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化学一般

読むだけで身につく化学千夜一夜物語 食品、日用品から最先端技術まで75話

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千夜一夜物語、そう、アラビアンナイトの日訳です。新しい妻を娶っては毎朝処刑するというペルシャ王シャハリヤートの暴虐を止めるため、大臣の娘シェーラザードが毎晩物語を聞かせてはクライマックスで朝を迎えます。先が気になるシャハリヤートはシェーラザードを処刑できず、そうしてるうちにシャハリヤートは考えを改め、シェーラザードと幸せに暮らしました。というお話です。

今回紹介する本書は、思わず先が気になる “身近な化学” の千夜一夜物語です!

概要

「スイヘーリーベボクノフネ」「なぜ、チーンでご飯が温かくなる?」他楽しい75話.長崎新聞の人気連載記事に大幅な加筆を加えて教養の化学書として再登場.それぞれ見開き構成で全75話.日常生活に見る現象,宇宙をかたちづくる粒子から,環境問題,情報化社会を支える化学物質まで,楽しい喩えと切り口で化学の不思議を解き明かす.

(引用元:化学同人HP

対象者

誰でも。もともと長崎新聞で連載されていたコラムも収録されています。身の回りの化学に興味のある小中高生でも楽しめると思います。教員の方も、授業のヒントになるトピックがちりばめられており参考になりそうです。

内容と感想

千夜一夜物語と銘打っているのに違わず、先が気になる日常に潜む化学+最先端の話題を多岐にわたって紹介されています。一つのエピソードが見開き一ページに区切られているので、気が向いたときに軽い気持ちで読めるのは大きなメリットかとも思います。もちろん短さゆえに、内容が紹介にとどまっているエピソードも多いですが、キーワードが適切にちりばめられており、ネット検索などでさらに調べるといったこともしやすいように工夫されているように思いました。

全14章の各エピソードのタイトルは次のようになっています。雰囲気を感じてもらえるように、3章までは副題も載せました。

目次

1章 基本の基
[1] 化学の「化」
[2] 宇宙はたった3種類の粒子でできている
[3] 原子の構造、大きさ、重さ
[4] スイヘーリーベボクノフネ
[5] マジックナンバ―は8
2章 化学物質の構造と結合エネルギー
[6] 二人で仲良く、化学構造 その1
[7] 電子を共有、化学構造 その2
[8] 光って何?
[9] 化学結合とエネルギー
[10] 何故、チーンでご飯が温かくなる?
[11] 右手と左手の形は同じか違うか?
3章 変わり者化合物
[12] 水の沸点は異常に高い
[13] 酸素があっても生きていける?
[14] ドライアイスと氷の違い
[15] 最も美しい金属―金
4章 化学構造と性質
5章 命を支える
6章 生命体を作る化合物
7章 天然品から工場生産へ
8章 プラスチック
9章 生命の力を利用するものづくり
10章 無機化合物
11章 健康と化学
12章 自然と化学
13章 生命の維持、活動
14章 先端技術と化学

全部は紹介できませんが、印象に残ったいくつかを以下に紹介させていただきます。

10:何故、チーンでご飯が温かくなる?

キッチンの立役者、電子レンジの話題です。中に食べ物を入れてボタンを押すと、火を全く使ってないので食べ物が暖かくなりますよね。電子レンジだと食べ物内部が暖かくなる理由を話題にしています。「日本酒で熱燗を作るときに、お湯で加熱するときと電子レンジで加熱するときでは日本酒のまろやかさが違う」というトリビアも紹介されました。今度試してみよう。

18:青魚、ポリフェノールはなぜ健康に良いか

青魚に含まれるエイコサペンタエン酸や、赤ワインに多く含まれるというポリフェノールは体に良いとされています。しかし、なぜ体に良いのかは考えたことがない方も多いのではないでしょうか? 実は酸化防止剤という観点では、原理は一緒なんですね。筆者もこれを読むまではっきりと認識していませんでした。気になる方はぜひ、本書を手に取っての42ページを見てみてください。

33:アンモニア:人類を救った大発見

20世紀の人類共通の課題であった食糧問題を解決に導いたため、最大の人類を救った化学ともいわれるハーバー・ボッシュ法の話題です。19世紀終わりにクルックス卿が「今の食糧生産能力から考えると、地球の人口は40億人より増えることはできない」といった予言を見事に打ち破っています。この「空気からパンを作ることを可能にした」と比喩されるハーバー・ボッシュ法にまつわる話を要領よく学べるのが本書の78ページに紹介されています。

60:蛍はなぜ光る?

筆者の専門が光化学なので、光の話題も紹介します。定番といえば定番のホタルの光の話ですが、ファーブル昆虫記のファーブルが初めはどう考えたか、というような歴史の話を含めて要領よく紹介しているのは特徴かもしれません。このエピソードに限りませんが、科学的な説明と歴史的な話、たとえ話のバランスが良いものが多く、参考になる部分が多かったです。今回学んだこのファーブルのくだりも、早速授業などでも使っていきたいと思います。笑

一般の人に、実は化学がとっても身近な学問なんだということを実感してもらいたい、そんな気持ちを感じられる一冊でした。気になるエピソードがあった方は、ぜひキーワードを調べるなどして好奇心を探求してもらえればと思います。

シェーラザードは、アラジンやシンドバッドの代わりに本書で紹介されているエピソードをシャハリヤートに聞かせてもよかったかもしれませんね。手元に置いておくと楽しい本だと思います。読書の秋の夜長にぜひ一冊、いかがでしょうか?

冒頭の画像は、化学同人HPから引用しました。

spectol21

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ニューヨークでポスドクやってました。今は旧帝大JKJ。専門は超高速レーザー分光で、分子集合体の電子ダイナミクスや、有機固体と無機固体の境界、化学反応の実時間観測に特に興味を持っています。

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