[スポンサーリンク]

化学書籍レビュー

有機化学命名法

[スポンサーリンク]

概要

本書は2013年にIUPACに勧告された、”Nomenclature of Organic Chemistry: IUPAC Recommendations and Preferred Names”を元に有機化学における命名法を網羅したバイブルともいえる書である。

対象

有機化合物を扱う全ての人

解説

既に日本化学会からはHPや化学と工業誌(pdf直リンク)にて情報が出されていたが、2013年に有機化合物の命名法についてかなり大きな変更があった。

例えば、

この化合物をどうやって命名していただろうか?筆者の時代は2-butylprop-2-enalであったが、これを用いることができなくなった。

すなわち、主鎖を選ぶ場合主官能基を含み不飽和結合がある場合はその鎖を主鎖としていたところ、不飽和結合の有無は無視してとにかく一番長い鎖にするのである。よって、この化合物は2-methylidenehexanalとしなければならない。これは官能基が無い炭化水素の場合も同様であるので、アルケンの一種なのに、語尾がアルカンになってしまうなど古い頭にはどうにも馴染めないシステムになった。

また、isopropylなども使用できない、ジエチルエーテルがethoxyethaneになるなど高校レベルの教科書も相当書き換える必要が出てくるような大きな変更である。

ただし、これらの変更は優先IUPAC名(preferred IUPAC name, PIN)であり、PINしか使えなくなったという訳ではない。過去の命名法に準拠した一般IUPAC命(general IUPAC name, GIN)の使用も認められていることから、ただちにacetoneという名称が使えなくなる訳ではない(ただし上記の例の2-butylprop-2-enalのようなものは使えないので注意)。いずれにしても今後はPINによる命名について身に付ける必要があるし、いつの日かGINが使えなくなる日に向けた準備を始めなければならないのであろう・・・

本書では冒頭で主な変更点について列挙されており、そのページは有機化合物を扱う者にとっては必ず読まなければならないものである。研究室には必ず1冊必要であろう。

関連書籍

この第二版は2016年の刊行であるが、初版は2011年刊行であることに注意が必要である。

The following two tabs change content below.
ペリプラノン

ペリプラノン

有機合成化学が専門。主に天然物化学、ケミカルバイオロジーについて書いていきたいと思います。

関連記事

  1. 日本にノーベル賞が来る理由
  2. 大学院講義 有機化学
  3. 医薬品の合成戦略ー医薬品中間体から原薬まで
  4. 2009年6月人気化学書籍ランキング
  5. 2009年8月人気化学書籍ランキング
  6. English for Presentations at Int…
  7. クロスカップリング反応関連書籍
  8. フィンランド理科教科書 化学編

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. ゴードン会議に参加して:ボストン周辺滞在記 PartI
  2. グレッグ・バーダイン Gregory L. Verdine
  3. 知の市場:無料公開講座参加者募集のご案内
  4. スイス・ロシュの1―6月期、純利益4%増
  5. 祝5周年!-Nature Chemistryの5年間-
  6. Junfeng Zhao
  7. アルダー エン反応 Alder Ene Reaction
  8. いざ、低温反応!さて、バスはどうする?〜水/メタノール混合系で、どんな温度も自由自在〜
  9. アメリカで Ph. D. を取る –希望研究室にメールを送るの巻– (準備編)
  10. ソーレー帯 (Soret band) & Q帯 (Q band)

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

ヒドロゲルの新たな力学強度・温度応答性制御法

第230回のスポットライトリサーチは、東京農工大学大学院工学府(村岡研究室)・石田敦也さんにお願い致…

光誘導アシルラジカルのミニスキ型ヒドロキシアルキル化反応

可視光照射条件下でのアジン類のミニスキ型ヒドロキシアルキル化反応が開発された。官能基許容性が高いため…

イオン交換が分子間電荷移動を駆動する協奏的現象の発見

第229回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院 新領域創成科学研究科(竹谷・岡本研究室)・山下…

化学産業における規格の意義

普段、実験で使う溶媒には、試薬特級や試薬一級といった”グレード”が記載されている。一般的には、特級の…

特許資産規模ランキング2019、トップ3は富士フイルム、三菱ケミカル、住友化学

株式会社パテント・リザルトは、独自に分類した「化学」業界の企業を対象に、各社が保有する特許資産を質と…

TQ: TriQuinoline

第228回のスポットライトリサーチは、足立 慎弥さんにお願い致しました。シンプルながらこれま…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP