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海外化学者インタビュー

第98回―「極限環境における高分子化学」Graeme George教授

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第98回の海外化学者インタビューは、グレアム・ジョージ教授です。クイーンズランド工科大学物理・化学科のポリマー科学における教授(訳注:現在は名誉教授)で、極限環境(人体を含む)のためのポリマーを研究しています。それではインタビューをどうぞ。

Q. あなたが化学者になった理由は?

キップリング『Elephant’s Child』のような「飽くなき好奇心」のためでしょう。私は6歳くらいから実験を始めましたが、手に入る化学セットだとチャレンジできるレベルの低さに不満を感じるようになりました。しかし大学に入り、最初は物理学の優等生になろうと思っていましたが、その後は物理化学に転向しました。

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

童話作家です。私は子供たちと、『ウィルバーフォース・ウォンバットの冒険』の感動を彼らが幼い頃から共有していましたが、物語は一度も書き下ろされイラスト化されたことがありません。もし科学を諦めたら、これらの物語に命を吹き込む時間ができるかもしれません。

Q. 概して化学者はどのように世界に貢献する事ができますか?

重要な問題を語り、関わることでです。地球規模の問題に限らず、地域的な問題でも、情報に基づく議論が必要です。専門知識に欠ける意見が注目を集めることがあまりにも多いです。神秘主義や疑似科学を超えて進むためにも、人々のエネルギーを巻き込み、説得し、指示できる必要があります。

Q.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

歴史上の人物が生きていた時代に食事ができるとしたら、皇帝クラウディウス1世の時代のローマがいいでしょう。ローマが実際にどのようなものであったかを体験し、能力不足のために誤って理解・表現されたりしているが、おそらく最も賢明で先見の明があった人物と関われる機会になるでしょう。

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

最後の実験着姿は今週(裁判の専門家証人として)のことで、法医学的分析のための材料を調製しました。実際にやった最後の実験は、数ヶ月前にポスドクと一緒に、ナノチタニアや染料を使った構造体を調製したことです。

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

挑戦し、活動を刺激するような本でなければなりません。挑戦によって終わる、マーカス・デュ・ソートイの『素数の音楽』をおそらく持っていくでしょう。

音楽は、好きなオペラにします。できれば、ワーグナーの『ニーベルングの指環』全集を持っていきます(超圧縮して1枚のCDにして!)。

原文:Reactions – Graeme George

※このインタビューは2009年1月9日に公開されました。

 

cosine

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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