[スポンサーリンク]

海外化学者インタビュー

第17回 音楽好き化学学生が選んだ道… Joshua Finkelstein氏

[スポンサーリンク]

第17回目は、前々回のAndrew Mitchinson氏に続いて二度目のNature誌編集者の登場、ジョシュア・フィンケルシュタイン氏です。フィンケルシュタイン氏は(原文のインタビューが載っている)Nature Chemistry blog「the sceptical chymiste」のレギュラー執筆陣の一人でもあります。それではインタビューをどうぞ。

Q. あなたが化学者になった理由は?

私の化学への興味は少々「遅咲き」でした。小さいころに化学の実験セットを持っていたわけでもなく、家のガレージで反応を試してみたこともありませんでした。高校の化学のクラスも特に楽しみではありませんでした(複雑な反応を上手く回せた時のあのフィーリングは好きでしたけれども)。ところが、APクラス(※)で素晴らしい化学の先生に出会ったのです。そして何の疑いもなく大学へ進学しました。大学へ入学してから、有機化学と生化学に興味を持つようになりました。化学者が生理活性のある分子をデザインし合成できること、それらの分子が複雑な細胞内でのプロセスに影響を与え時に創薬へと繋がることが、当時の私にはとても格好良いものに思えました。 (※Advanced Placement:=アメリカ合衆国の高校で実施されている特別クラス。大学の学部レベルの授業を受講でき、試験のスコア次第ではそのまま単位認定もされる。wikipediaの説明文(英文))

09edlife-c0ver-articleLarge

 

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

Andy(先述のAndrew Mitchinson氏)のように、私もおそらくミュージシャンですね。ドラム、ジャズピアノ、パーカッション、あと歌も歌います。(最近ギターも練習していますが、私の指の長さや形はギターには向かないようで…もっと練習しなくちゃだめかな?)大学院生のころはいくつかのバンドで演奏をしていまして(実験がうまく行かなくて精神的に参っている時など、バンドで演奏することで上手く気持ちを前向きにできました)今では近しい友達と汚く散らかった地下室で演奏するあの感覚がとても懐かしく思います。

 

Q.概して化学者はどのように世界に貢献する事ができますか?

シンプルに答えるなら、まだ他の化学者が成し遂げていない科学的に重要なテーマを追求すること…言うは易く行うは難し、ですけどね。問題は、「なんで自分は今この実験あるいはテーマをやっているんだろう?」と考えることじゃないでしょうか。その答えが分かっている人は、概ね世界に貢献できているように思います。満足の行く答えが見つからない人は、ひょっとして研究テーマの変え時かもしれません。

 

Q.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

サイエンティストを選ばなければならないのであれば、ライナス・ポーリングロバート・ウッドワード。ここ十年かそこいらで成し遂げられた科学的成果について、彼らがそれらを聞いたら思うのかを訪ねてみたいですね。どんなジャンルの人でも良いのなら、オスカー・ワイルドジョン・コルトレーンです。ワイルドは直に話したらきっととんでもなく面白い人だったと思うんです。コルトレーンとは50、60年代のジャズシーンの話を聞いてみたい。

 

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

数年前のこと…ハッキリと何だったかは覚えていませんが、DNAグリコシラーゼが関係あったような…。

 

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

どうせ持っていくのなら、今まで読んだ、あるいは知っているものの中で気に入った物を持って行きたいですね。トルストイの「アンナ・カレーニナ」か、(ウンベルト)エコの「フーコーの振り子」。音楽に至っては、シングルCD一枚でやっていけるとは到底思えないので、自分でミックスしたCDでもいいですか?だとしたら、ベートベンの第七交響曲の第二楽章、コルトレーンの「Giant Steps」、ディジー・ガレスピーに「A Night in Tunisia」、ベックの「Tropicalia」、レディオヘッドの(アルバム)Amnesiacから「Life In A Glass House」か(同じくアルバム)Kid Aから「Morning Bell」、スティーヴィー・ワンダーの「Superstition」、他にも何曲か…(iPodは素晴らしい!)

[amazonjs asin=”4102060014″ locale=”JP” title=”アンナ・カレーニナ〈上〉 (新潮文庫)”][amazonjs asin=”416725445X” locale=”JP” title=”フーコーの振り子〈上〉 (文春文庫)”][amazonjs asin=”B000002I4S” locale=”JP” title=”Giant Steps”][amazonjs asin=”B00079ZA0Y” locale=”JP” title=”Night in Tunisia”]

 

原文:Reactions – Joshua Finkelstein

※このインタビューは2007年6月15日に公開されたものです。

Avatar photo

せきとも

投稿者の記事一覧

他人のお金で海外旅行もとい留学を重ね、現在カナダの某五大湖畔で院生。かつては専ら有機化学がテーマであったが、現在は有機無機ハイブリッドのシリカ材料を扱いつつ、高分子化学に

関連記事

  1. 第19回 有機エレクトロニクスを指向した合成 – G…
  2. 第26回「分子集合体の極限に迫る」矢貝史樹准教授
  3. 第65回「化学と機械を柔らかく融合する」渡邉 智 助教
  4. 第36回「光で羽ばたく分子を活かした新技術の創出」齊藤尚平 准教…
  5. 第115回―「分子機械と天然物の化学合成」Ross Kelly教…
  6. 第16回 結晶から結晶への化学変換 – Miguel…
  7. 第75回「デジタル技術は化学研究を革新できるのか?」熊田佳菜子 …
  8. 第74回―「生体模倣型化学の追究」Ronald Breslow教…

注目情報

ピックアップ記事

  1. キラルオキサゾリジノン
  2. 共役はなぜ起こる?
  3. 基礎講座 有機化学
  4. 超高性能プラスチック、微生物で原料を生産
  5. 猛毒キノコ「カエンタケ」が各地で発見。その有毒成分とは?
  6. リアルタイムで分子の自己組織化を観察・操作することに成功
  7. 【10周年記念】Chem-Stationの歩み
  8. ノッシェル・ハウザー塩基 Knochel-Hauser Base
  9. 「サガミオリジナル001」、今月から販売再開 相模ゴム
  10. 伊藤嘉彦京都大名誉教授死去

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2011年5月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

注目情報

最新記事

第43回メディシナルケミストリーシンポジウム@京都

テーマ「創薬化学の新たな潮流 多彩なアプローチで未来を創る」 日時2026年11月11日…

圧力は「設定値」だけで決まらない【プロセス化学者のつぶやき】

前回まで1. 設定温度と系内の実温度のお話2. 温度値をどう判断するか3. 反応操作をし…

査読に AI を使われた体験談

生成 AI の普及は加速しており、調べもの、英文校閲など研究者の皆さんも活用していることと思います。…

フィーゼルマン チオフェン合成/Fiesselmann Thiophene Synthesis

概要フィーゼルマン チオフェン合成(Fiesselmann Thiophene Synthesi…

“とび跳ねる水滴”に潜む物理 〜接触時間とエネルギー源で読む撥水・防氷のテク〜

熱したフライパンに落ちた水滴が、玉になってコロコロと走り回り、冷えた面では、結露水が合体した瞬間に跳…

AI時代に研究者がすでに持っている力・これから伸ばしたい力

論文要約や文献検索など、研究現場でもAI活用が日常化する一方、「自分の仕事の先行き」に漠然とした不安…

miHub®を活用した探索的データ解析の実践

開催概要研究開発においてデータ活用が進む中、機械学習モデルの構築や予測解析に…

“ある特効薬”のはなし ~本田宗一郎氏の回想から

Tshozoです。最近実家に戻っては色々と廃棄するなどの店じまいを少しずつ進めているのですが、中…

高分子鎖を束ねた新しい共重合体「束状共重合体」が誕生

第715回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院 工学系研究科(植村研究室)に所属されていた亀谷…

2026年「有機溶媒危機」へのアンサー。北大発・メカノクロスが挑む、溶媒に依存しない新たな合成法 = “メカノケミカル有機合成”の社会実装

株式会社メカノクロスは、メカノケミカル有機合成技術の社会実装に挑む北海道大学発の…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP