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製品開発職を検討する上でおさえたい3つのポイント

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基礎研究と製品開発は、目的や役割がそれぞれ異なります。しかし、求人情報の応募要件を見てみると「〇〇の知見を有する方」や「〇〇の研究開発経験〇年以上」など両者で重複する部分もあります。

また、製品開発をやってみたいとは思っていても、求人情報の応募要項でよく見る「コミュニケーション力が高い方」というのを見て、自分は明るくないから無理だ、と諦めたりする方もいるのではないでしょうか。良いものを作りたいという気持ちがあるのに「コミュニケーション力」という言葉に躊躇して応募を諦めてしまうのはもったいないです。“コミュニケーション力が高い=明るい”とは限りません

今回は、製品開発職を検討する上でおさえたい3つのポイントについて紹介いたします。ポジションを選び際の参考にしていただければと思います。

ポイント1:研究のどこにやりがいをどこに感じるか考える

ポイント2:企業の要望に寄り添えるか考える

ポイント3:自己分析をする

ポイント1:やりがいをどこに感じるか考える

先日、20代の若い研究者の方と面談をしました。職種については、基礎研究でも製品開発でもどちらでも構わないとおっしゃるのでご経験やスキルが合致する製品開発の求人をご紹介しました。求人内容について詳細な説明をしたところ、ある懸念事項が出てきたようです。それは、「顧客のリクエストにどこまで従うべきか」という事でした。

その方は当時、郊外にあるメーカーの研究所で基礎研究に従事されていました。基本的にクライアントとの折衝は少なく、社内での打ち合わせがほとんどでした。更に詳しくお話をうかがってみると、「学生時代から自分の好きな研究に従事し、現在も興味がある分野で仕事ができています。業務内容以外で転職したい事情はあるものの、顧客に寄り添った開発をすることになった場合、モチベーションを維持できるかどうか不安です。」とおっしゃいました。

この方は面談で、求人情報の詳細を聞き、私からの問いかけに答えていくうちに、ご自身の気持ちに気づかれました。

 

製品開発職は、顧客の要望を聞き、それに沿った研究をする必要があります。時にはやりたい研究と違うことをしなければならない時もあります。興味のある分野の研究をし続けることがモチベーションになっているこの方の場合、安易に製品開発の仕事を選ぶとストレスになる可能性があります。基礎研究は、新しい技術を生み出すという意味では世のため人のために役立っています。しかし製品開発の方が、よりその実感を得やすいです。ここにやりがいを感じられるかどうかが製品開発をする上で大切です。基礎研究にも製品開発にもご興味をお持ちの方は、本当にどちらでも問題がないか一度考える事をお勧めします。

 

ポイント2:企業の希望に寄り添えるか考える

“周囲とコミュニケーションを取りながら顧客折衝ができる方”という趣旨の文言は、製品開発の応募要件でよく目にする内容です。転職相談に来られた方に、経験やスキルが応募要件に合致しているのでご紹介しても、顧客折衝はできそうにない、と断る方もいらっしゃいます。

製品開発の求人について詳細を確認したく、企業を訪問した際、人事の方がこんな事をおっしゃいました。「コミュニケーション能力の高い方を採用したいと思ってはいますが、必ずしも快活で明るいイメージの方でなくとも構いません。」詳しくお話をうかがってみると、第一に技術力で評価したいというポイント以外に、そうおっしゃる理由がいくつかありました。

 

「確かに、お客さまとお話しをしていただく場合、見た目の爽やかさや明るさはあれば尚良いです。しかし、もちろん明るいだけではコミュニケーション能力が高いとは言えません。コミュニケーション能力とは相手の話をよく聞こうとする姿勢や、言ったことを的確に捉える力、物事を正しく伝える力というものが含まれると認識しています。要は製品を育てていこうと思う気持ちや、お客さまに寄り添いながらともに作り上げていきたいという気持ちをお持ちいただける方であれば、必然的に行動に表れると思います。面接では、その方の過去のご経験に合わせて、その辺りも確認させていただいています。」

 

“コミュニケーション能力が高い方”と書いてあると、どうしても明るく、次から次へと言葉が出てくる話上手の人、と思ってしまいがちですが、それだけではありません。顧客の要望に寄り添えるか、顧客が発した言葉から何を希望しているのかをくみ取れる能力こそが製品開発職には必要です。

ポイント3:自己分析をする

製品開発職に限らずですが、転職を考えた時に自己分析をすることは重要です。基礎研究を選ぶべきか、製品開発を選ぶべきか悩んでいたとしても、「好きな分野の研究をとことん突き詰めたい。」や「自身が行っている研究で、世のため人のために役に立っている実感がほしい。」など、本当は何がやりたいのか、どこにやりがいを感じるのか、自己分析をすることで気づくことができます。

また、自己分析の他に他己分析をしておくとよりスムーズです。他人にどう思われているか、それは何故かを聞くことでご自身を客観的に分析することができます。ご自身では今まで気づけなかった意外な一面を知ることができるかもしれません。他人にどう思われているかを知ることは、面接時の自己PRや、面接官の質問に対する返答でよい材料になることもありますので、自己分析とあわせて他己分析をすることをお勧めします。

まとめ

基礎研究職と製品開発職で迷われている場合、ご自身が研究のどこにやりがいを感じるかをしっかり把握することが重要です。把握することで、目指すポジションがはっきりします。また、製品開発の応募要項に良く書かれている「コミュニケーション能力が高い方」は単に明るく、話し上手な方を指しているのではありません。製品開発をする上で重要な顧客に寄り添い、顧客の要望をくみ取った研究ができるかどうかという意味が含まれています。コミュニケーション能力が高くないから自分には合わないと思い込んでいる人も自己分析をすると新たな発見があるかもしれません。

求人票に記載されている内容のみでは実際の業務や求める人物像をイメージすることが難しい場合もあります。その際は、ぜひLHH転職エージェントにご相談ください。求人内容の詳細を説明するだけでなく、人事の方から直接聞いた求める人物像や、求人票からはうかがい知れない社内の雰囲気、上司となる方の人柄などもお伝えいたします。また、ポイント1で出てきた求職者の方のように、面談でコンサルタントと話をしていく中でご自身が研究のどこにやりがいを感じるか気づく事ができたケースもあります。自己分析の方法や応募書類の書き方・面接のコツなどもお伝えしますのでお気軽にご相談ください。

著者

畠山紗衣

LHH転職エージェント(アデコ株式会社)の転職コンサルタント。

現在は理系出身者の転職支援を手掛けるが、主に化学・電気・機械領域、メーカー・商社・プラントエンジニアリング会社を専門領域としている。大学卒業後、人材紹介会社に入社し機械・電気・化学業界全般企業担当コンサルタントとなるも、その後大手金融機関を経て現職。自分自身がキャリアを模索した経験からも求職者の悩みへの理解は深い。
Linkdin:linkedin.com/in/紗衣-畠山-90a212108

 

*本記事はLHH転職エージェントによる寄稿記事です

LHH転職エージェント(アデコ株式会社)は、中途採用のための転職エージェント。
20代、30代、40代の決定実績が豊富です。
化学系技術職においては、研究・開発、評価、分析、プロセスエンジニア、プロダクトマネジメント、製造・生産技術、生産管理、品質管理、工場管理職、設備保全・メンテナンス、セールスエンジニア、技術営業、特許技術者などの求人があります。
転職コンサルタントは、企業側と求職者側の両方を担当する360度式。
「技術のことをよくわかってもらえない」「提案が少ない」「企業側の様子がわからない」といった不安の解消に努めています。


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Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

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