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化学書籍レビュー

最新ペプチド合成技術とその創薬研究への応用

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内容

近年の生命科学と創薬科学の進歩に基づいて登場した多数のペプチド性医薬品は生理学的、病理学的に理論通りの薬理作用を示すことから医療の現場に劇的な影響を与えており、高純度でかつ大量のペプチドを合成するための方法論が必要になっています。本書はこのような時期に、ペプチド合成と創薬研究のマイルストーンとしてペプチド合成の基本と新技術から創薬研究への展開までの広範囲にわたる内容を日本における第一線のペプチド研究者、さらには海外の最先端ペプチド合成研究グループからも執筆いただき、さらなる画期的なペプチド合成法の開発とその創薬研究への応用ならびにペプチド医薬品の開発へとつながることを期待して企画されております。(序章より抜粋)

対象

  • ペプチドに特化した合成化学・創薬化学の先端研究、とりわけ日本発の代表的成果を知りたい研究者

概要・解説

固相合成法ネイティブ・ケミカル・リゲーションという2大ブレイクスルーを経て以来、ペプチドの合成化学は多方面へ幅広く展開を見せている。

本書はペプチド合成化学、および創薬化学への応用を広範囲にわたってまとめ上げた日本語書籍である。

とくに2012年までの日本発の第一線研究が、網羅的にまとめられている点に価値を感じる。

また他分野の研究者向けにも配慮があり、ペプチド合成になじみのなかった筆者としては、第1章の「Fmoc型固相ペプチド合成の基礎」こそが、固相合成法の基礎をつかむに大変有益な内容であった。

このようなトピック枠での日本語書物は貴重である。ペプチド合成を始めたばかりの研究者のとっかかりとしても、良い書籍だと思える。

cosine

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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