[スポンサーリンク]

海外化学者インタビュー

第131回―「Nature出版社のテクニカルエディターとして」Laura Croft博士

[スポンサーリンク]

第131回の海外化学者インタビューはローラ・クロフト博士です。Nature Chemistry誌とNature Chemical Biology誌のテクニカルエディターであり、先週、博士号試験に合格しました。それではインタビューをどうぞ。

Q. あなたが化学者になった理由は?

小学校で初めて硫酸銅の結晶化実験をしたのがきっかけで、その後は素晴らしい先生方に連続して恵まれたと思います。私にとっての化学は、創造性と問題解決の完璧な混合物でした。幸運にもAクラスの素晴らしい先生方に2人出会い、私が化学に魅せられていることに気づいた彼らが、化学の授業を追加で受けることを薦めてくれました。その後、化学を研究すべく、オックスフォード大学に応募しました。

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

クリエイティブな仕事を他にもしたいと思っています。アーティスト、建築家、またはデザイナーでしょうか。アートを趣味にしていてよかったと思っていますが、アートエディターがデザインしたNature Chemistry誌の表紙を見るたび、うらやましくなります。もう一つは料理です(自分の作ったものが食べられるのも、有機化学です!)。夢見るシナリオは、レストランのデザインと経営です!

Q. 現在取り組んでいることは何ですか?そしてそれをどう展開させたいですか?

私はNature Publishing Groupでテクニカルエディターとして働いており、ウェブサイトの研究論文に機能を追加する仕事をしています。論文のHTMLとPDFの中に、太字の化合物番号に化合物情報のページをリンクとして追加したり、本文の中で化学名を強調したり、無料の化学データベースにリンクさせたりしています。このようなファシリティ活用が増え続けることで、情報、特に分光データや実験手法に科学者がアクセスするやり方が改善されることを期待しています。

Q.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

モーベインという染料を発見し、商品化したウィリアム・パーキンと夕食を共にするのは面白いでしょう。有機化学についてさほど多くが知られておらず、産業界にとっては非常に重要だった時代の化学者です。ウィリアム・フォックス=タルボットヨハネス・フェルメールも誘ってみましょうか。顔料の化学や写真技術の知識が、芸術や商業のベンチャーにとって非常に重要だった時代に、自分が過ごせていたらと常々思っています。

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

研究室での最後の実験は鮮明に覚えています。それは博士課程における最後の実験でもあり、まさに昨年の12月のことでした。全合成の最終生成物1 mg を精製しようとしていました。ピペットカラムとNMRマシンを見つめ15分間ナーバスになり、さらにその数分後、正しく化合物を作れていたことが分かりました。 とても幸せな(そして神経をすり減らした)一日でした。

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

難しいです。音楽は、自分の気分に合わせて聴けるような、「ミックステープ」式のコンピレーションアルバムを作らねばならないでしょう。スティービー・ワンダーマーヴィン・ゲイをきっと含めると思います。

本は、トレイシー・シュヴァリエが書く歴史小説か、罪深くも楽しいハリー・ポッターのボックス全集を持っていくでしょう。数時間を無駄にしてしまうでしょうが。

[amazonjs asin=”491551269X” locale=”JP” title=”ハリー・ポッターシリーズ全巻セット”]

Q.「Reactions」でインタビューしてほしい化学者と、その理由を教えてください。

スチュアート・ウォーレンです。 2001年以降に学位研究を開始した多くの人は、私と同様に、分厚い緑色の本で沢山の有機化学を学んだことでしょう。

[amazonjs asin=”0199663343″ locale=”JP” title=”Organic Chemistry”]

原文:Reactions – Laura Croft

※このインタビューは2009年9月18日に公開されました。

 

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 第49回―「超分子の電気化学的挙動を研究する」Angel Kai…
  2. 第八回 ユニークな触媒で鏡像体をつくり分けるー林民生教授
  3. 第21回 バイオインフォ-マティクスによる創薬 – …
  4. 反応化学と生命科学の融合で新たなチャレンジへ【ケムステ×Hey!…
  5. 第42回―「ナノスケールの自己集積化学」David K. Smi…
  6. 第139回―「超高速レーザを用いる光化学機構の解明」Greg S…
  7. 第143回―「単分子エレクトロニクスと化学センサーの研究」Non…
  8. 第99回―「配位子設計にもとづく研究・超分子化学」Paul Pl…

注目情報

ピックアップ記事

  1. サントリー生命科学研究者支援プログラム SunRiSE
  2. 化学の祭典!国際化学オリンピック ”53rd IChO 2021 Japan” 開幕!
  3. 幾何学の定理を活用したものづくり
  4. 洗剤を入れたアルミ缶が電車内で爆発
  5. 米国の化学系ベンチャー企業について調査結果を発表
  6. 第168回―「化学結晶学から化学結合を理解する」Guru Row教授
  7. 有機合成化学協会誌2023年6月号:環状ペプチド天然物・フロキサン分子・分子内パラジウム触媒移動機構・C(sp3)–H結合官能基化型環化反応・一置換アセチレン類
  8. 理化学機器のリユースマーケット「ZAI」
  9. ボリル化剤を無駄なく使えるsp3C–H結合ボリル化
  10. 創薬におけるモダリティの意味と具体例

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2020年11月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  

注目情報

最新記事

はじめから組み込んじゃえ!Ambiguine P の短工程合成!

Ambiguine Pの特徴的な6-5-6-7-6多環縮環骨格を、生合成を模倣したカスケード環化反応…

融合する知とともに化学の視野を広げよう!「リンダウ・ノーベル賞受賞者会議」参加者募集中!

ドイツの保養地リンダウで毎年夏に1週間程度の日程で開催される、リンダウ・ノーベル賞受賞者会議(Lin…

ダイヤモンド半導体について調査結果を発表

この程、TPCマーケティングリサーチ株式会社(本社=大阪市西区、代表取締役社長=松本竜馬)は、究極の…

有機合成化学協会誌2025年6月号:カルボラン触媒・水中有機反応・芳香族カルボン酸の位置選択的変換・C(sp2)-H官能基化・カルビン錯体

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年6月号がオンラインで公開されています。…

【日産化学 27卒】 【7/10(木)開催】START your ChemiSTORY あなたの化学をさがす 研究職限定 Chem-Talks オンライン大座談会

現役研究者18名・内定者(26卒)9名が参加!日産化学について・就職活動の進め方・研究職のキャリアに…

データ駆動型生成AIの限界に迫る!生成AIで信頼性の高い分子設計へ

第663回のスポットライトリサーチは、横浜市立大学大学院 生命医科学研究科(生命情報科学研究室)博士…

MDSのはなし 骨髄異形成症候群とそのお薬の開発状況 その2

Tshozoです。前回はMDSについての簡易な情報と歴史と原因を述べるだけで終わってしまったので…

水-有機溶媒の二液相間電子伝達により進行する人工光合成反応

第662回のスポットライトリサーチは、京都大学 大学院工学研究科 物質エネルギー化学専攻 阿部竜研究…

ケムステイブニングミキサー 2025 報告

3月26日から29日の日本化学会第105春季年会に参加されたみなさま、おつかれさまでした!運営に…

【テーマ別ショートウェビナー】今こそ変革の時!マイクロ波が拓く脱炭素時代のプロセス革新

■ウェビナー概要プロセスの脱炭素化及び効率化のキーテクノロジーである”マイクロ波…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP