[スポンサーリンク]

海外化学者インタビュー

第34回 生物学と合成化学のハイブリッド高分子材料を開発する―Jeroen Cornelissen教授

[スポンサーリンク]

第34回の海外化学者インタビューは、Jeroen Cornelissen教授です。オランダのRadboud University Nijmegenの分子生物学研究所に所属(現在:University of Twente)しており、生物高分子と合成高分子のハイブリッド材料や、新しい反応場としてのウイルスカプシドの研究に取り組んでいます。それではインタビューをどうぞ。

Q. あなたが化学者になった理由は?

当初、私はプロセス工学―特に効率を上げる方法や工業プロセスをよりクリーンにして汚染を減らす方法―に興味がありました。しばらくして、私はこの背景にあるあらゆる化学に魅了され、その方向に進むことを決めました。 Roeland Nolte教授のもとで専門を学んでいたとき、新しい化合物を設計・合成した際にユニークな、そして予想外の特性を見いだし、得も言われぬ興奮を初めて覚えました。そして自分の魂を売り渡したのです。

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

おそらくミュージシャンです。科学と今の家族に加え、音楽は常に多大な情熱を傾けられるものでした。成功するには、技術と創造力の適切な組み合わせが必要な職業でもあります。

Q. 概して化学者はどのように世界に貢献する事ができますか?

地球規模で問題となっているテーマの中には、化学者が貢献できるものがいくつかあると思います。持続可能性はもちろんホットトピックです。新しい資源と触媒プロセスは、化学に深く関わる典型的領域です。しかし、生物プロセスの分子的理解についても、より一層の学際的関与が化学者に必要とされています。例えば、「脳はどのように働くのか?」という質問の解に近づくには、化学者の介入が必要となることは疑いありません。

Q.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

おそらく史上初の、学際的科学者であり芸術家でもある、レオナルド・ダ・ヴィンチです。 550年以上前に生まれた人間が、未だに極めて多くの人々にインスピレーションを与えているのなら、真に例外的な人物に違いありません。

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

時折、ある測定で他の人を手伝うことはあります。最後に実験を組み立て行ったのは約18ヶ月前で、ウイルスキャプシドタンパク質の精製でした。

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください

難しい質問です。私は同じ本を2度読んだことはありません。なので、まだ読んでいない本でなければならないし、それはとても沢山あります…

今この時点でMuseの”Absolution”がCDプレーヤーに入ってますので、それを持っていくかもしれません。しかし、後ほど気が変わったならば、モーツァルトまたはメタリカでもいいでしょう。

とにかく、私はそこまで我慢強い人間ではありません。私はとても泳ぎが上手いのです。先生の一人はかつて私に、不可能(訳注:島を泳いで脱出すること?)を意欲的に目指さなければ成らない、と言ったものです。

[amazonjs asin=”B0001LJC2K” locale=”JP” title=”Absolution”]

原文:Reactions – Jeroen Cornelissen

※このインタビューは2007年10月12日に公開されました。

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 第22回「ベンゼン環の表と裏を利用した有機合成」植村元一教授
  2. 第17回 音楽好き化学学生が選んだ道… Joshua…
  3. 第150回―「触媒反応機構を解明する計算化学」Jeremy Ha…
  4. 第42回―「ナノスケールの自己集積化学」David K. Smi…
  5. インタビューリンクー時任・中村教授、野依理事長
  6. 第98回―「極限環境における高分子化学」Graeme Georg…
  7. 第65回―「タンパク質代替機能を発揮する小分子の合成」Marty…
  8. 第三回 ナノレベルのものづくり研究 – James …

注目情報

ピックアップ記事

  1. アザ-ウィティッヒ反応 Aza-Wittig Reaction
  2. つり革に つかまりアセる ワキ汗の夏
  3. アルメニア初の化学系国際学会に行ってきた!③
  4. 世界の化学企業ーグローバル企業21者の強みを探る
  5. ホフマン脱離 Hofmann Elimination
  6. 触媒的C-H活性化反応 Catalytic C-H activation
  7. 遠藤守信 Morinobu Endo
  8. 生物学的等価体 Bioisostere
  9. ゲルマベンゼニルアニオンを用いた単原子ゲルマニウム導入反応の開発
  10. IBM,high-k絶縁膜用ハフニウムの特性解析にスパコン「Blue Gene」を活用

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2017年3月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

アクリルアミド類のanti-Michael型付加反応の開発ーPd触媒による反応中間体の安定性が鍵―

第622回のスポットライトリサーチは、東京理科大学大学院理学研究科(松田研究室)修士2年の茂呂 諒太…

エントロピーを表す記号はなぜSなのか

Tshozoです。エントロピーの後日談が8年経っても一向に進んでないのは私が熱力学に向いてないことの…

AI解析プラットフォーム Multi-Sigmaとは?

Multi-Sigmaは少ないデータからAIによる予測、要因分析、最適化まで解析可能なプラットフォー…

【11/20~22】第41回メディシナルケミストリーシンポジウム@京都

概要メディシナルケミストリーシンポジウムは、日本の創薬力の向上或いは関連研究分野…

有機電解合成のはなし ~アンモニア常温常圧合成のキー技術~

(出典:燃料アンモニアサプライチェーンの構築 | NEDO グリーンイノベーション基金)Ts…

光触媒でエステルを多電子還元する

第621回のスポットライトリサーチは、分子科学研究所 生命・錯体分子科学研究領域(魚住グループ)にて…

ケムステSlackが開設5周年を迎えました!

日本初の化学専用オープンコミュニティとして発足した「ケムステSlack」が、めで…

人事・DX推進のご担当者の方へ〜研究開発でDXを進めるには

開催日:2024/07/24 申込みはこちら■開催概要新たな技術が生まれ続けるVUCAな…

酵素を照らす新たな光!アミノ酸の酸化的クロスカップリング

酵素と可視光レドックス触媒を協働させる、アミノ酸の酸化的クロスカップリング反応が開発された。多様な非…

二元貴金属酸化物触媒によるC–H活性化: 分子状酸素を酸化剤とするアレーンとカルボン酸の酸化的カップリング

第620回のスポットライトリサーチは、横浜国立大学大学院工学研究院(本倉研究室)の長谷川 慎吾 助教…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP