[スポンサーリンク]

ケムステしごと

2013年就活体験記(2)

[スポンサーリンク]

 前回に引き続き、2013年就活体験記の4月以降の話とまとめをご紹介いたします。

4月第一週目~面接ラッシュ~

 大手の面接がスタートしました。私の場合、4月第一週目に集中し、月~日曜日まで毎日一社ずつ面接を受けました。そのため、準備もままならずとりあえずESで書いたことを確認するだけでした。それでも、推薦があるから大丈夫だろと思い油断していたともいます。
 一次面接では、およそ半分の企業が人事面接で、もう半分の企業が技術面接でした。人事で主に聞いてくることは、リーダーとして頑張ったことや、学生時代に力を入れたことでした。一方技術面接の場合、研究プレゼンをした後、研究の質疑応答。必ず聞かれるのが「その研究は何に役に立つの?」ケムステにも出てきましたが、絶対に聞かれます。研究の質問と言っても学会ではないので、そのテーマを始めたきっかけとかオリジナリティとか自分がどう動いたことを主眼に聞いてきます。
 今振り返るとありきたりなことしか言わなかったのでダメだったのかなと思います。個人的には、リーダー経験や研究に役立つことを考えているかで評価されてはたまらないと思うのですが、しょうがありません。

4月第二週目~暗雲が立ち込める~

 一週目終わって一息つきました。しかし次の連絡がきません。大抵の企業では、次に進める時の連絡は速い一方、「お祈りメール」が来るのは遅い(あるいは来ない)ものです。ただただ不安な気持ちをなんとか抑え、残る会社の準備をしました。

4月第三週~残る会社は二社~

 ここで推薦の会社も含めて大体の会社に落ちたことが分かりました。そのため不安でなかなか寝られない時もあり、研究も手につかない状態に陥りました。ただ、A社が最終面接に進めることになりそこに賭けることにしました。そのため、希望動機や研究内容を練って検討しました。

4月第四週~最終面接~

 最終面接では、集団面接で技術系役員面接でした。職種希望や研究などについて色々聞かれましたが、私の発言時に一番偉い人の顔つきがイマイチだったことが印象的でした。B社の二次面接では、時間が長く苦労しました。

5月~お祈りとリベンジマッチ~

 A社の最終面接のお祈り文書が郵送で来ました。悔しかった。この上なく悔しかった。そんな中、エントリーしている中で最後のB社が最終面接になりました。もちろん色々な質問を想定して答えを作っておきました。集団面接だったので、他の人の意見を尊重しつつ自分の意見を言うようにして、何とか乗り切りました。そして二日後連絡が来て内々定を頂きました。
以上が、私の就活でした。以下、この体験を踏まえてまとめます。

化学系のいいこと・悪いこと

 化学系院生が就活する時のメリットとデメリットを挙げます。
 まずメリットですが、業界を選ぶ必要がありません。化学を勉強してそれを生かそうとしたら化学系企業があるからです。それに対して物理系企業や数学系企業などはありませんよね。また、化学系から少し広げれば、マテリアル、化粧品、製薬なども化学に関連する業界です。そのため、初めからある程度絞られているので文系のように受ける業界を迷うことはありません。
 一方のデメリットですが、BtoBの企業が多く、何をやっているのか分かりにくいです。例えば、サランラップヘーベルハウスで有名な旭化成という会社がありますが、実際はそれだけでなく繊維、電子材料、医薬品、化学原料など化学に関連する様々な物を作っています。このように化学系企業の多くが身の回りのほとんどの原料を製造しているため、その会社独自の製品を見つけにくいのです。そのため、志望理由を考えるのに苦労しました。また推薦の制度があり、会社によっては推薦をメインで採用する場合もあるので、学校に推薦が来ていない場合は厳しいこともあります。
旭化成の会社形態:分社化して様々な事業を行っている(画像、旭化成のHPより)

東大生って就活は余裕だろ?

 ときどき「東大はすぐ決まるだろ」「東大は顔パスだろ」とか言われますが、少なくとも私の周辺ではそんなことは無いです。ほとんどの会社が面接がすべてで、推薦や学歴は面接にたどりつきやすくなるだけだと思います。むしろ、週刊誌などで「東大生は使いにくい人間」などと書かれていることもありますし、敬遠されているかもしれません。ただ、学内説明会が充実していたりリクルーターから声がかかったりという機会が多く、就活がやりやすいとは感じました。繰り返しになりますが、就活がやりやすい≠内定が出やすいであることは確かです。

反省点

 私なりに反省点とアドバイスをまとめました。

ESは色々な人にみてもらう:自分だけで見直してもよくわかりません。学内の就活サポートだけでなく、友達、両親、兄弟姉妹をフル活用して見てもらった方が、いいものが書けると思います。

面接の練習をする:ESと同じで色々な人に相手をしてもらって喋った経験が重要です。明快でコンパクトに話がまとまっているか、筋が通っているのかを聞いてもらった方がいいと思います。私の場合は、一人暮らしでかつ、研究室で就活をしていたのは私一人でしたので、就活について気軽に話を聞いてもらえる人がいなくて苦労しました。就活生は、ライバルであり良き相談相手ですから、どんどん仲間を作ってES見せ合いとか面接練習を積極的にやった方がいいと思います。

イベントには極力参加する:A社は、研究所訪問の日程が合わずリクルーターに問い合わせて一人で研究所訪問をさせていただきました。そこで聞けた話に共感出来たからこそ一次面接は突破できたのだと思います。ですから、出来るだけイベントには参加してたくさん質問するのが良いと思います。

自己分析はしっかりやる:自己分析なんかやりませんでした。そのため自分らしさをアピールすることが出来なくて、ありきたりのことしかアピールできなかったと思います。ですから、「自分はどういう人間か」ということと、その根拠のエピソードをしっかり考えておくことが必要になってくると思います。

ペーパーテストの対策は早めに:多分、8社くらいはSPIWEBテストで落ちたと思います。内容は大したことありませんが、手計算を鍛えておくとか文章読解に慣れておくなど、出来る対策はやっておいた方が良いです。

推薦の使い方:本当に行きたい会社の推薦があるならば、変なプライドを出さず素直に使う方が良いです。ただし、よほど強い推薦か推薦メインの会社で無い限りは書類選考免除くらいにしかならないのでリスクヘッジをしておくべきです。

研究との両立:研究は絶対にやってください。大学院は就職予備校ではありません。就活で進まなくなるのは明らかなので、それまでに頑張って進めておく方が良いと思います。研究も中途半端になると就活も中途半端になるのでしっかりとやってほしいです。

 
これから、2014年卒向けのインターンなども始まります。ですので、少しでも今後の就職活動の参考にして頂けたらと思います。

就活中に読んだ資料

[amazonjs asin=”4088596307″ locale=”JP” title=”銀のアンカー 1 (ジャンプコミックスデラックス)”][amazonjs asin=”4800304296″ locale=”JP” title=”主要3方式(テストセンター・ペーパー・WEBテスティング)対応これが本当のSPI3だ! 【2016年度版】”]
Avatar photo

Zeolinite

投稿者の記事一覧

ただの会社員です。某企業で化学製品の商品開発に携わっています。社内でのデータサイエンスの普及とDX促進が個人的な野望です。

関連記事

  1. 官能基化オレフィンのクロスカップリング
  2. 「サイエンスアワードエレクトロケミストリー賞」が気になったので調…
  3. 男性研究者、育休後の生活を語る。
  4. 岸義人先生来学
  5. なんだこの黒さは!光触媒効率改善に向け「進撃のチタン」
  6. 大正製薬ってどんな会社?
  7. 新規重水素化触媒反応を開発―医薬品への直接重水素導入を達成―
  8. マテリアルズ・インフォマティクス解体新書:ビジネスリーダーのため…

注目情報

ピックアップ記事

  1. サリチル酸 (salicylic acid)
  2. (+)-MTPA-Cl
  3. 位置選択的C-H酸化による1,3-ジオールの合成
  4. イグノーベル賞2022が発表:化学賞は無かったけどユニークな研究が盛りだくさん
  5. 有機合成プロセスにおけるマテリアルズ・インフォマティクスの活用
  6. ジェイコブセン速度論的光学分割加水分解 Jacobsen Hydrolytic Kinetic Reasolution (Jacobsen HKR)
  7. 第4回CSJ化学フェスタに参加してきました!
  8. YMC研究奨励金当選者の声
  9. 光触媒で人工光合成!二酸化炭素を効率的に資源化できる新触媒の開発
  10. Reaxys Ph.D Prize2019ファイナリスト発表!

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2012年7月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

注目情報

最新記事

【11月開催】 【第二期 マツモトファインケミカル技術セミナー開催】 題目:アクリル含浸樹脂 ビステックスシリーズのご紹介

■セミナー概要当社ではチタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素等の有機金属化合物の“オルガチッ…

【日産化学 27卒/Zoomウェビナー配信!】START your ChemiSTORY あなたの化学をさがす 研究職限定 キャリアマッチングLIVE

3日間で12領域の研究職社員がプレゼンテーション!日産化学の全研究領域を公開する、研…

hERG阻害 –致死性副作用をもたらす創薬の大敵–

創薬の臨床試験段階において、予期せぬ有害事象 (または副作用) の発生は、数十億円以…

久保田 浩司 Koji Kubota

久保田 浩司(Koji Kubota, 1989年4月2日-)は、日本の有機合成化学者である。北海道…

ACS Publications主催 創薬企業フォーラム開催のお知らせ Frontiers of Drug Discovery in Japan: ACS Industrial Forum 2025

日時2025年12月5日(金)13:00~17:45会場大阪大学産業科学研究所 管理棟 …

【太陽ホールディングス】新卒採用情報(2027卒)

■■求める人物像■■「大きな志と好奇心を持ちまだ見ぬ価値造像のために前進できる人…

欧米化学メーカーのR&D戦略について調査結果を発表

この程、TPCマーケティングリサーチ株式会社(本社=大阪市西区、代表取締役社長=松本竜馬)は、欧米化…

有馬温泉でラドン泉の放射線量を計算してみた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉は、日本の温泉で最も高い塩分濃度を持ち黄褐色を呈する金泉と二酸化炭素と放射性のラドンを含んだ…

アミンホウ素を「くっつける」・「つかう」 ~ポリフルオロアレーンの光触媒的C–Fホウ素化反応と鈴木・宮浦カップリングの開発~

第684回のスポットライトリサーチは、名古屋工業大学大学院工学研究科(中村研究室)安川直樹 助教と修…

第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」を開催します!

第56回ケムステVシンポの会告を致します。3年前(32回)・2年前(41回)・昨年(49回)…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP