[スポンサーリンク]

一般的な話題

深海の美しい怪物、魚竜

[スポンサーリンク]

恐竜の時代に広大な海を支配していた巨大な爬虫類「魚竜」。細長い吻(ふん)と大きな眼を持つこの謎に満ちた深海の怪物は、恐竜人気に圧されて長く影が薄れてしまっていたが、近年、再び関心が高まっており、その驚くべき進化史や生態が解き明かされつつある。今、魚竜研究が熱い。

タイトル・画像および説明はシュプリンガー・ネイチャーの出版している日本語の科学まとめ雑誌である「Natureダイジェスト」6月号から(画像クレジット:SCIEPRO/SPL/GETTY)。最新サイエンスを日本語で読める本雑誌から個人的に興味を持った記事をピックアップして紹介しています。過去の記事は「Nature ダイジェストまとめ」を御覧ください。

深海の美しき怪物「魚竜」

今月号の特集記事。記事を開く前に、トップの画像をみて「なんだこの恐竜みたいなやつ?」と思った人がほとんどだと思います。

タイトルにあるように「魚竜」と呼ばれる太古の海生爬虫類であり、恐竜ではありません。ましてや太古の魚類の化石などでもなく、なんだこりゃ?という生物。本記事の主役はリエージュ大学の主任研究員で魚竜研究の専門家であるValentin Fischer

彼も例外なく、恐竜や絶滅哺乳類の化石研究に憧れており、大学院生時代に魚竜研究になったときは落胆したとのこと。

なぜなら、魚竜は恐竜が陸上を闊歩していた時代に、よくいえば海の生態系の頂点に君臨していた、悪く言えば海からでれなかった魚のなかまに思えるからです。誰もが陸上を闊歩するかっこいい恐竜に目が行くのは当たり前。

しかし、最近古生物界では魚竜類への関心が再燃しているというのです。Fischerらを中心に多数の新種が発見されていることがその所以です。さらに実は、魚竜は「陸生から水生適応を遂げた爬虫類である」ということがわかりました。つまり、「彼らは水中で生きるために、体と生態と行動の全てを徹底的に作り変えた」のです。

本記事では最近次々と明らかとなった魚竜研究について述べています。

恐竜も昔はかっこよかったのに、最近の研究により毛があったんじゃないかといわれ、イメージ図はえらい変わってますね。一般的な意味でも他の生物に目が向いてくるのは自明なのかもしれません。

カエルで蛍光発光を初めて確認

南米のアマガエルの一種で未知の蛍光現象が発見された。新しい発光機構が明らかになるかもしれない。

タイトルと説明そのまま。まずは写真はこちら。

おお!ホントに光ってる!

このカエルは南米に生息する「ブチアマガエル」とよばれるカエルで、普段は黄緑色っぽい体に赤茶の斑点をもった地味めな様相。それが紫外線を照射するこんな緑色の蛍光を放つとのこと。なんとも遺伝子操作したような光るカエルですが、天然だからすごい。発見した研究者らはしっかり蛍光物質の構造も決定しており、ハイロインと呼ばれる3つの化合物が光る物質の正体だそうです[1]。

記事は短い内容ですが、この研究を報告した研究者へインタビューし、研究内容と今後の展望について述べています。ところでなんのためにカエルは光るのでしょう?それに関して明らかにするにはまだまだ時間がかかりそうです。

  1.  Taboada, C.; Brunetti, A. E.; Pedron, F. N.; Carnevale Neto, F.; Estrin, D. A.; Bari, S. E.; Chemes, L. B.; Peporine Lopes, N.; Lagorio, M. G.; Faivovich, J. PNAS 2017114, 3672–3677. DOI: 10.1073/pnas.1701053114

その他の記事

今月の無料記事は「がん発症原因の大半はDNAの複製エラー」という記事。がんは外的要因のDNAの損傷から始まり、がん原因物質からの予防が一般的にも広がっています。

しかし、32種類のがんの原因を確かめたところ半数を超える約66%がDNAの複製エラーであったとのこと。つまり主要因は外的要因ではないという研究です。とはいえど記事を読めばわかりますが、がんの種類によって少しずつ異なり、やはり外的要因が主要因であるというものもあるようです。研究によってこれまでの常識ががわりと変わる例は多いですが、どちらにしてもあまり左右されず中立の立場でみることが重要ですね。その他にも多分野の最新サイエンスが掲載されているのでぜひご購読を!

他分野の最新研究を知る

少し話はずれますが、私事ですが日本学術振興会が主催する先端科学シンポジウム(FoS)に招待され、参加研究者として9月に日米独のシンポジウムに参加します。かなり多くの研究者がこれまで参加されているので、ケムステ読者や読者の先生方も実は過去に参加されていたなんてことがあると思います。先日その事前検討会(日本語)が行われ、経済など非自然科学分野も含む様々な分野からのスピーカーの話を聞いてきました。

いろいろな分野の違いなども感じて総じて楽しかったのですが、やはり少なくとも表面上は一般的な最新科学の知識が最低限必要となります。

研究者となって活躍し、しばらくすると段々そういったことに参加しなければならいない機会が否応にも増えてくると思うので、最新科学をフォローしておくことは各分野の優秀な研究者とスムーズに会話や議論を進めるためにとっても重要です。その面でも、まずは日本語で最新科学を読めるこのNatureダイジェストは大変役に立っています。

ちなみに、私はその参加に関して、構造式を使わず自分の科学を表現しければならず四苦八苦しているところです苦笑。それではまた次回に!

過去記事はまとめを御覧ください

外部リンク

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. カーボンナノベルト合成初成功の舞台裏 (2)
  2. 採用面接で 「今年の日本化学会では発表をしますか?」と聞けば
  3. 薬学会一般シンポジウム『異分野融合で切り込む!膜タンパク質の世界…
  4. 光で脳/神経科学に革命を起こす「オプトジェネティクス」
  5. ミツバチに付くダニのはなし
  6. JCRファーマとはどんな会社?
  7. アレ?アレノン使えばノンラセミ化?!
  8. タンパク質の定量法―紫外吸光法 Protein Quantifi…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 潤滑油、グリースおよび添加剤の実践的分離【終了】
  2. 長井長義 Nagayoshi Nagai
  3. 「パキシル」服用の自殺者増加 副作用の疑い
  4. 「発明の対価」8億円求め提訴=塩野義製薬に元社員-大阪地裁
  5. ハリース オゾン分解 Harries Ozonolysis
  6. 南 安規 Yasunori Minami
  7. 2007年度ノーベル化学賞を予想!(2)
  8. 分析技術ーChemical Times特集より
  9. あなたの分子を特別なカタチに―「CrystalProtein.com」
  10. 異なる“かたち”が共存するキメラ型超分子コポリマーを造る

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2017年6月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  

注目情報

最新記事

7th Compound Challengeが開催されます!【エントリー〆切:2026年03月02日】 集え、”腕に覚えあり”の合成化学者!!

メルク株式会社より全世界の合成化学者と競い合うイベント、7th Compound Challenge…

乙卯研究所【急募】 有機合成化学分野(研究テーマは自由)の研究員募集

乙卯研究所とは乙卯研究所は、1915年の設立以来、広く薬学の研究を行うことを主要事業とし、その研…

大森 建 Ken OHMORI

大森 建(おおもり けん, 1969年 02月 12日–)は、日本の有機合成化学者。東京科学大学(I…

西川俊夫 Toshio NISHIKAWA

西川俊夫(にしかわ としお、1962年6月1日-)は、日本の有機化学者である。名古屋大学大学院生命農…

市川聡 Satoshi ICHIKAWA

市川 聡(Satoshi Ichikawa, 1971年9月28日-)は、日本の有機化学者・創薬化学…

非侵襲で使えるpH計で水溶液中のpHを測ってみた!

今回は、知っているようで知らない、なんとなく分かっているようで実は測定が難しい pH計(pHセンサー…

有馬温泉で鉄イオン水溶液について学んできた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉の金泉は、塩化物濃度と鉄濃度が日本の温泉の中で最も高い温泉で、黄褐色を呈する温泉です。この記…

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

圧力に依存して還元反応が進行!~シクロファン構造を活用した新機能~

第686回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院化学部門 有機化学第一研究室(鈴木孝…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP