[スポンサーリンク]

海外化学者インタビュー

第47回―「ロタキサン・カテナン・クラウンエーテルの超分子化学」Harry Gibson教授

[スポンサーリンク]

第47回の海外化学者インタビューは、ハリー・ギブソン教授です。バージニア工科大学の化学科に所属し、プソイドロタキサン、ロタキサンおよびカテナン型の自己組織化、ならびに内包メタロフラーレンおよびイオン液体の研究を行っています。それではインタビューをどうぞ。

Q. あなたが化学者になった理由は?

高校時代には化学を楽しみ、普通のティーンエイジャーのようなことを、亜鉛の粉と硫黄のロケットと電気メッキを使ってやっていました。化学工学を目指して大学生活を始めたのですが、当時ペンとインド製インクを使っていた技術製図がとても大変で、つまずいてしまいました。化学全般は得意だったので、化学を専攻することにしました。ラボでの経験、特に分析と有機化学は本当に楽しく、ハマってしまいました。

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

大学生の時はジェット機のパイロットになりたかったのですが、骨腫瘍と足の骨折が夢を諦めさせました。

もし他の職業を選べたとしたら、ジャズミュージシャンになっているでしょう。高校を卒業してから正式なトレーニングを受けたことはないものの、ジャズ、古典、ブルース、ファンクといった素晴らしい音楽CDとともに、ドラム叩きをたしなんでいます。

Q. 概して化学者はどのように世界に貢献する事ができますか?

一般には理解されない多くの方法で、化学者は社会に多大な貢献をしてきました。医療から衣料、エレクトロニクスに至るまで、さまざまな分野で貢献しています。石油原料の枯渇による原料の変化もあり、我々の貢献はますます重要になると考えています。

Q.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

私がこれまで考えたこともない仮想的な質問ですね―あまりにも実利的だと思います。偉大なジャズピアニスト、セロニアス・モンクを選ぶと思います。真に独創的な演奏をするとき、彼の心はどう動いていたのかが知りたいです。

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

手帳によると、1988年8月25日でした。DMF中でNaHを用いて2‐メトキシカルボニル‐1,2‐ジヒドロイソキノリンとベンズアルデヒドとの反応を行ったところ、二つのジアステレオ異性体の炭酸塩が54:46の比で生成しました。

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

CDについては、モンクのコンピレーションか、もう一人のスウィングピアニスト、モンティ・アレキサンダー。どちらかを選ぶのはとても難しいです。

本については、スティーブン・アンブローズによる第二次世界大戦に関する1冊など、歴史書を選ぶでしょう。

 

原文:Reactions – Harry Gibson

※このインタビューは2008年1月11日に公開されました。

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 第132回―「遷移金属触媒における超分子的アプローチ」Joost…
  2. 第23回「化学結合の自在切断 ・自在構築を夢見て」侯 召民 教授…
  3. 第45回「天然物合成化学の新展開を目指して」大栗博毅教授
  4. 第167回―「バイオ原料の活用を目指した重合法の開発」John …
  5. 第六回 電子回路を合成するー寺尾潤准教授
  6. 第139回―「超高速レーザを用いる光化学機構の解明」Greg S…
  7. 第14回 有機合成「力」でケミカルバイオロジーへ斬り込む - J…
  8. 第12回 DNAから人工ナノ構造体を作るーNed Seeman教…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 有機合成化学協会誌2018年9月号:キラルバナジウム触媒・ナフタレン多量体・バイオインスパイアード物質変換・エラジタンニン・モルヒナン骨格・ドナー・アクセプター置換シクロプロパン・フッ素化多環式芳香族炭化水素
  2. 結晶構造に基づいた酵素機能の解明ーロバスタチン生合成に関わる還元酵素LovCー
  3. カーボンナノチューブ薄膜のSEM画像を生成し、物性を予測するAIが開発される
  4. 生きた細胞内のヘムを検出する蛍光プローブ
  5. エヴァンスアルドール反応 Evans Aldol Reaction
  6. 真空ポンプはなぜ壊れる?
  7. プラテンシマイシン /platensimycin
  8. 触媒のチカラで不可能を可能に?二連続不斉四級炭素構築法の開発
  9. 理研、119番以降の「新元素」実験開始へ 露と再び対決 ニホニウムに続く「連勝」狙う
  10. 佐藤 伸一 Shinichi Sato

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2020年1月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

Pdナノ粒子触媒による1,3-ジエン化合物の酸化的アミノ化反応の開発

第629回のスポットライトリサーチは、関西大学大学院 理工学研究科(触媒有機化学研究室)博士課程後期…

第4回鈴木章賞授賞式&第8回ICReDD国際シンポジウム開催のお知らせ

計算科学,情報科学,実験科学の3分野融合による新たな化学反応開発に興味のある方はぜひご参加ください!…

光と励起子が混ざった準粒子 ”励起子ポラリトン”

励起子とは半導体を励起すると、電子が価電子帯から伝導帯に移動する。価電子帯には電子が抜けた後の欠…

三員環内外に三連続不斉中心を構築 –NHCによる亜鉛エノール化ホモエノラートの精密制御–

第 628 回のスポットライトリサーチは、東北大学大学院薬学研究科 分子薬科学専…

丸岡 啓二 Keiji Maruoka

丸岡啓二 (まるおか けいじ)は日本の有機化学者である。京都大学大学院薬学研究科 特任教授。専門は有…

電子一つで結合!炭素の新たな結合を実現

第627回のスポットライトリサーチは、北海道大有機化学第一研究室(鈴木孝紀教授、石垣侑祐准教授)で行…

柔軟な姿勢が成功を引き寄せた50代技術者の初転職。現職と同等の待遇を維持した確かなサポート

50代での転職に不安を感じる方も多いかもしれません。しかし、長年にわたり築き上げてきた専門性は大きな…

SNS予想で盛り上がれ!2024年ノーベル化学賞は誰の手に?

さてことしもいよいよ、ノーベル賞シーズンが到来します!化学賞は日本時間 2024…

「理研シンポジウム 第三回冷却分子・精密分光シンポジウム」を聴講してみた

bergです。この度は2024年8月30日(金)~31日(土)に電気通信大学とオンラインにて開催され…

【書籍】Pythonで動かして始める量子化学計算

概要PythonとPsi4を用いて量子化学計算の基本を学べる,初学者向けの入門書。(引用:コ…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP