[スポンサーリンク]

世界の化学者データベース

伊丹健一郎 Kenichiro Itami

伊丹健一郎(いたみけんいちろう 1971年4月4日ー東京都生まれ)は日本の化学者である。現在名古屋大学理学研究科教授・名古屋トランスフォーマティブ分子科学研究所拠点長(写真:伊丹研究室HP)。

経歴

1994年 京都大学工学部合成化学科卒業(生越 久靖 教授)
1996年 京都大学大学院工学研究科合成・生物化学専攻修士課程(伊藤 嘉彦 教授、村上 正浩 教授)

1997年 スウェーデン、ウプサラ大学留学 (Prof. Jan-E. Backvall)

1998年 京都大学大学院工学研究科合成・生物化学専攻博士後期課程修了(伊藤 嘉彦 教授、村上 正浩 教授)
1998年   京都大学大学院工学研究科合成・生物化学専攻 助手(吉田 潤一 教授)
2005年 名古屋大学物質科学国際研究センター 助教授(野依 良治 特別教授)
2005年   科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業 さきがけ研究員「構造制御と機能」領域
2008年   名古屋大学大学院理学研究科物質理学専攻化学系 教授
2012年12月〜(現在) 名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所 拠点長(兼任)
2013年10月〜(現在) 科学技術振興機構 ERATO 伊丹分子ナノカーボンプロジェクト 研究総括(兼任)

 

受賞歴

2000年 有機合成化学協会 研究企画賞(日産化学工業)
2004年 Thieme Journals Award
2005年 日本化学会 進歩賞
2005年 三井化学 第 1 回触媒科学奨励賞
2006年 文部科学大臣表彰 若手科学者賞
2007年 Banyu Young Chemist Award
2008年 Merck-Banyu Lectureship Award
2011年 野副記念奨励賞
2011年 ACP Lectureship Award, Malaysia
2011年 ACP Lectureship Award, China
2012年 Novartis-MIT Lecturer in Organic Chemistry
2012年 ドイツイノベーションアワード2012
2012年 Fellow of the Royal Society of Chemistry, UK
2013年 Asian Rising Star Award, Asian Chemical Congress
2013年 Mukaiyama award
2013年 Novartis Chemistry Lectureship Award
2014年 The JSPS Prize
2014年 Nankai University Lectureship Award
2015年 Swiss Chemical Society Lectureship Award
2015年 Arthur C. Cope Scholar Award, American Chemical Society
2016年 The Nagase Prize

研究概要

 「合成化学はひとつである」を合言葉に、主に芳香環、π電子系化合物に対して反応、合成研究を行っている。その範囲は触媒化学、材料科学、天然物化学、医薬品化学、ナノカーボン化学など非常に幅広い。

多置換オレフィンのプログラム合成[1]

 多置換オレフィン類は有機化学の基本ユニットでありながら決定的な合成法のない分子であった。そこで、エチレンの1つの水素を後に化学変換可能なヘテロ元素に置換した化合物をプラットフォームとして用いて位置選択的な炭素ー水素結合変換反応を行った。この手法により全ての置換基が異なる4置換オレフィンの自在合成を可能とした。

2010-09-03_1738.png

直接芳香環連結反応の開拓[2]

上記のオレフィンの直接置換基導入法を基に、sp2炭素を有する化合物の代表格である芳香族化合物の直接変換反応を行っている。これまでに様々な触媒を見出し、多置換芳香環(テトラアリールチオフェン)のプログラム合成を可能としている[3]

 

itami01.png

新規ナノカーボン物質の合成

さらにナノレベルまで研究を拡大し、sp2炭素を有する化合物し、機能が約束されているフラーレンやカーボンナノチューブを研究対象としている。現在までに、フラーレンの触媒的官能基化反応や[4]、カーボンナノチューブの最小骨格であるシクロパラフェニレン(CPP)のサイズ選択的な合成を達成している[5]。なお、シクロパラフェニレンは現在東京化成工業および関東化学から発売されている。シクロパラフェニレンからサイズ選択的なカーボンナノチューブの合成[6]、コランニュレンを拡張したワープドナノグラフェンの合成[7]など斬新なアイデアで次々と新規ナノカーボン物質の創成に成功している。

 

itami02

2017年、ベンゼン環が全て互いに縮環したベルト状π共役炭化水素「カーボンナノベルト」の合成とX線結晶構造解析によって構造を確認することに成功した[8]。

コメント&その他

  1. 研究内容・成果・人柄、どれをとってもひいき目なしで日本を代表する若手研究者の一人であると思います。

 

名言集

  1. 「名古屋ボロ勝ち」
  2. 「自然に感動し、分子を愛し、夢を語る、 有機化学者でありたい 人に感謝される、かけがえのない「ものづくりの匠」でありたい 分子をつなげ価値を生み、人をつなげ輪を生む、 研究室でありたい これが私たちの思いである」

関連動画

関連文献

  1. Itami, K.; Yoshida, J. Bull. Chem. Soc. Jpn. 2006, 79, 811. DOI: 10.1246/bcsj.79.811
  2. 炭素不飽和化合物の触媒的直接化学変換法の開拓 伊丹健一郎、高分子 2008, 57, 134.
  3. Yanagisawa, S.; Ueda, K.; Sekizawa, H.; Itami, K. J. Am. Chem. Soc. 2009, 131, 14622. DOI: 10.1021/ja906215b
  4. Nambo, M.; Wakamiya, A.; Yamaguchi, S.; Itami, K J. Am. Chem. Soc. 2009, 131, 15112. DOI: 10.1021/ja9071173
  5. Takaba, H.; Omachi, H.; Yamamoto, Y.; Bouffard, J.; Itami, K. Angew. Chem. Int. Ed. 2009, 48, 6112. DOI: 10.1002/anie.200902617
  6. Omachi, H.; Nakayama, T.; Takahashi, E.; Segawa, Y.;  Itami, K. Nat. Chem. 20135, 572. DOI: 10.1038/NCHEM.1655
  7. Kawasumi, K.; Zhang, Q.; Segawa, Y.; Scott, L. T. Itami, K. Nat. Chem. 2013, 5, 739-744. DOI: 10.1038/nchem.1704
  8. Povie,G.; Segawa, Y.;Nishihara, T.; Miyauchi, Y. Itami, K. Science 2017, 356, 172-175. DOI: 10.1126/science.aam8158

関連書籍

外部リンク

The following two tabs change content below.
webmaster
Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. クリストファー・ウォルシュ Christopher Walsh
  2. 平田 義正 Yoshimasa Hirata
  3. カール・ダイセロス Karl Deisseroth
  4. 福住 俊一 Shunichi Fukuzumi
  5. M.G.フィン M. G. Finn
  6. Thieme-IUPAC Prize in Synthetic …
  7. マーティン・チャルフィー Martin Chalfie
  8. マット・フランシス Matthew B. Francis

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 多彩な蛍光を発する単一分子有機化合物をつくる
  2. ボイランド・シムズ酸化 Boyland-Sims Oxidation
  3. 食べず嫌いを直し始めた酵素たち。食べさせれば分かる酵素の可能性!?
  4. 真空ポンプはなぜ壊れる?
  5. PACIFICHEM2010に参加してきました!④
  6. 研究室の大掃除マニュアル
  7. 白リン / white phosphorus
  8. 試薬会社にみるノーベル化学賞2010
  9. 酸化グラフェンに放射性物質を除去する機能が報告される
  10. 冬のナノテク関連展示会&国際学会情報

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

二重可変領域抗体 Dual Variable Domain Immunoglobulin

抗体医薬はリウマチやガンなどの難治性疾患治療に有効であり、現在までに活発に開発が進められてきた。…

サイエンスイングリッシュキャンプin東京工科大学

産業のグローバル化が進み、エンジニアにも国際的なセンスや語学力が求められているなか、東京工科大学(東…

特定の場所の遺伝子を活性化できる新しい分子の開発

ついにスポットライトリサーチも150回。第150回目は理化学研究所 博士研究員の谷口 純一 (たにぐ…

出光・昭和シェル、統合を発表

石油元売り2位の出光興産と4位の昭和シェル石油は10日、2019年4月に経営統合すると正式に発表した…

天然物の全合成研究ーChemical Times特集より

関東化学が発行する化学情報誌「ケミカルタイムズ」。年4回発行のこの無料雑誌の紹介をしています。…

「アジア発メジャー」狙う大陽日酸、欧州市場に参入

大陽日酸は北米に次ぐ成長が見込める欧州市場に参入を果たす。同業の米プラクスエアが欧州で展開する産業ガ…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP