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試薬

トリメチルアルミニウム trimethylalminum

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トリメチルアルミニウムは炭素・水素・アルミニウムからなる化合物。融点15度・沸点125度。常温液体の物質。水や空気に対して不安定であり自然発火性であり、不活性気体雰囲気下では取り扱うことができます。

 

ベンゼン溶液およびマイナス75度程度以下の低温[2]においては、多くがトリメチルアルミニウムの二量体として存在します。この二量体分子に見られるメチル橋かけ結合は、三中心二電子結合のひとつであり、炭素原子は5方向に結合の手をのばしていることになります[3]。

 

このようなメチル橋かけ結合は、同族の元素であっても見られるわけではなく、トリメチルアルミニウム特有のものです。トリメチルボランB(CH3)3の場合は、ホウ素原子が小さすぎて軌道相互作用にはスペースが足りず、それゆえに二量体化しません。ただし、ホウ素原子では、ジボランのように水素橋かけ構造ならば可能です。同族であっても、高周期のガリウム・インジウム・タリウムは、アルミニウムよりもさらに金属元素として振る舞う傾向が大きいです。トリメチルガリウムGa(CH3)3・トリメチルインジウムIn(CH3)3・トリメチルタリウムTl(CH3)3ではイオン結晶の性質が強く、二量体化の寄与は見られないか、とても弱いとされます[4]。

 

トリメチルアルミニウムが単量体の場合にはアルミニウム原子がオクテット則を満たさず電子欠乏の状態にあります。二量体化することで、これが満たされます。同族の元素でなければ、メチル橋かけ結合はジメチルベリリウム[1]等でも見られます。

 

かつてはトリメチルアルミニウムそのものが有機合成の試薬としても使われていましたが、取り扱いやすいトリエチレンジアミンとの付加体(bis(trimethylaluminum)-1,4-diazabicyclo[2.2.2]octane adduct)のかたちで用いられる[5]ことも増えました。トリメチルアルミニウムはテッベ試薬の原料でもあり、ケトンやアルデヒドのアルケンへの変換に用いられます。


  • 参考文献
[1] “The structure of dimethylberyllium.” Snow AI et al. Acta. Cryst. 1951 DOI: 10.1107/S0365110X51001100

[2] “Proton Magnetic Resonance Spectrum of Aluminum Trimethyl Dimer.” Muller N et al. J. Am. Chem. Soc. 1966 DOI: 10.1021/ja01486a057

[3] “On the Crystal Structure of  Trimethylaluminum.” Vranka RG et al. J. Am. Chem. Soc. 1966 DOI: 10.1021/ja00989a008

[4] “Luminescence Phenomena and Solid-State Structures of Trimethyl- and Triethylgallium.” Mitzel NW et al. Angew. Chem. Int. Ed. 2002 DOI: 10.1002/1521-3773(20020715)

[5] “Remarkably Stable (Me3Al)2·DABCO and Stereoselective Nickel-Catalyzed AlR3 (R=Me, Et) Additions to Aldehydes.” Biswas K et al. Angew. Chem. Int. Ed. 2005 DOI: 10.1002/anie.200462569

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