza-Wittigの総説)
  6. Janicki, I.; Kiełbasiński, P. Adv. Synth. Catal. 2020, 362, 2552–2596. DOI: 10.1002/adsc.201901591(Still–Gennariオレフィン化の決定版総説)
  7. Roman, D.; Sauer, M.; Beemelmanns, C. Synthesis 2021, 53, 2713–2739. DOI: 10.1055/a-1493-6331(2015–2020年の天然物全合成への応用を網羅)
  8. Babar, J.; Ahmad, S.; Parveen, B.; Ghulam Ali, K.; Mushtaq, A.; Zahoor, A. F.; Ahmad, R.; Mansha, A.; Irfan, A. Top. Curr. Chem. 2025, 383, 20. DOI: 10.1007/s41061-025-00504-0(ポリケチド系天然物合成におけるHWEの最新総説)

関連反応

関連書籍

知っておきたい有機反応100 第2版

知っておきたい有機反応100 第2版

¥2,970(as of 09/15 02:47)
Amazon product information

外部リンク

一般解説
教育資料
実験Tips

この反応についてもっと知りたい?

現役の研究者・学生が集まる ケムステSlack(無料) で聞いてみませんか?

ケムステSlack参加はこちら

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. バンバーガー転位 Bamberger Rearrangement…
  2. プラトー反応 Prato Reaction
  3. チチバビン反応 Chichibabin Reaction
  4. ラロック インドール合成 Larock Indole Synth…
  5. ヴィドマン・ストーマー シンノリン合成 Widman-Stoer…
  6. ニューマン・クワート転位/Newman-Kwart Rearra…
  7. ネフ反応 Nef Reaction
  8. ゲヴァルト チオフェン合成 Gewald Thiophene S…

注目情報

ピックアップ記事

  1. アクティブボロン酸~ヘテロ芳香環のクロスカップリングに~
  2. 硫黄 Sulfurーニンニク、タマネギから加硫剤まで
  3. ジャネット・M・ガルシア Jeannette M. Garcia
  4. エナンチオ選択的付加反応による光学活性ピペリジン誘導体の合成
  5. 第75回―「分子素子を網状につなげる化学」Omar Yaghi教授
  6. 磯部 寛之 Hiroyuki Isobe
  7. メビウス芳香族性 Mobius aromacity
  8. 三井物と保土谷 多層カーボンナノチューブを量産
  9. 大森 建 Ken OHMORI
  10. エシュバイラー・クラーク反応 Eschweiler-Clarke Reaction

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年6月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

注目情報

最新記事

タリンにいってきました BOS2026 前編

みなさんこんにちは。ケムステ代表です。久々にまともに記事を書きます。さて、表題の通り、6月後…

第6回鈴木章賞授賞式&第10回ICReDD国際シンポジウム開催のお知らせ

計算科学、情報科学、実験科学の3分野融合による新たな化学反応開発に興味のある方はぜひご参加ください!…

条件の「前後」も実験条件である【プロセス化学者のつぶやき】

前回まで1. 設定温度と系内の実温度のお話2. 温度値をどう判断するか3. 反応操作をし…

そのpH、“本当にその場所”の値ですか?ニードル式pHセンサーを使ってみた!

突然ですが、「培養の再現性がなんか悪い」「同じ条件のはずなのに結果がズレる」といった経験はあ…

「骨格編集」×「ナノカーボン合成」〜ナノカーボン合成の新戦略を実証〜

第719回のスポットライトリサーチは、名古屋大学大学院工学研究科(忍久保研究室)博士後期課程2年の平…

【書評】立体化学 はじめの一歩

立体化学は,分子の三次元構造を理解するための重要な分野であり,有機化学や…

水のシミュレーション入門 — 水分子を計算機の中でどう”描く”か —

身近なのに、計算機にとって手強い"水"。本記事では、点電荷モデルから機械学習まで、その"描き方"の進…

◆◇◆◇ 第36回フォーラム・イン・ドージン開催のご案内 ◆◇◆◇

同仁化学研究所が熊本から世界へ情報発信するフォーラム・イン・ドージンの開催ご案内です。今年は『な…

『力』による円偏光発光のon/off制御を単一分子レベルで実現

第718回のスポットライトリサーチは、東京科学大学 物質理工学院(相良研究室)博士後期課程2年の野中…

数日かかっていた反応機構解析を、わずか数分に!

機械学習ポテンシャルが変える計算化学の現在近年、DFT計算による反応機構解析は広く行われるよ…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP