[スポンサーリンク]

海外化学者インタビュー

第117回―「感染症治療を志向したケミカルバイオロジー研究」Erin Carlson准教授

[スポンサーリンク]

第117回の海外化学者インタビューは、エリン・カールソン准教授です。インディアナ大学化学科(訳注:現在はミネソタ大学化学科)に所属し、細菌の発生と病原性のメカニズムを解明し、潜在的な治療薬を特定するために、高度なケミカルバイオロジーとシステムバイオロジー技術の開発と応用に取り組んでいます。それではインタビューをどうぞ。

Q. あなたが化学者になった理由は?

父は生物有機化学者なので、この分野に興味があっても不思議ではありません。小学生の頃、科学館で結晶育成キットを買ってきて、父の研究室でビーカーに入れて育てました。そのビーカーは今でも自宅のオフィスにあります。私は14歳から彼の研究室で働き始め、それからは一度も振り返ったことがありません。

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

ナショナルジオグラフィックの写真家になります。この仕事は、旅行、異文化の学習、写真撮影など、好きな活動のいくつかを含んでいます。

Q. 現在取り組んでいることは何ですか?そしてそれをどう展開させたいですか?

大まかに言えば、病気に関連する生化学的経路の解明です。大病の治療法を直接見つけることは現実的ではないかもしれませんが、最終的には新しい治療法の開発につながるような根本的な貢献をしていきたいと思っています。

Q.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

マハトマ・ガンジーです。以前からガンジーとその哲学に興味を持っていましたが、最近インドを訪れたことで興味が深まり、この信じられない人物について多くの本を読んだり、学んだりするようになりました。

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

ちょうど一週間前に、研究室で生徒の一人がやっているアッセイに必要な分子を合成していました。

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

最近一番楽しんでいる本は、『At the Helm』です。キャシー・バーカー著の「研究室ナビゲーター」です。新任教員としてのキャリアをスタートさせるにあたり、この本は非常に貴重であることがわかりました。しかし、もし私が無人島にいたら、研究室を運営する機会はないでしょうから、この選択を考え直す必要があるかもしれません・・・

[amazonjs asin=”489592680X” locale=”JP” title=”アット・ザ・ヘルム -自分のラボをもつ日のために- 第2版”]

音楽は生活に欠かせないものなので、1枚のアルバムに決めることはできません。今のところ選ぶのは、Bon Iverの『For Emma, Forever Ago』、Beirutの『The Flying Club Cup』です。

[amazonjs asin=”B00166QJN4″ locale=”JP” title=”For Emma, Forever Ago”][amazonjs asin=”B000UJ48XG” locale=”JP” title=”Flying Club Cup”]

原文:Reactions –  Erin Carlson

※このインタビューは2009年5月22日に公開されました。

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 第34回 生物学と合成化学のハイブリッド高分子材料を開発する―J…
  2. 第48回―「周期表の歴史と哲学」Eric Scerri博士
  3. 第九回 均一系触媒で石油化学に変革を目指すー山下誠講師
  4. 第47回―「ロタキサン・カテナン・クラウンエーテルの超分子化学」…
  5. 第129回―「環境汚染有機物質の運命を追跡する」Scott Ma…
  6. 第47回「目指すは究極の“物質使い”」前田和彦 准教授
  7. 第46回―「分子レベルの情報操作を目指す」Howard Colq…
  8. 第95回―「生物学・材料化学の問題を解決する化学ツールの開発」I…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 前田 和彦 Kazuhiko Maeda
  2. 未来の科学コミュニティ
  3. アセト酢酸エステル/マロン酸エステル合成 Acetoacetic Ester / Malonic Ester Synthesis
  4. 【Vol.1】研究室ってどんな設備があるの? 〜ロータリーエバポレーター〜
  5. 窒化ガリウムの低コスト結晶製造装置を開発
  6. (1-ジアゾ-2-オキソプロピル)ホスホン酸ジメチル:Dimethyl (1-Diazo-2-oxopropyl)phosphonate
  7. フラストレイティド・ルイスペア Frustrated Lewis Pair
  8. 未来の科学者を育てる政策~スーパーサイエンスハイスクール(SSH)~
  9. Ming Yang教授の講演を聴講してみた
  10. 合成ルートはどれだけ”良く”できるのか?分子構造からプロセス質量強度を予測する SMART-PMI

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2020年9月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

注目情報

最新記事

アクリルアミド類のanti-Michael型付加反応の開発ーPd触媒による反応中間体の安定性が鍵―

第622回のスポットライトリサーチは、東京理科大学大学院理学研究科(松田研究室)修士2年の茂呂 諒太…

エントロピーを表す記号はなぜSなのか

Tshozoです。エントロピーの後日談が8年経っても一向に進んでないのは私が熱力学に向いてないことの…

AI解析プラットフォーム Multi-Sigmaとは?

Multi-Sigmaは少ないデータからAIによる予測、要因分析、最適化まで解析可能なプラットフォー…

【11/20~22】第41回メディシナルケミストリーシンポジウム@京都

概要メディシナルケミストリーシンポジウムは、日本の創薬力の向上或いは関連研究分野…

有機電解合成のはなし ~アンモニア常温常圧合成のキー技術~

(出典:燃料アンモニアサプライチェーンの構築 | NEDO グリーンイノベーション基金)Ts…

光触媒でエステルを多電子還元する

第621回のスポットライトリサーチは、分子科学研究所 生命・錯体分子科学研究領域(魚住グループ)にて…

ケムステSlackが開設5周年を迎えました!

日本初の化学専用オープンコミュニティとして発足した「ケムステSlack」が、めで…

人事・DX推進のご担当者の方へ〜研究開発でDXを進めるには

開催日:2024/07/24 申込みはこちら■開催概要新たな技術が生まれ続けるVUCAな…

酵素を照らす新たな光!アミノ酸の酸化的クロスカップリング

酵素と可視光レドックス触媒を協働させる、アミノ酸の酸化的クロスカップリング反応が開発された。多様な非…

二元貴金属酸化物触媒によるC–H活性化: 分子状酸素を酸化剤とするアレーンとカルボン酸の酸化的カップリング

第620回のスポットライトリサーチは、横浜国立大学大学院工学研究院(本倉研究室)の長谷川 慎吾 助教…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP