[スポンサーリンク]

ケムステニュース

「科研費の採択を受けていない研究者」へ研究費進呈?

[スポンサーリンク]

英文校正・論文投稿サポートを提供するエディテージ(株式会社カクタス・コミュニケーションズ 本社:東京都千代田区、代表取締役:湯浅誠)は、優れた日本の基礎研究の国際発信を支援する活動の一環として、自分の研究成果を世界に発信したい若手研究者に向けて「エディテージ研究費」の募集を開始する運びとなりました。本研究費は、40歳以下で過去2年間科研費の採択を受けていない自然科学、人文科学、社会科学の全分野の研究者を対象とし、本賞の受賞者2名には50万円の研究費を助成いたします(引用:2016年10月5日 エディテージプレスリリース)。

大学の研究者は丁度科研費申請の時期だと思います。なんと、題名通り「科研費の採択を受けていない研究者」へ研究費をくれるらしいです。2年間採択を受けていない人が対象とのこと。ユニークですね。この研究費を募集し始めたのは、英文校正を提供している「エディテージ」。なぜ英文校閲会社が?と思いますが、若手や基礎研究支援の目的だそうです。「研究を始めようと思ったきっかけ」や 「将来行いたい研究」など、個人的な内容も選考の対象に含まれるということ。対象となる方は興味があったら応募してみてはいかがでしょうか。募集要項などはこちら

2016-10-12_17-28-08

ただ、対象がもう少し工夫が必要な気が。どちらかというと科研費、特に若手分は実績がいまいちでも通してくれる唯一の研究費なんですが…。どうせなら、科研費通っていない人に限定せず、全く科研費も出していないテーマや、はじめたばかりのテーマや研究室の立ち上げサポートなどにしてほしいなあと思ったのは私だけでしょうか。

それはともかく、最近は多彩な研究費の募集が増えてきましたね。例えば、以前紹介したリバネスのL-RAD (記事:L-RAD:未活用の研究アイデアの有効利用に)。不採択の申請書を専用ウェブにアップロードして、登録企業とのマッチングにより研究費の獲得や共同研究を推進する新しい研究費獲得システムです。最初は登録企業が1社だで企画倒れかが満載でしたが、現在では3社に増え、実際に稼働しているようです。

logo-300x77

L-RADを運営しているリバネスは、毎年数回ウェブ上での研究費募集を行っています。現在、「第33回リバネス研究費 L-RAD賞」というものを募集しており、2016年10月31日までにL-RADに登録された申請書を登録された方を対象とし、L-RAD事務局が申請書の審査を行い、採択者に最大50万円の研究費を支給致するとのこと(詳細はこちら)。残念ながら採択されなかった申請書を上げておくだけで、研究費がもらえる可能性があるということで、気になるところです。

 

また、「クラウドファンディング」で研究費を獲得する手法もあります。日本で初めてのクラウドファンディングサイトであるacademistがそのひとつです。クラウドファンディングとは研究者が研究アイデアを発信し、その魅力に共感した方々からの資金的サポートを受けられる仕組み。キャッチーな研究が中心となってきますが、こういう研究費の獲得方法もありじゃないでしょうか。

logo

ちなみに実は、下記の2社には最近インタビューを受けた際に、詳しくお話を伺ったばかり。ナカの人たちもとっても若く熱い感じでした。今後の活動が楽しみです。いずれにしてもインターネットで研究費を募集するサイトが増えてきています。まだまだこれからですが、情報格差で獲得できる研究費も変わってくる時代が到来するかもしれません。

 

関連リンク

関連書籍

[amazonjs asin=”4762026689″ locale=”JP” title=”科研費採択に向けた効果的なアプローチ”][amazonjs asin=”4758120595″ locale=”JP” title=”科研費獲得の方法とコツ 改訂第4版〜実例とポイントでわかる申請書の書き方と応募戦略”][amazonjs asin=”4758120692″ locale=”JP” title=”科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック”]
Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. ナノってなんて素敵ナノ
  2. 分離膜の市場について調査結果を発表
  3. 2012年の被引用特許件数トップ3は富士フイルム、三菱化学、積水…
  4. 世界医薬大手の05年売上高、欧州勢伸び米苦戦・武田14位
  5. 化学プラントにおけるAI活用事例
  6. ニホニウムグッズをAmazonでゲットだぜ!
  7. イチゴ生育に燃料電池
  8. CASがSciFinder-nの画期的逆合成プランナーの発表で研…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 「遷移金属を用いてタンパク質を選択的に修飾する」ライス大学・Ball研より
  2. 化学装置~化学業界のリーディングマガジン~
  3. 炭素をつなげる王道反応:アルドール反応 (1)
  4. ウェブサイトのリニューアル
  5. (+)-sieboldineの全合成
  6. 高専シンポジウム in KOBE に参加しました –その 1: ヒノキの精油で和歌山みかんを活性化–
  7. ノーベル賞受賞者と語り合おう!「第16回HOPEミーティング」参加者募集!
  8. すぐできる 量子化学計算ビギナーズマニュアル
  9. 城戸 淳二 Junji Kido
  10. 資生堂、製品開発の可能性を大きく広げる新規乳化法開発に成功:プレスリリースから化粧品研究の一端を垣間見る

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2016年10月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

注目情報

最新記事

7th Compound Challengeが開催されます!【エントリー〆切:2026年03月02日】 集え、”腕に覚えあり”の合成化学者!!

メルク株式会社より全世界の合成化学者と競い合うイベント、7th Compound Challenge…

乙卯研究所【急募】 有機合成化学分野(研究テーマは自由)の研究員募集

乙卯研究所とは乙卯研究所は、1915年の設立以来、広く薬学の研究を行うことを主要事業とし、その研…

大森 建 Ken OHMORI

大森 建(おおもり けん, 1969年 02月 12日–)は、日本の有機合成化学者。東京科学大学(I…

西川俊夫 Toshio NISHIKAWA

西川俊夫(にしかわ としお、1962年6月1日-)は、日本の有機化学者である。名古屋大学大学院生命農…

市川聡 Satoshi ICHIKAWA

市川 聡(Satoshi Ichikawa, 1971年9月28日-)は、日本の有機化学者・創薬化学…

非侵襲で使えるpH計で水溶液中のpHを測ってみた!

今回は、知っているようで知らない、なんとなく分かっているようで実は測定が難しい pH計(pHセンサー…

有馬温泉で鉄イオン水溶液について学んできた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉の金泉は、塩化物濃度と鉄濃度が日本の温泉の中で最も高い温泉で、黄褐色を呈する温泉です。この記…

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

圧力に依存して還元反応が進行!~シクロファン構造を活用した新機能~

第686回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院化学部門 有機化学第一研究室(鈴木孝…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP