[スポンサーリンク]

Long interview

【第二回】シード/リード化合物の合成

[スポンサーリンク]

第二回目はA製薬会社で医薬品開拓の研究員をなさっている、ぶらうんさんにお話を聞いてきました。学生時代からバレーボールをやっていて現在も地域のクラブチームで現役選手だそうです。30才のころからスポーツだけではと、ピアノを習い始めたというとても多趣味な方です。とても参考になる多くの話を聞かせていただきました。

注意:このインタビューは2002年に行った当時のものであり、現在のものではありません。

  • インタビュー内容
1. この道を選んだ理由
2. 学習について
3. 研究に関して
4. 研究体制について
5. 成功と失敗
6. 化学とコンピュータ
7. 目標、アドバイス
  • この道を選んだ理由
  
司会者:まず最初にお聞きしたいのですが、大学時代はどのような研究をなさっていたのですか。
 
ぶらうんさん:天然物の合成をする研究室にいました。あまりたいしたことはできなかったんですけど・・・。原料合成が中心でしたね。
 
司会者:それでは大学院の方までいかれたのですか?
 
ぶらうんさん:いや、ちょうどバブルの時代ということもあって、今通っている会社が大学院の前にきてくれということで。もう一社求人があって大学院の奨学金を出すからその後来てくれ、というところもあったのですが父親の定年ということもあって今の会社に入りました。でも、最初のころは大変でした。
 
司会者:回りの方も大卒だったのですか?
 
ぶらうんさん:いや、後にも先にも私だけですね。
 
司会者:それでは大学時代は完全に合成に携わっていたのですね。
 
ぶらうんさん:はい。でも本当に面白いというところまで研究はできませんでしたね。なんとなしで入ってしまいました。
 
司会者:次に、なぜこの有機合成という道を選んだのですか?
 
ぶらうんさん:ちょっと動機が不純なのですが(笑)。大学2年の時に有機化学は大嫌いだったんですよ。覚えること多いですし、その割には経験則のようなものも多いですし。それで有機化学の単位を落としてしまったんです。それをとらなければ留年してしまうということで、3ヶ月くらい一生懸命勉強したんです。そこでこんな面白いものはないと感じました。追試を受けたのにその先生が優をくれたんですよ。それで、その先生が優をくれたんだからその研究室へ行こうと。研究室に行き始めて、実験も結構面白かったんですよ。紙の上で学んだことを実際に体験できるのがうれしかったです。
 
司会者:私たちもぶらうんさんと同じ考えです。2年の時有機化学を落として難しいなあと思いながらも勉強してみたら面白くて。
 
ぶらうんさん:はまりますよね。
 
司会者:はまりますね。実験はそのころから面白いと思ってやってました。また、論文で天然物合成等を読んでいる時も1つで完結するので面白く感じます。わからないことがたくさんあるのでもっと知りたいという気持ちをかきたてられる感じです。
 
ぶらうんさん:結果がありますからね。
 
司会者:そこで進んでみて理想と現実のギャップというのはありますか?
 
ぶらうんさん:やっぱり、これを最終的に他の目的の手段に使っているんですよね。だから最初のうちは逆みたいな。結局、商売であるということに慣れるまでにはこのギャップがありました。特に製薬会社なので。例えば、いい反応が見つかったとして「こんなすばらしい反応はない」ということがあって、発表すればかなり話題になるのではないかというものも商売にはならなければ必要ないということなんですよ。
 
司会者:え!だめなんですか?
 
ぶらうんさん:それを発表するとこれ(研究内容)をやっているとわかってしまうから。終わった後の3年後に出してもしょうがないですよね。
 
司会者:あーそうなんですか(ショック!)
 
ぶらうんさん:論文にするにはある程度の実験をしなければならないですか。それができないんですよ。
 
司会者:これはやらしてもらえないのですか?それとも何か?
 
ぶらうんさん:いや、やっている時間がないですね。仕事はどんどんきますから。自分ひとりだったらできるんですけどね。
 
司会者:できたとしても出せないんですよね。
 
ぶらうんさん:会社で出したものは知的財産のこともあって会社のものになってしまうんですよ。特に合成の方は出せないと思います。その合成反応を原薬合成に使っているので。年に1個や2個は「あれ、これは変な反応だなっ」と言うのがあるんですよ。ちょっとやってみたいなと思ってもほとんどできないんです。
 
司会者:もしかしたらすごい反応かもって思ってもできず、興味のほうに向かっていけない。売れるものを作っていかなければならないということですね。
 
ぶらうんさん:そうですね。だから合成は道具の一つとして考えています。
 
司会者:それでは大学などとは全然違いますね。
 
ぶらうんさん:違います。着目しているところは一緒でも流れる方向は全然違いますから。
 
司会者:それでは考え方なども変わってきませんか?
 
