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海外化学者インタビュー

第78回―「膜タンパク質の分光学的測定」Judy Kim教授

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第78回の海外化学者インタビューは、ジュディ・キム教授です。カリフォルニア大学サンディエゴ校 化学・生化学科に所属し、生体系の分光学的研究に取り組んでいます。膜タンパク質のフォールディング、ペプチド-膜相互作用、電子伝達反応に関与する生物学的ラジカル中間体などを研究分野にしています。それでは、インタビューをどうぞ。

Q. あなたが化学者になった理由は?

大学に入った時、エンジニアになるつもりでした。しかし、最初の本格的な化学の授業(MITの5.11)を受けたとき、分子の世界に純粋に驚きました。(シルビア・セイヤーのおかげで)挑戦的で素晴らしい物理化学のコースが続き、マリオ・モリーナの研究室で学部生として化学研究の世界を見つけました。現在、カリフォルニア大学サンディエゴ校 化学科に所属しており、マリオ・モリーナ氏とは同僚です!

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

世界中の庶民の伝記を書くつもりです。この仕事は、異文化体験、執筆、旅行など、化学以外の個人的興味が多く組み合わさったものです。

Q. 概して化学者はどのように世界に貢献する事ができますか?

化学者あるいは科学者の最も重要な責務の一つは、社会を導く法則を積極的に形作ることです。われわれが解決しようとしている多くの問題(エネルギー危機、公害等)は、文明生活を支配するルールを比較的シンプルなものへ変更することで軽減できます。

Q.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

アーネスト・シャクルトンです。彼は南極探検家で、800マイルに及ぶ最も危険な海域に小型救命ボートで耐え、過酷な地形を越えて南極近くで座礁した乗組員を救助しました。彼の並外れたリーダーシップ、スキル、そして忍耐力はインスピレーションに満ちています。いったいどんな人だったのでしょう?

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

助教授として(訳注:現在は教授)、今でも学生と密接に仕事をし、ほぼ毎日研究室に通っています。今日、学部生が新しい顕微鏡を使い、ニンジンの共鳴ラマンスペクトル取得を手伝いました。これらのデータは(論文として発表されたものも含めて)何度も見ていますが、野菜の分子フィンガープリントを見ると未だにワクワクします。

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

これは最も答えるのが簡単ですね。ジョン・スタインベックの「エデンの東」を持っていきます。この悲劇的で強烈な物語の代わりがよければ、大学時代のお気に入りの教科書の1つ、H・A・レイの 「星」にして、夜空の美しい形を見つけたいと思います。音楽はというと?80年代のトップヒット曲(つまりはリチャード・ブレイド)は必須ですし、ジョニー・キャッシュやモーツァルトの「フィガロの結婚」も外せません。

原文:Reactions – Judy Kim

※このインタビューは2008年8月22日に公開されました。

 

cosine

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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