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グリーンケミストリー Green Chemistry

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 生態系や環境への影響を配慮した、次世代の化学工業を目指す潮流を指してこう呼びます。

化学合成におけるグリーンケミストリーは、「人体,生態,環境に対する害(リスク=危険度×暴露量)を最小限にした物質生産(合成)を志向する学問(化学)」といえます。たとえば有機合成用反応の開発における評価基準としては、アトムエコノミーの高さや、環境負荷の少ない水を溶媒にできる、など多くが提唱されています。

類語としては、「サスティナブルケミストリー(Sustainable Chemistry)」というものがあります。これは、リサイクルプロセスなどを積極的に導入し、持続成長可能な化学を行おうとする潮流のことです。

化学プロセスのグリーンさを総合的に評価する指標としてE-ファクターと呼ばれるものが提唱されています。簡単に言えば、「ほしい物質を得るために、どれだけの量のゴミが出るか」ということです。たとえば医薬品合成のE-factorは25~100と言われています。これは、1トンの医薬品製造過程で25~100トンの化学物質が廃棄される、ということになります。

グリーンケミストリーと名乗ってはいるが、よくよく見ればそうじゃないのでは?という研究も多くあります。とはいえ、何でもやってみないことには始まりません。化学の立場からの環境保全に対する取り組みは、まだまだ始まったばかりです。

 

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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