ぶらうんさん:変わりますね。また、会社に入ってもその考えについていけずやめてしまう人も結構います。でも、それは裏返してみると論文を出してこれを誰が使っているのだろうと考えた時に、それよりは私がつくったこの薬を飲んでいる人がいるという方がいいですね。喜びの感じ方の違いですね。
 
  • 学習について
 
司会者:それでは、学習についてお聞きしたいと思います。普段はどのような本を読んでいるのですか?仕事関係でもそれ以外でも何かありますか?
 
ぶらうんさん:20代のころは結構いろいろ読みました。海賊本を買いあさってハウスから始まる技術的な本をまず全部読んで、特に

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 第54回―「ナノカーボンを機能化する合成化学」Maurizio …
  2. 第123回―「遺伝暗号を拡張して新しいタンパク質を作る」Nick…
  3. 第59回「希土類科学の楽しさを広めたい」長谷川靖哉 教授
  4. 第16回 教科書が変わる心躍る研究を目指すー野崎京子教授
  5. 第161回―「C-H官能基化と脱芳香族化を鍵反応とする天然物合成…
  6. 第33回「セレンディピティを計画的に創出する」合田圭介 教授
  7. 第68回―「医療応用を志向したスマート高分子材料の開発」Came…
  8. 第121回―「亜鉛勾配を検出する蛍光分子の開発」Lei Zhu教…

注目情報

ピックアップ記事

  1. メチレン炭素での触媒的不斉C(sp3)-H活性化反応
  2. 元素のふしぎ展に行ってきました
  3. 美麗な元素のおもちゃ箱を貴方に―『世界で一番美しい元素図鑑』
  4. 山本嘉則 Yoshinori Yamamoto
  5. 文具に凝るといふことを化学者もしてみむとてするなり ⑦:「はん蔵」でラクラク捺印の巻
  6. 含窒素有機化合物の触媒合成について
  7. ヘリウムガスのリサイクルに向けた検討がスタート
  8. スイス・ロシュの1―6月期、純利益4%増
  9. 固体材料の強度と物性評価のための分子動力学法入門
  10. セブンシスターズについて② ~世を統べる資源会社~

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2010年9月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930  

注目情報

最新記事

CIPイノベーション共創プログラム「有機電解合成の今:最新技術動向と化学品製造への応用の可能性」

日本化学会第106春季年会(2026)で開催されるシンポジウムの一つに、CIPセッション「有機電解合…

CIPイノベーション共創プログラム「世界を変えるバイオベンチャーの新たな戦略」

日本化学会第106春季年会(2026)で開催されるシンポジウムの一つに、CIPセッション「世界を変え…

年会特別企画「XAFSと化学:錯体, 触媒からリュウグウまで –放射光ことはじめ」

放射光施設を利用したX線吸収分光法(XAFS)は、物質の電子状態や局所構造を元素選択的に明らかにでき…

超公聴会 2026 で発表します!!【YouTube 配信】

超公聴会は、今年度博士号を取得する大学院生が公聴会の内容を持ち寄ってオンライン上で発表する会です。主…

日本化学会 第104春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part II

さて、Part Iに引き続きPart II!年会をさらに盛り上げる企画として、2011年より…

凍結乾燥の常識を覆す!マイクロ波導入による乾燥時間短縮と効率化

「凍結乾燥は時間がかかるもの」と諦めていませんか?医薬品や食品、新素材開発において、品質を維…

日本化学会 第104春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part I

まだ寒い日が続いておりますが、あっという間に3月になりました。今年も日本化学会春季年会の季節です。…

アムホテリシンBのはなし 70年前に開発された奇跡の抗真菌薬

Tshozoです。以前から自身の体調不良を記事にしているのですが、昨今流行りのAIには産み出せな…

反応操作をしなくても、化合物は変化する【プロセス化学者のつぶやき】

前回まで1. 設定温度と系内の実温度のお話2. 温度値をどう判断するか温度を測ること…

ジチオカーバメートラジカル触媒のデザイン〜三重項ビラジカルの新たな触媒機能を発見〜

第698回のスポットライトリサーチは、名古屋大学大学院工学研究科(大井研究室)博士後期課程1年の川口…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー