[スポンサーリンク]

世界の化学者データベース

浜地 格 Itaru Hamachi

[スポンサーリンク]

浜地格(Itaru Hamachi 1960年6月14日-)は、日本の有機化学者である。京都大学大学院工学研究科教授(写真:CREST 新機能創出を目指した分子技術の構築)。

 

経歴

1983 京都大学卒業
1988 京都大学大学院博士課程修了
1988 九州大学助手
1992 九州大学助手助教授
2001 九州大学教授
2005 京都大学大学院工学研究科合成・生物化学専攻教授

 

受賞歴

2005 日本化学会学術賞
2011 王立化学会フェロー
2014 名古屋シルバーメダル
2016 UC Berkley BASF Lectureship award (USA)
2017 日本化学会賞

 

研究業績

生細胞有機化学(生体環境下で選択的に改変・修飾できる化学的アプローチの開発)

1. LDT(Ligand Directed Tosyl Chemistry)化学[1]

生体直交性の高いラベル化法を開発するために、リガンドにトシル基およびその誘導体を有するラベル化法を開発した。トシル基を有するリガンドをプローブと連結させ、標的タンパク質の活性ポケットに結合させる。近くに存在するプローブのトシル基にタンパク質が求核剤となってSN2反応でラベル化、最後にリガンドが遊離するといった方法である。

LDT化学(出典:万有シンポジウム要旨集)

LDT化学(出典:万有シンポジウム要旨集)

2. Ligand Directed Acyl Imidazole化学(LDAI化学)[2]

Tsより反応性の高いアシル化剤を用いて、タンパク質を化学的にラベル化する手法。

2015-08-30_00-41-48

3. Affinity-Guided DMAP化学(AGD化学)[3]

リガンドにDMAPを連結したリガンド連結DMAPを触媒として、チオエステル誘導体をアシルドナーとして用い、標的タンパク質をラベル化する方法を開発した。リガンドとして、抗体を用いて細胞表面受容体の機能解析にも成功している(関連記事:細胞表面受容体の機能解析の新手法

Affinity-Guided DMAP化学

Affinity-Guided DMAP化学:(a)リガンドによるタンパク質の認識 (b)DMAPによるアシルドナーの活性化(c)タンパク質のアミノ酸上の置換基による求核攻撃 (d)リガンドの脱離

 

化学刺激応答超分子ヒドロゲルの開発[4]

低分子化合物が自己組織化することによって形成される“超分子ヒドロゲル”と化学反応を組み合わせることにより,さまざまな刺激に応答する超分子ヒドロゲルの開発した。

2015-08-30_00-53-29

名言集

 

コメント&その他

  1. 夢は海賊王になること。
  2. 高校3年の担任が化学の春田先生で、当時哲学者になりたかった自分に、<それじゃ飯は食えんが、化学で哲学しているヒトが京都の工学部に居る、化学で哲学なら飯食える>、と熱く語られて、化学同人から出版されていた「クラウンエーテルの化学」(故田伏岩夫教授ら共著)を貰ったことが京大にいって化学者を目指す直接的な理由となった。(関連記事:研究者へのインタビュー第五回 化学の力で生物システムを制御ー浜地格教授

関連動画

関連文献

  1. (a) Tsukiji, S.; Miyagawa, M.; Takaoka, Y.; Tamura, T.; Hamachi, I. Nat. Chem Biol.2009 ,5, 341. DOI: 10.1038/nchembio.157 (b) Y. Takaoka, T. Sakamoto, S. Tsukiji, M. Narazaki, T. Matsuda, H. Tochio, M. Shirakawa, I. Hamachi Nat. Chem. 2009, 1, 557. DOI: 10.1038/nchem.365
  2. Fujishima. S.; Yasui, R.; Miki, T.; Ojida, A.; Hamachi, I. J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 3961. DOI: 10.1021/ja2108855
  3. (a) Koshi, Y.; Nakata, E.; Miyagawa, M.; Tsukiji, S.; Ogawa, T.; Hamachi, I. J. Am. Chem. Soc. 2008130, 245. DOI: 10.1021/ja075684q (b) Wang, H-x.; Koshi, Y.; Minato, D.; Nonaka, H.; Kiyonaka, S.; Mori, Y.; Tsukiji, S.; Hamachi, I. J. Am. Chem. Soc., 2011, 133, 12220. DOI: 10.1021/ja204422r  (c) Hayashi, T.; Sun, Y.; Tamura, T.; Kuwata, K.; Song, Z.; Takaoka, Y.; Hamachi, I. J. Am. Chem. Soc.2013135, 12252. DOI: 10.1021/ja4043214 (d) Hayashi, T.; Yasueda, Y.; Tamura, T.; Takaoka, Y.; Hamachi, I. J. Am. Chem. Soc.2015137, 5372. DOI: 10.1021/jacs.5b02867
  4. Ikeda, M.; Tanida, T.; Yoshii, T.;  Kurotani, K.; Onogi, S.; Urayama, K.; Hamachi, I, Nat. Chem. 2014, 6, 511. DOI: 10.1038/nchem.1937

関連書籍

[amazonjs asin=”4759807527″ locale=”JP” title=”生命現象を理解する分子ツール―イメージングから生体機能解析まで (化学フロンティア)”]

外部リンク

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. ジェームズ・ロスマン James Rothman
  2. ジョン・グッドイナフ John B. Goodenough
  3. 和田 猛 Takeshi Wada
  4. トム・スタイツ Thomas A. Steitz
  5. マリウス・クロア G. Marius Clore
  6. ジョアン・スタビー JoAnne Stubbe
  7. 越野 広雪 Hiroyuki Koshino
  8. ウィリアム・モーナー William E. Moerner

注目情報

ピックアップ記事

  1. リンドラー還元 Lindlar Reduction
  2. MRS Fall Meeting 2012に来ています
  3. 研究室でDIY!~エバポ用真空制御装置をつくろう~ ②
  4. ビシナルジハライドテルペノイドの高効率全合成
  5. 相次ぐ化学品・廃液の漏洩・流出事故
  6. 消光団分子の「ねじれ」の制御による新たな蛍光プローブの分子設計法の確立
  7. 溶液中での安定性と反応性を両立した金ナノ粒子触媒の開発
  8. 2012年分子生物学会/生化学会 ケムステキャンペーン
  9. Dead Endを回避せよ!「全合成・極限からの一手」⑦(解答編)
  10. データ駆動型R&D組織の実現に向けた、MIを組織的に定着させる3ステップ

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2015年9月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

注目情報

最新記事

有機合成化学協会誌2024年9月号:ホウ素媒介アグリコン転移反応・有機電解合成・ヘキサヒドロインダン骨格・MHAT/RPC機構・CDC反応

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年9月号がオンライン公開されています。…

初歩から学ぶ無機化学

概要本書は,高等学校で学ぶ化学の一歩先を扱っています。読者の皆様には,工学部や理学部,医学部…

理研の研究者が考える“実験ロボット”の未来とは?

bergです。昨今、人工知能(AI)が社会を賑わせており、関連のトピックスを耳にしない日はないといっ…

【9月開催】 【第二期 マツモトファインケミカル技術セミナー開催】有機金属化合物 オルガチックスを用いたゾルゲル法とプロセス制御ノウハウ①

セミナー概要当社ではチタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素等の有機金属化合物を“オルガチック…

2024年度 第24回グリーン・サステイナブル ケミストリー賞 候補業績 募集のご案内

公益社団法人 新化学技術推進協会 グリーン・サステイナブル ケミストリー ネットワーク会議(略称: …

ペロブスカイト太陽電池開発におけるマテリアルズ・インフォマティクスの活用

開催日時 2024.09.11 15:00-16:00 申込みはこちら開催概要持続可能な…

第18回 Student Grant Award 募集のご案内

公益社団法人 新化学技術推進協会 グリーン・サステイナブルケミストリーネットワーク会議(略称:JAC…

杉安和憲 SUGIYASU Kazunori

杉安和憲(SUGIYASU Kazunori, 1977年10月4日〜)は、超分…

化学コミュニケーション賞2024、候補者募集中!

化学コミュニケーション賞は、日本化学連合が2011年に設立した賞です。「化学・化学技術」に対する社会…

相良剛光 SAGARA Yoshimitsu

相良剛光(Yoshimitsu Sagara, 1981年-)は、光機能性超分子…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP