[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

フラッシュ自動精製装置に新たな対抗馬!?: Reveleris(リベラリス)

[スポンサーリンク]

シリカゲルクロマトグラフィーを機械にやっていただき時間や場所、溶媒などを削減できるフラッシュ自動精製装置

とくにいまにはじまったわけではないですが、年々大学の研究室でもかなり導入されている模様です。

我々の研究室でも、少量精製は自分たちで作成したPTLC(Preparative薄層クロマトグラフィー)、それ以外の精製はこのフラッシュ自動精製装置で行っています。カラム管?一本ももっていませんカラムの精製技術?重要ですが時間と場所とのトレードオフです

さて、代表的なフラッシュ自動精製装置は2つ。

山善の「Smart Flash」とバイオタージの「Isolera」です。

私はIsoleraの、余分な機能がなく誰でも簡単に使えるところ好きで、研究室に4台保有しています(24名使用)。みなしゃかりきとなって実験していますが、4台(5名/1台)あれば稼働率は半分ぐらいです。来年はさらに10名ほど増えるので、もう1台購入を考えていますが、もしかしたら4台でも問題ないかもしれません。

このような背景として新たな1台の購入を検討していたわけですが、折角なので他の製品も検討してみたいと考えました。

というわけで、スタイリッシュなエバポレーターでおなじみの日本ビュッヒから発売されている「Reveleris」のデモを行いました。せっかくですので情報共有のために紹介させていただきたいと思います。

Reveleris(リベラリス)とその特徴

上述したように、日本ビュッヒから発売されているフラッシュ自動精製装置です。発売は2016年後半ですので、最近参入してきた第三のフラッシュ自動精製装置と言えると思います。万を持して参入してきたのですから、どんな特徴があるのか?気になるところ。

デモをした実際のリベラリス

 

違いを含めた特徴を簡単に述べてみましょう。

1.ELSDを内蔵できる

この機器の最大の特徴はこれ。ELSD(蒸発光散乱検出:Evaporative Light Scattering Detector System)を使うことができることです。これはカラムから溶出した溶離液を蒸発させることにより目的化合物を微粒子化し、その散乱光を測定する方法。

簡単にいえば、UVで見えない化合物でも検出することが可能だということです。これが内蔵されています。

以下はFAME(脂肪酸メチルエステル)のチャートです。もちろんUVでは検出できない化合物ですが、ELSDなら検出可能で、これみながら分離条件決定し、混合物を分離することが可能です。

FAMEのフラッシュ精製(出展:日本ビュッヒ)

 

UVで検出できない化合物を多く取り扱っているところでは大変重宝されそうです。

ちなみに正確にいえば、「内蔵することができる」わけで、オプション品ですのでなくても問題ありません(安価になります)。ELSDを内蔵しているものはちょっと名前が変わってReveleris® X2というそうです。なお、他の自動精製装置でも外付けではつけることが可能です。

2. 一画面ですべての操作が可能

もうひとつ特徴的なところは、WindowsベースのOSで1つの画面にすべての情報がつまっているので、画面遷移の必要がないところです。ちょっと複雑に見えますが、やり方を覚えてしまえば操作は大変簡単です。

画面例

 

3. 専用カートリッジFlashPureを使うと、使用時期・使用回数を確認できる

カラムはどのメーカのものも利用できますが、専用カートリッジFlashPureにはID付きのものがあります。少し割高ですが、これを用いると、以前使った日時や使用回数が記録されていて、カラムをセットするとその情報をみることができます。ディスポーザブルですが、お高いので何度も利用したいところ。しっかり記録していたり、自身で管理していれば必要ない機能かもしれませんが、なかなか便利です。

FlashPureの分離能がやばい(番外編)

機器本体とは関係ないですが、カートリッジのFlashPureの最上級品の分離能が桁違いです。もちろん価格も高いですが、すべてのカラムを試したと言っても過言ではないですが、このカラムが一番分離能が高いです。粒径が他者に比べてもっとも小さくできたことが理由ですが、多少のばらつきはあるとはいわれているものの、分離能はやっぱり安価なものに比べると全く違います。本気の分離精製の際はつかってみると良いかもしれません。

短所はないの?

褒めちぎっていますが、短所はないのか? →はいあります。どんなものでも一長一短であるので。

  1. 専用の補修ラックが高価:金属製でラック認識機能がついているためかこれがとっても高価です。これが一番の短所。
  2. 知名度が低い:バイオタージや山善にくらべてこの業界では知名度が低いところです。名前なんて関係ないですが、もし製造を中止したら、将来的な修理対応もままならなくなります。これは、ビュッヒという業界では知名度が高い会社が取り扱い始めたというところで信頼するしかありません。
  3. 電源のボタンの位置がだめ:スクリーンの右下に電源ボタンがついてるのですが、これがだめ。画面操作をしているところで誤って押してしまい電源が切れてしまったという案件がありました。電源ボタンは立ち上げてしまえば押すことはないので、スクリーンの後ろにつけてもらいたいです。

特価キャンペーン中

日本ビュッヒのHPをみるといつからかわかりませんが、「分取クロマトシステム 期間限定の”ELSDお試しキャンペーン中”」だそうです。なにがお試しキャンペーンかといえば、キャンペーン価格になっているだけのようですが、通常よりも安価で購入可能です(力のあるひとはもっと安くできるのかもしれないですが)。うちのようにデモもできるようなので(その際の絡むカートリッジは使い放題でした)ぜひともデモをして試してみてはいかがでしょうか。

 

関連動画

お問い合わせ先

日本ビュッヒ株式会社

〒110-0008 東京都台東区池之端2-7-17 IMONビル3F
Tel.: 03-3821-4777
Fax: 03-3821-4555
お問い合わせフォームはこちら

関連記事

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 文具に凝るといふことを化学者もしてみむとてするなり⑫: XP-P…
  2. 第93回日本化学会付設展示会ケムステキャンペーン!Part I
  3. 【Q&Aシリーズ❸ 技術者・事業担当者向け】 マイクロ…
  4. レビュー多くてもよくね?
  5. 人を器用にするDNAーナノ化学研究より
  6. 研究者の活躍の場は「研究職」だけなのだろうか?
  7. 軸不斉のRとS
  8. マイクロ波合成装置の最先端!

注目情報

ピックアップ記事

  1. 官能基化オレフィンのクロスカップリング
  2. イリヤ・プリゴジン Ilya Prigogine
  3. 高速液体クロマトグラフィ / high performance liquid chromatography, HPLC
  4. 機械学習と計算化学を融合したデータ駆動的な反応選択性の解明
  5. 産学官若手交流会(さんわか)第19回ワークショップ のご案内
  6. リガンド革命
  7. エレクトロクロミズム Electrochromism
  8. 第139回―「超高速レーザを用いる光化学機構の解明」Greg Scholes教授
  9. n型半導体特性を示すペリレン誘導体
  10. ホウ素化反応の常識を覆し分岐型アルケンの製造工程を大幅短縮

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2018年6月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

注目情報

最新記事

第54回ケムステVシンポ「構造から機能へ:ケイ素系元素ブロック材料研究の最前線」を開催します!

今年も暑くなってきましたね! さて、本記事は、第54回ケムステVシンポジウムの開催告知です! 暑さに…

有機合成化学協会誌2025年7月号:窒素ドープカーボン担持金属触媒・キュバン/クネアン・電解合成・オクタフルオロシクロペンテン・Mytilipin C

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年7月号がオンラインで公開されています。…

ルイス酸性を持つアニオン!?遷移金属触媒の新たなカウンターアニオン”BBcat”

第667回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院工学系研究科 野崎研究室 の萬代遼さんにお願いし…

解毒薬のはなし その1 イントロダクション

Tshozoです。最近、配偶者に対し市販されている自動車用化学品を長期に飲ませて半死半生の目に合…

ビル・モランディ Bill Morandi

ビル・モランディ (Bill Morandi、1983年XX月XX日–)はスイスの有機化学者である。…

《マイナビ主催》第2弾!研究者向け研究シーズの事業化を学べるプログラムの応募を受付中 ★交通費・宿泊費補助あり

2025年10月にマイナビ主催で、研究シーズの事業化を学べるプログラムを開催いたします!将来…

化粧品用マイクロプラスチックビーズ代替素材の市場について調査結果を発表

この程、TPCマーケティングリサーチ株式会社(本社=大阪市西区、代表取締役社長=松本竜馬)は、化粧品…

分子の形がもたらす”柔軟性”を利用した分子配列制御

第666回のスポットライトリサーチは、東北大学多元物質科学研究所(芥川研究室)笠原遥太郎 助教にお願…

柔粘性結晶相の特異な分子運動が、多段階の電気応答を実現する!

第665回のスポットライトリサーチは、東北大学大学院工学研究科(芥川研究室)修士2年の小野寺 希望 …

マーク・レビン Mark D. Levin

マーク D. レビン (Mark D. Levin、–年10月14日)は米国の有機化学者である。米国…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP