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一般的な話題

ナノスケールの虹が世界を変える

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あらゆる色の蛍光を発するウイルスサイズの粒子が、テレビのディスプレイからがん治療まで、広範囲な応用分野に革命を起こそうとしている。

 

タイトルはネイチャー・パブリッシング・グループ(NPG)の出版している日本語の科学まとめ雑誌である「Natureダイジェスト」6月号から。

本シリーズも9回目を迎え、一般的な最新科学を気軽に読めることから筆者も毎号楽しみにしています。そのNatureダイジェストから個人的に興味を持った記事をピックアップして紹介しています。過去の記事は下記関連記事を御覧ください。

 

自分たちが求める特別なナノ蛍光をつくりだす

最近、「ナノ発光体」と呼ばれる直径わずか数十nm粒子の応用研究が盛んになっています。

もっとも代表的なものは「量子ドット」と呼ばれる、ナノスケールの半導体結晶。結晶の粒子の大きさや形によって特定の色の光だけを吸収したり放出することが可能です。すでに実用化されているフラットディスプレイやバイオイメージング研究だけでなく、太陽電池、DNAマッピング、外科手術に至るまで、”ウイルスサイズの粒子”が科学分野を席巻しています。

量子ドット技術を初期段階で企業化した(Nanosys)の創設者であり、超有名科学者であるPaul Alivisatos教授は、

「今は非常に面白いときです」。

と話しています。

 

量子ドットの概念図(出典:Natureダイジェストより)

量子ドットの概念図(出典:Natureダイジェストより)

 

記事ではこの量子ドットの応用からはじまり、ナノ発光体の新興勢力である、PドットやAIEドット、アップコンバージョン粒子に関する最新研究と量子ドットとの組み合わせ研究まで紹介しています。ナノ発光体について知りたい方は絶好のよくまとまっている記事だと思います。

 

電場で化学反応を制御する

電場を用いて化学反応を制御できるのか?そんな問いに単分子レベルの実験で答えた。

上記も化学に関する記事ですが、分子を使った化学の記事は久しぶりです。

原子効率の高い有機反応として名高い、Diels-Alder反応を電場をかけて行ったところ反応が加速しました。という話。

Diels-Alder反応は2分子反応なので分子がより近くにあったほうが反応が速く進行します。今回、青色のジエン(赤色)をつけた金(Au)製の探針と、ジエノフィル(赤色)をつけた金基板との間で電場を発生させたところ、反応が進行し生成物が得られたそうです。

電場を強くすると反応は加速する一方、電場を逆方向にかけると反応は全く進行しない。つまり、電場が触媒となって(触媒量という意味でなく)反応が進行しているわけです。

 

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電場によって制御される化学反応(出典:Natureダイジェストより)

うまい設計ですが、「そんなにうまくいくのか?」というぐらいうまくいっているので驚きも半分。記事では、この研究内容を詳しく紹介しています。

 

実験機器の最新DIY

注目の3Dプリンター。実験機器の”設計図”を無料で公開して誰でも自作できるようにする試みがいま始まっている。

3Dプリンターも、ピンキリありますが、発売当時に比べて大変お安くなりました。理論的にはハードウェアを思った通り安価につくることのできるすばらしい技術だと思います。それに伴い、インターネットで様々な製品の3Dプリンター用の「設計図」が無償で公開されています。

研究の世界でも、ネット上で設計図が無償で公開されており、研究機器のオープンソースハードウェアが実現されようとしています。一方で、研究機器を使用する科学者は意外にもそれに無関心。記事ではスイスで開かれたにオープンソースハードウェアに関する会議の話と、研究分野におけるこの分野の今後の使いみちや将来について語っています。

 

個人的には実験器具ではないですが、製造会社の廃業のため購入不能に陥っているHGC分子模型(記事:【悲報】HGS 分子構造模型 入手不能に)をDIYしたいところ。しかし、図面を手に入れることができず、CADにおこすのは不可能に近いことがわかりました。

3Dプリンター最大手のキーエンスに問い合わせてみましたが、データがあればつくれますが、データは用意できず、図面もないので、CTスキャンするしかないとのこと。それだけで多額の費用がかかります。だれかCADでつくってくれないでしょうか。

 

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このまま伝説となってしまうのか?HGS分子模型

 

その他の記事

Natureダイジェストは一部の記事を無料公開しており、6月号からはニュース「巨大ウイルスにもCRISPR様の「免疫系」が!」を無料で閲覧可能です。

また、日本人著者へのインタビューは「水から高効率で酸素と電子を生む鉄触媒」で、分子科学研究所・正岡重行グループの岡村将也さん。高い効率で酸素を発生させる鉄触媒をつくりNatureに掲載された論文の筆頭著者です。実験の進め方、投稿から受理されるまでの苦難などを中心に、現場研究者の生の声を聞くことができます。

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岡村さん(写真左:現在名古屋大学特任助教)と正岡准教授(写真右)

 

科学を楽しむ心

 目の前の”お仕事”的な研究に夢中で、科学を楽しむ心を忘れていないでしょうか。よく知っている研究の論文とにらめっこして視野が狭くなっていると感じることはありませんか。そこまで視野が狭くなっているのは大したものです。とっても良いことだと思います。ただし、たまにはぼーっとでも最新科学の読み物でもいかがでしょうか。最新科学を日本語で知ることのできるNature ダイジェストの購読はこちら!

 

私は最近、このNature ダイジェストを読みながら、寝落ちすることを心がけています(苦笑)。ではみなさま良い夢を!

 

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Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

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