[スポンサーリンク]

海外化学者インタビュー

第162回―「天然物の合成から作用機序の解明まで」Karl Gademann教授

[スポンサーリンク]

第162回の海外化学者インタビューは、カール・ゲイドマン教授です。バーゼル大学の有機化学教授であり(訳注:現在はチューリヒ大学化学科に所属)、天然物の合成と生物学的特性に関する研究を行っています。それではインタビューをどうぞ。

Q. あなたが化学者になった理由は?

2つあります。1つは、化学物質、特に天然物が生物学的システムに干渉する力に常に魅了されてきたからです。例えば、猫がイヌハッカに熱狂的に反応するのは、たった1つの小さなテルペンの働きによるのです!もうひとつの魅力は、合成という創造的な行為、言い換えれば「新しいものを作る」ということにあり、今でも私を魅了し続けています。

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

ドイツ文学を学ぶつもりでした。しかし、ドイツ語の先生は、文学は娯楽として読むことができるが、化学はより難しくてそうじゃないのだから、化学に進むほうがいいとアドバイスしてくれました。

Q. 現在取り組んでいることは何ですか?そしてそれをどう展開させたいですか?

神経形成を誘導する天然物に興味があり、その作用機序や、この魅力的な生物学的現象をより大きな文脈で学びたいと考えています。

Q.あなたがもし、歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

モーツァルトを車に乗せて、ドイツの高速道路を疾走しながら、過去200年間の音楽を聴いたり、それについて話したりするのも面白いかもしれませんね。

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

ノソカルボリンの作用機序、特にヘムの重合を阻害できるかどうかをin vitroアッセイで調べたのが最後です。

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

聖書と、AC/DCの「highway to hell」は、無人島で迷子になった時に打って付けだと思います。

[amazonjs asin=”B0773RPN4S” locale=”JP” title=”Highway to Hell”]

Q.「Reactions」でインタビューしてほしい化学者と、その理由を教えてください。

マーガレット・サッチャーバーニー・エクレストンのような、化学を離れた著名な化学者の回答は興味深いでしょうね。

 

原文:Reactions – Karl Gademann

※このインタビューは2011年7月1日に公開されました。

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 第114回―「水生システムにおける化学反応と環境化学」Krist…
  2. 第171回―「超分子・機能性ナノ粒子で実現するセラノスティクス」…
  3. 第24回 化学の楽しさを伝える教育者 – Darre…
  4. 第89回―「タンパク質間相互作用阻害や自己集積を生み出す低分子」…
  5. 第63回―「生物のコミュニケーションを司る天然物化学」矢島 新 …
  6. 第53回―「革命的な有機触媒を開発する」Ben List教授
  7. 第152回―「PETイメージングに活用可能な高速標識法」Phil…
  8. 第55回―「イオン性液体と化学反応」Tom Welton教授

注目情報

ピックアップ記事

  1. トリルテニウムドデカカルボニル / Triruthenium Dodecacarbonyl
  2. (古典的)アルドール反応 (Classical) Aldol Reaction
  3. アルケンのE/Zをわける
  4. 化学者のためのエレクトロニクス講座~電解銅めっき編~
  5. 【書籍】化学探偵Mr.キュリー2
  6. 化学者のためのエレクトロニクス入門③ ~半導体業界で活躍する化学メーカー編~
  7. 化学のあるある誤変換
  8. 分子集合体がつくるポリ[n]カテナン
  9. こんなのアリ!?ギ酸でヒドロカルボキシル化
  10. トリプトファン選択的なタンパク質修飾反応の開発

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2021年8月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

注目情報

最新記事

第18回 Student Grant Award 募集のご案内

公益社団法人 新化学技術推進協会 グリーン・サステイナブルケミストリーネットワーク会議(略称:JAC…

杉安和憲 SUGIYASU Kazunori

杉安和憲(SUGIYASU Kazunori, 1977年10月4日〜)は、超分…

化学コミュニケーション賞2024、候補者募集中!

化学コミュニケーション賞は、日本化学連合が2011年に設立した賞です。「化学・化学技術」に対する社会…

相良剛光 SAGARA Yoshimitsu

相良剛光(Yoshimitsu Sagara, 1981年-)は、光機能性超分子…

光化学と私たちの生活そして未来技術へ

はじめに光化学は、エネルギー的に安定な基底状態から不安定な光励起状態への光吸収か…

「可視光アンテナ配位子」でサマリウム還元剤を触媒化

第626回のスポットライトリサーチは、千葉大学国際高等研究基幹・大学院薬学研究院(根本研究室)・栗原…

平井健二 HIRAI Kenji

平井 健二(ひらい けんじ)は、日本の化学者である。専門は、材料化学、光科学。2017年より…

Cu(I) の構造制御による π 逆供与の調節【低圧室温水素貯蔵への一歩】

2024年 Long らは、金属有機構造体中の配位不飽和な三配位銅(I)イオンの幾何構造を系統的に調…

可視光活性な分子内Frustrated Lewis Pairを鍵中間体とする多機能ボリルチオフェノール触媒の開発

第 625 回のスポットライトリサーチは、名古屋大学大学院 工学研究科 有機・高…

3つのラジカルを自由自在!アルケンのアリール-アルキル化反応

アルケンの位置選択的なアリール-アルキル化反応が報告された。ラジカルソーティングを用いた三種類のラジ…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP