[スポンサーリンク]

世界の化学者データベース

バリー・トロスト Barry M. Trost

 バリー・M・トロスト(Barry M. Trost, 1941年6月13日(米国、フィラデルフィア)-)はアメリカの有機化学者である。米国スタンフォード大学教授(Tamaki Professor)。
金属を用いる有機合成手法の開発と、重要な生物活性天然物の全合成研究を主軸研究テーマとする。トムソンISI社の調査により、2007年ノーベル化学賞候補者として名前が挙がりました。

経歴

 1941年米国ペンシルバニア州フィラデルフィアに生まれる。

1962 ペンシルバニア大学卒業
1965 マサチューセッツ工科大 博士号取得 (Herbert O. House教授)
1965 ウィスコンシン大学 助教
1968 ウィスコンシン大学 准教授
1969 ウィスコンシン大学 教授
1976 ウィスコンシン大学 Evan P. and Marion Helfaer Professor of Chemistry
1982 ウィスコンシン大学 Vilas Research Professor of Chemistry
1987 スタンフォード大学 教授
1990 スタンフォード大学 Job and Gertrud Tamaki Professor

受賞歴

1967 Alfred P. Sloan Award
1970 Camille and Hendry Dreyfus Teacher Scholar
1977 ACS Award in Pure Chemistry
1981 ACS Award for Creative Work in Synthetic Organic Chemistry
1981 Baekeland Award
1981 Centenary Medal
1983 Medal of the University of Helsinki
1984 Alexander von Humboldt Stiftung Award
1988 MERIT Award, NIH
1988 Hamilton Award
1989 アーサー・C・コープ スカラー賞
1990 ACS Ernest Guenther Award
1990 Dr. Paul Janssen Prize for Creativity in Organic Synthesis
1991 ASSU Graduate Teaching Award
1992 Pfizer Senior Faculty Award
1993 Bing Teaching Award
1995 ロジャー・アダムス賞
1998 Presidential Green Chemistry Challenge Award
1999 ACS ハーバート・C・ブラウン賞
2000 Elsevier Award
2000 Nichols Medal
2001 Yamada Prize
2002 Nobel Laureate Signiture Award for Graduate Education
2004 アーサー・C・コープ賞
2008 名古屋ゴールドメダル
2014 Tetrahedron Prize

研究

 金属、特にパラジウム・ルテニウムを用いる触媒反応の開発、およびそれを応用したさまざまな天然物の全合成研究が主体。特にアリルパラジウム種を活用した辻-Trost反応と呼ばれる手法は、精密合成における強力な手法の一つとなっている。

tsuji_trost_1.gif
辻-Trost反応

tsuji_trost_1.gif
Trost不斉アリル位アルキル化

trostoxi
Trost酸化

また、化合物変換プロセスの効率を表すアトムエコノミー概念[1]を提唱し、環境調和性に優れた反応開発に向けての明快な指標を示した。高アトムエコノミー反応は、活性化剤や溶媒が極少量で済めば、殆ど廃棄物が出ない反応になりうるため、グリーンケミストリーの観点から特に重要な反応とされている。

atom_economy

その後2008年にアトムエコノミーの概念を存分にアピールしたブリオスタチンの全合成をNatureに報告しました。[2]

名言集

コメント &その他

  1. トロスト研でPh.Dを取得するのは非常に難しく、オーバードクター(5年で結果・論文不足などの理由で学位を取れない人)が続出していたといいます。ただし、その中でも優秀な学生は、博士を取得するのに7年かかったもののすぐに助教授になれたという話があり、厳しいだけに鍛えられる研究室として知られています。
  2. 彼が執筆・編纂に携わったComprehensive Organic Synthesisという書物には、1991年までの古今東西あらゆる有機合成手法の歴史・発展・実用例がまとめられている。有機合成の百科事典ともいうべき本。

 

関連動画

 

 

 

 

Tetrahedron Prize 2014受賞の際のエルゼビアによるインタビュー

 

関連論文

  1. (a) Trost, B. M. Science, 1991, 254, 1471. doi:10.1126/science.1962206 (b) Trost, B. M.  Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1995, 34, 259. doi:10.1002/anie.199502591 (c) Trost, B. M. Acc. Chem. Res. 2002, 35, 695.  doi:10.1021/ar010068z
  2. Trost, B. M.; Dong, G. Nature, 2008, 456, 485. DOI: 10.1038/nature07543

関連書籍

外部リンク

The following two tabs change content below.
cosine

cosine

博士(薬学)。Chem-Station副代表。現在国立大学教員として勤務中。専門は有機合成化学、主に触媒開発研究。 関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。 素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 山本 尚 Hisashi Yamamoto
  2. ジャスティン・デュボア Justin du Bois
  3. ドナルド・トゥルーラー Donald G. Truhlar
  4. デイヴィット・ベイカー David Baker
  5. 鄧 青雲 Ching W. Tang
  6. ケンダール・ハウク Kendall N. Houk
  7. トム・メイヤー Thomas J. Meyer
  8. エリック・カレイラ Erick M. Carreira

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. ポリエチレンなど合成樹脂、値上げ浸透
  2. 最長のヘリセンをつくった
  3. 基礎から学ぶ機器分析化学
  4. 藤原・守谷反応 Fujiwara-Moritani Reaction
  5. サイエンスアゴラの魅力-食用昆虫科学研究会・「蟲ソムリエ」中の人に聞く
  6. 光線力学療法 Photo Dynamic Therapy (PDT)
  7. DNAが絡まないためのループ
  8. バニリン /Vanillin
  9. β,β-ジフルオロホモアリルアルコールの合成
  10. 金属錯体化学を使って神経伝達物質受容体を選択的に活性化する

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

触媒のチカラで拓く位置選択的シクロプロパン合成

嵩高いコバルト錯体を触媒として用いた位置選択的Simmons–Smith型モノシクロプロパン化反応が…

「原子」が見えた! なんと一眼レフで撮影に成功

An Oxford University student who captured an image…

2018年3月2日:ケムステ主催「化学系学生対象 企業合同説明会」

2月も後半となり、3月1日の就活解禁に向けて、2019年卒業予定の学生のみなさんは、就活モードが本格…

高専シンポジウム in KOBE に参加しました –その 2: 牛の尿で発電!? 卵殻膜を用いた燃料電池–

1 月 27 日に開催された第 23 回 高専シンポジウム in KOBE の参加報告の後編です。前…

化学探偵Mr.キュリー7

昨年3月からついに職業作家となった、化学小説家喜多喜久氏。その代表作である「化学探偵Mr.キュリー」…

き裂を高速で修復する自己治癒材料

第139回目のスポットライトリサーチは、物質・材料研究機構(NIMS) 構造材料研究拠点 長田 俊郎…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP