[スポンサーリンク]

N

N-オキシドの合成 Synthesis of N-oxide

[スポンサーリンク]

 

 概要

窒素化合物は酸化剤と反応し、三級アミンの場合はN-オキシドを与える。

二級アミンの場合、窒素α位にプロトンがある場合にはニトロンまで酸化される。条件によってはヒドロキシアミン誘導体に導くことも可能。

ピリジンなどの複素環アミンに関しては、やや強めの条件が必要となる。この場合にはトリフルオロ過酢酸メチルトリオキソレニウム触媒などが良好な試薬となる。

 

基本文献

 

反応機構

 

反応例

 

実験手順

MeReO3触媒をもちいるニトロンの合成[1] N-oxide_2.gif

温度計、攪拌子を備えた250mL二径丸底フラスコに、アルゴン雰囲気下メチルトリオキソレニウム(0.013 g, 0.05 mmol, 0.1% mol equiv)のメタノール溶液(100mL)を調製する。 ウレア・過酸化水素複合体 (14.3 g, 152 mmol)を加えて氷冷し、ジベンジルアミン(9.7 mL, 50.7 mmol)をシリンジにて10分かけて滴下する。氷浴を取り除き、室温で攪拌する。その後メチルトリオキソレニウム(0.013 g, 0.05 mmol, 0.1% mol equiv)を、4回に分けて30分毎に加える(計0.5mol%)。その後氷冷し、チオ硫酸ナトリウム五水和物(12.6 g, 50.7 mmol)を20分にわたり加えて過剰量の過酸化物をクエンチする。氷冷したままさらに1時間攪拌し、ヨウ化カリウム試験紙で過酸化物の残存がないことを確認する。過剰量のチオ硫酸ナトリウムをデカンテーション、メタノール洗浄(50mL)で除き、エバポレータで有機層を濃縮する。残渣にジクロロメタン(250mL)を加えてウレアをセライトろ過で除去し、ろ液を濃縮することで目的物を黄色固体として得る(10.3g, 97%)。必要であればジイソプロピルエーテルから再結晶することにより、白色固体と純品が得られる(9.6g, 89%)。

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

[1] Goti, A.; Cardona, F.; Soldaini, G. Org. Synth. 200581, 204. [PDF]

 

関連書籍

 

外部リンク

 

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. カンプス キノリン合成 Camps Quinoline Synt…
  2. 1,3-ジチアン 1,3-Dithiane
  3. ジョーンズ酸化 Jones Oxidation
  4. 史 不斉エポキシ化 Shi Asymmetric Epoxida…
  5. メルドラム酸 Meldrum’s Acid
  6. ダキン・ウェスト反応 Dakin-West Reaction
  7. 溝呂木・ヘック反応 Mizoroki-Heck Reaction…
  8. マイヤー・シュスター転位/ループ転位 Meyer-Schuste…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 貴金属触媒の活性・硫黄耐性の大幅向上に成功
  2. ダイセルによる化学を活用した新規デバイス開発
  3. JSRとはどんな会社?-1
  4. Post-Itのはなし ~吸盤ではない 2~
  5. 知られざる法科学技術の世界
  6. 分子は基板表面で「寝返り」をうつ!「一時停止」蒸着法で自発分極の制御自在
  7. SNS予想で盛り上がれ!2021年ノーベル化学賞は誰の手に?
  8. タンパク質を「みる」技術で科学のフロンティアを切り拓く!【ケムステ×Hey!Labo 糖化学ノックインインタビュー⑤】
  9. 高脂血症治療薬の開発に着手 三和化学研究所
  10. Advanced Real‐Time Process Analytics for Multistep Synthesis in Continuous Flow

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2010年11月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

注目情報

最新記事

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

圧力に依存して還元反応が進行!~シクロファン構造を活用した新機能~

第686回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院化学部門 有機化学第一研究室(鈴木孝…

第58回Vシンポ「天然物フィロソフィ2」を開催します!

第58回ケムステVシンポジウムの開催告知をさせて頂きます!今回のVシンポは、コロナ蔓延の年202…

第76回「目指すは生涯現役!ロマンを追い求めて」櫛田 創 助教

第76回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第75回「デジタル技術は化学研究を革新できるのか?」熊田佳菜子 主任研究員

第75回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第74回「理想的な医薬品原薬の製造法を目指して」細谷 昌弘 サブグループ長

第74回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第57回ケムステVシンポ「祝ノーベル化学賞!金属有機構造体–MOF」を開催します!

第57回ケムステVシンポは、北川 進 先生らの2025年ノーベル化学賞受賞を記念して…

櫛田 創 Soh Kushida

櫛田 創(くしだそう)は日本の化学者である。筑波大学 数理物質系 物質工学域・助教。専門は物理化学、…

細谷 昌弘 Masahiro HOSOYA

細谷 昌弘(ほそや まさひろ, 19xx年xx月xx日-)は、日本の創薬科学者である。塩野義製薬株式…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP