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不斉ストレッカー反応 Asymmetric Strecker Reaction

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概要

光学活性α-アミノ酸を得るための重要方法論の一つ。医薬品探索へと直接的に展開できるため、数ある不斉合成法の中でも格別に有用性が高い。

大別して、キラルなイミン(例えばEllman’sImineなど)を用いるジアステレオ選択的合成、不斉触媒を用いる触媒的不斉合成の2種類がある。

古典的なStrecker反応はカルボニル化合物とアンモニアを混合し、系中でイミニウム中間体を生成しシアニド付加を進行させる。不斉合成を行う場合には別途調製したイミンを基質として用いることが多い。

 

基本文献

Review

 

反応機構

イミンは一般的にアルデヒド・ケトンに比して反応性が低めである(保護基の選択によりある程度は調節可能)。不斉合成においては、キラルなBronsted酸/Lewis酸によるイミンの活性化、もしくはLewis塩基によるシアニド源(HCN/TMSCNetc)の活性化が重要である。

 

反応例

近年では不斉発現の難しい、ケトイミンを基質とする触媒的不斉Strecker型反応が開発されている。これにより非天然型の光学活性α,α-二置換アミノ酸が合成可能になっている。

Jacobsen[1]および柴崎・金井[2]によって開発された触媒系がその代表格である。
asym_strecker_2.gif
asym_strecker_3.gif

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

[1] (a)Jacobsen, E. N. et al. Org. Lett. 20002, 867. DOI: 10.1021/ol005636+
(b) Jacobsen, E. N. et al. J. Am. Chem. Soc. 2002124, 10012. DOI: 10.1021/ja027246j
[2] (a) Shibasaki, M. et al. J. Am. Chem. Soc. 2003125, 5634. DOI: 10.1021/ja034980+
(b) Shibasaki, M. et al. Tetrahedron Lett. 200445, 3147, 3153. doi:10.1016/j.tetlet.2004.02.08  doi:10.1016/j.tetlet.2004.02.077

 

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