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マシュー・ゴーント Matthew J. Gaunt

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マシュー・J・ゴーント(Matthew J. Gaunt、19xx年xx月xx日-)はイギリスの有機化学者である。ケンブリッジ大学化学科教授(写真:The Gaunt Group)。

経歴

1995 バーミンガム大学 卒業(首席)
1999 ケンブリッジ大学 博士号取得(J.B.Spencer教授)
1999-2001 ペンシルバニア大学 博士研究員(A.B.Smith教授)
2001-2003 ケンブリッジ大学モードリンカレッジ(Magdalene College) Junior Research Fellow(Steven V. Ley教授)
2003 ケンブリッジ大学 助教授
2006 ケンブリッジ大学 講師
2010 ケンブリッジ大学 Reader (准教授相当) in Chemical Synthesis
2012 ケンブリッジ大学 教授

受賞歴

2005 DowPharma Prize for Creativity in Chiral Chemistry
2008 Novartis Young Early Career Award in Organic Chemistry
2008 Eli Lilly Young UK Lecturer Award
2009 AstraZeneca Research Award
2009 Chemical Society Reviews Emerging Investigator Award
2013 Royal Chemical Society Corday Morgan Medal
2015–2020 Royal Society Wolfson Research Merit Award
2016 Arthur C. Cope Scholar Award
2019 RSC Synthetic Organic Chemistry Award
2019 Yusuf Hamied 1702 Chair of Chemistry

研究業績

Pd触媒を用いた脂肪族第二級アミンのC–H活性化

 2014年、環状アミンのPd触媒によるアジリジン合成を報告した[1a]。アミンのα位が全て置換された(一つはメチル基)モルホリノンに対し酸化剤存在下、Pd触媒を作用させると、β位メチル基のC–H結合が活性化され、四員環パラダサイクルが生成する。続く還元的脱離により、アジリジンを与える。本反応進行の鍵は、Pdに不活性錯体(Pdにアミンが2つ配位)の生成を、環状アミンの嵩高さにより抑制したことである。中間体である四員環パラダサイクルに一酸化炭素を吹き込むことによりβ-ラクタムも合成できる。さらに、得られたアジリジンに求核剤を加えることでアミンβC–H官能基化も達成した。同様なコンセプトで、環状アミンのγC–H官能基化も達成している[1b–d]

また、鎖状二級アミンもC–H活性化反応により、β-ラクタムに変換できる[1e]。初期条件検討の結果、1) 環状アミンのような四員環パラダサイクルは観測されない 2) アシル化された生成物を与えるが得られるという知見を得た。この知見から鎖状アミンの場合は、Pdがアミンに配位、続く一酸化炭素挿入の後、生成するPd無水物が中間体であると推定した。すなわち、Pd無水物のカルボニルaにアミンが求核攻撃すれば、副反応が進行する。一方で、アミンがカルボニルbと反応すれば望みの生成物を与える。そこで、1-アダマンタンカルボン酸、あるいは2,4,6-トリメチル安息香酸を添加したところ、嵩高いPd-無水物が生成、結果副反応(カルボニルaへのアミンの求核攻撃)の抑制に成功し、β-ラクタムを選択的に与えた。また、さらなる検討の結果配位子とベンゾキノン(還元的脱離の促進)の添加が反応性を著しく向上させることがわかった。

銅触媒と超原子価ヨウ素を用いたアリール化

 Cu()Pd()と比較し大きな正電荷を帯びている。そのため、Cu(I)と超原子価ヨウ素により系中で生じるアリールCu()種はアリールPd()種より強い求電子的アリール化剤になると考えた。実際に、Cu触媒と超原子価ヨウ素存在下、アリールCu()種によるシリルケテンイミドのカルボニルα位の不斉アリール化[2a]やアルケンのアリール化[2b]をはじめ、様々な求核種に対するアリール化を達成した[2c–f]

また、アリールCu()種を用いることで、インドールのC3位やアニリドのメタ位など、アリールPd()種を用いた場合と異なる位置での求電子的アリール化が進行することを見出した[2g, 2h]

アミノラジカルを鍵とする反応開発

 可視光光還元触媒を用いた三成分連結による新奇三級アミン合成法を報告した[3a]。酸触媒存在下、アルデヒド、あるいはケトンと二級アミンから生じるイミニウムイオンから可視光光還元触媒によりアミノラジカルが生成し、これをアルケンで捕捉することで三級アミンの合成を達成した。この手法により、嵩高い脂肪族第三級アミンを合成可能である。さらに、本手法に類似したアルケニルアミンとケトンによるスピロ環合成法も報告している [3b]

天然物の全合成

 自ら開発した有機反応を鍵とした天然物の迅速全合成に成功している。上述の超原子価ヨウ素とCu触媒によるC–Hアリール化を含む連続したC–H官能基化を鍵反応として、Dictiodendrin BK-252c(staurosporinone)の全合成を達成した[4a, 4b]。また、可視光光触媒触媒による三級アミン合成により1工程で合成可能な化合物を鍵中間体とし、生物活性化合物である (–)-FR901483(+)-TAN1251Cを各々6工程および3工程で合成した[4c]

コメント&その他[5]

  • ラボのメンバーに求める研究のレベルは非常に高い。メンバー各自の意見やアイデアを非常に尊重してくれるので、Gaunt研は自発的な学生、ポスドク向けの研究室と言える。
  • リフレッシュとして、忙しい中合間をぬって大学のプールで泳いでいる。カラオケが好き。
  • 夏には一部の卒業生も交えて自宅の庭でBBQパーティを開催し、夜遅くまで飲む。

関連動画

関連文献

  1. (a) McNally, A.; Haffemayer, B.; Collins, B. S. L.; Gaunt, M. J. Palladium-Catalysed C–H Activation of Aliphatic Amines to Give Strained Nitrogen Heterocycles. Nature 2014, 510, 129–133. DOI: 1038/nature13389 (b) Calleja, J.; Pla, D.; Gorman, T. W.; Domingo, V.; Haffemayer, B.; Gaunt, M. J. A Steric Tethering Approach Enables Palladium-Catalysed C–H Activation of Primary Amino Alcohols. Nat. Chem. 2015, 7, 1009–1016. DOI: 10.1038/NCHEM.2367 (c) He, C.; Gaunt, M. J. Ligand-Assisted Palladium-Catalyzed C–H Alkenylation of Aliphatic Amines for the Synthesis of Functionalized Pyrrolidines. Chem. Sci. 2017, 8, 3586–3592. DOI: 10.1039/c7sc00468k (d) Nappi, M.; He, C.; Whitehurst, W. G.; Chappell, B. G. N.; Gaunt, M. J. Selective Reductive Elimination at Alkyl Palladium(IV) by Dissociative Ligand Ionization: Catalytic C(sp3)−H Amination to Azetidines. Angew. Chem., Int. Ed. 2018, 57, 3178–3182. DOI: 10.1002/anie.201800519 (e) Willcox, D.; Chappell, B. G. N.; Hogg, K. F.; Calleja, J.; Smalley, A. P.; Gaunt, M. J. A General Catalytic β-C–H Carbonylation of Aliphatic Amines to β-lactams. Science 2016, 354, 851–857. DOI: 10.1126/science.aaf9621
  2. (a) Bigot, A.; Williamson, A. E.; Gaunt, M. J. Enantioselective α-Arylation of N-Acyloxazolidinones with Copper (II)-Bisoxazoline Catalysts and Diaryliodonium Salts. J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 13778–13781. DOI: 10.1021/ja206047h (b) Phipps, R. J.; McMurray, L.; Ritter, S.; Duong, H. A.; Gaunt, M. J. Copper-Catalyzed Alkene Arylation with Diaryliodonium Salts. J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 10773–10776. DOI: 10.1021/ja3039807 (c) Collins, B. S. L.; Suero, M. G.; Gaunt, M. J. Copper-Catalyzed Arylative Meyer–Schuster Rearrangement of Propargylic Alcohols to Complex Enones Using Diaryliodonium Salts. Angew. Chem., Int. Ed. 2013, 52, 5799–5802. DOI: 10.1002/anie.201301529 (d) Zhang, F.; Das, S.; Walkinshaw, A. J.; Casitas, A.; Taylor, M.; Suero, M. G.; Gaunt, M. J. Cu-Catalyzed Cascades to Carbocycles: Union of Diaryliodonium Salts with Alkenes or Alkynes Exploiting Remote Carbocations. J. Am. Chem. Soc. 2014, 136, 8851–8854. DOI: 10.1021/ja504361y (e) Beaud, R.; Phipps, R. J.; Gaunt, M. J. Enantioselective Cu-Catalyzed Arylation of Secondary Phosphine Oxides with Diaryliodonium Salts toward the Synthesis of P-Chiral Phosphines. J. Am. Chem. Soc. 2016, 138, 13183–13186. DOI: 10.1021/jacs.6b09334 (f) Lukamto, D. H.; Gaunt, M. J. Enantioselective Copper-Catalyzed Arylation-Driven Semipinacol Rearrangement of Tertiary Allylic Alcohols with Diaryliodonium Salts. J. Am. Chem. Soc. 2017, 139, 9160–9163. DOI: 10.1021/jacs.7b05340 (g) Phipps, R. J.; Grimster, N. P.; Gaunt, M. J. Cu(II)-Catalyzed Direct and Site-Selective Arylation of Indoles under Mild Conditions. J. Am. Chem. Soc 2008, 130, 8172–8174. DOI: 10.1021/ja801767s (h) Phipps, R. J.; Gaunt, M. J. A Meta-Selective Copper-Catalyzed C–H Bond Arylation. Science 2009, 323, 1593–1597. DOI: 10.1126/science.1169975
  3. (a) Trowbridge, A.; Reich, D.; Gaunt, M. J. Multicomponent Synthesis of Tertiary Alkylamines by Photocatalytic Olefin-Hydroaminoalkylation. Nature 2017, 561, 522–527. DOI: 1038/s41586-018-0537-9 (b) Flodén, N. J.; Trowbridge, A.; Willcox, D.; Walton, S. M.; Kim, Y.; Gaunt, M. J. Streamlined Synthesis of C(sp3)-Rich N‐Heterospirocycles Enabled by Visible-Light-Mediated Photocatalysis J. Am. Chem. Soc. 2019, 141, 8426–8430. DOI: 10.1021/jacs.9b03372
  4. (a) Pitts, A. K.; O’Hara, F.; Snell, R. H.; Gaunt, M. J. A Concise and Scalable Strategy for the Total Synthesis of Dictyodendrin B Based on Sequential C–H Functionalization. Angew. Chem., Int. Ed. 2015, 54, 5451–5455. DOI: 10.1002/anie.201500067 (b) Fox, J. C.; Gilligan, R. E.; Bennett, H. R.; Gaunt, M. J. The Total Synthesis of K-252c (staurosporinone) via a Sequential C–H Functionalisation Strategy. Chem. Sci. 2016, 7, 2706–2710. DOI: 10.1039/c5sc04399a (c) Reich, D.; Trowbridge, A.; Gaunt, M. J. Rapid Syntheses of (–)-FR901483 and (+)-TAN1251C Enabled by Complexity-Generating Photocatalytic Olefin Hydroaminoalkylation. Angew. Chem., Int. Ed. 2020, 59, 2256–2261. DOI: 10.1002/anie.201912010
  5. 現在(2020年5月)Gaunt研に所属している博士研究員の方からコメントをいただきました。

外部リンク

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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