[スポンサーリンク]

odos 有機反応データベース

シュミット グリコシル化反応 Schmidt Glycosylation

[スポンサーリンク]

概要

トリクロロアセトイミデートをBF3OEt2やTBSOTf等のルイス酸で活性化し、オキソニウムカチオンを発生させてグリコシル化を行う方法。複製するトリクロロアセトアミドが中性であるため、反応液の酸性度が大きく変化しないという特長がある。類似する方法に、より安定なトリフルオロフェニルアセトイミデートを用いる方法もある。

 

基本文献

<review>

反応機構

アセトイミデートの窒素原子がルイス酸の配位により活性化されオキソカルベニウムイオンが生成する。カウンターアニオンは活性化様式や溶媒などに依存し、反応の収率や選択性に影響を及ぼす。アルコールの攻撃によりグリコシル結合が形成される(下図の場合はα体)。
schmidt_glycosidation_2.gif

反応例

Woodrosin Iの全合成[1]

schmidt_glycosidation_3.gif

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

トリクロロアセトイミデート (LG =OC(=NH)CCl3)は基本的に不安定なので、ラクトールから典型的な条件、例えばDBU, CCl3CN, DCMで合成したものをaqueous workup後そのまま用いることが多い。シリカゲルカラムで精製するにしても、NEt3を添加するなど、微量の酸によりイミデートが活性化されないように工夫が必要な場合もある。もし、より安定かつ類似のドナーが必要な場合、トリフルオロフェニルアセトイミデート(LG = OC(=NPh)CF3) の方がより安定で扱いやすい。

グリコシル化は禁水反応である。そのため、条件によってはアルコールに比べて、水の方が圧倒的に反応性が高いので加水分解が併発する場合がある。予めトルエン共沸などで残存水分を取り除いたり、粉末モレキュラーシーブスなどを共存させておくと収率が向上する場合がある。

イミデートの活性化は適当なルイス酸、触媒量のBF3OEt2やTBSOTfで達成される。TMSOTfを用い、微量の塩基が反応系中に存在する場合、アルコールがTMS化される場合もある。

微量の酸および、ルイス酸が問題になる場合は2,6-di-tert-butyl pyridineなど嵩高い塩基を添加すると良好な結果が得られる場合がある。

参考文献

[1] Furstner, A.; Jeanjean, F.; Razon, P. Angew. Chem. Int. Ed. 2002, 41, 2097. DOI: 10.1002/1521-3773(20020617)41:12<2097::AID-ANIE2097>3.0.CO;2-T.

関連反応

関連書籍

外部リンク

関連記事

  1. 奈良坂・プラサード還元 Narasaka-Prasad Redu…
  2. レフォルマトスキー反応 Reformatsky Reaction…
  3. 芳香族化合物のニトロ化 Nitration of Aromati…
  4. ジ-π-メタン転位 Di-π-methane Rearrange…
  5. モヴァッサージ脱酸素化 Movassaghi Deoxigena…
  6. オーヴァーマン転位 Overman Rearrangement
  7. ソープ・チーグラー反応 Thorpe-Ziegler React…
  8. フロインターベルク・シェーンベルク チオフェノール合成 Freu…

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. トロスト不斉アリル位アルキル化反応 Trost Asymmetric Allylic Alkylation
  2. アート オブ プロセスケミストリー : メルク社プロセス研究所での実例
  3. 2012年10大化学ニュース【前編】
  4. ブライアン・ストルツ Brian M. Stoltz
  5. ステッター反応 Stetter reaction
  6. ベンジル酸転位 Benzilic Acid Rearrangement
  7. ジオトロピー転位 dyotropic rearrangement
  8. iPhoneやiPadで化学!「デジタル化学辞典」
  9. システインから無機硫黄を取り出す酵素反応の瞬間を捉える
  10. 立体特異的アジリジン化:人名反応エポキシ化の窒素バージョン

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年9月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

注目情報

注目情報

最新記事

材料開発を効率化する、マテリアルズ・インフォマティクス人材活用のポイントと進め方

開催日:2023/06/07 申し込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化…

材料開発の変革をリードするスタートアップのデータサイエンティストとは?

開催日:2023/06/08  申し込みはこちら■開催概要MI-6はこの度シリーズAラウ…

世界で初めて有機半導体の”伝導帯バンド構造”の測定に成功!

第523回のスポットライトリサーチは、千葉大学 吉田研究室で博士課程を修了された佐藤 晴輝(さとう …

第3回「Matlantis User Conference」

株式会社Preferred Computational Chemistryは、7月21日(金)に第3…

第38回ケムステVシンポ「多様なキャリアに目を向ける:化学分野のAltac」を開催します!

本格的な夏はまだまだ先ですが、毎日かなり暖かくなってきました。皆様お変わりございませんでしょうか。…

フラノクマリン -グレープフルーツジュースと薬の飲み合わせ-

2023年2月に実施された第108回薬剤師国家試験において、スウィーティーという単語…

構造の多様性で変幻自在な色調変化を示す分子を開発!

第522回のスポットライトリサーチは、北海道大学 有機化学第一研究室(鈴木孝紀 研究室)で博士課程を…

マテリアルズ・インフォマティクス適用のためのテーマ検討の進め方とは?

開催日:2023/05/31 申し込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足の…

リングサイズで性質が変わる蛍光性芳香族ナノベルトの合成に成功

第521回のスポットライトリサーチは、名古屋大学大学院理学研究科理学専攻 物質・生命化学領域 有機化…

材料開発の変革をリードするスタートアップのプロダクト開発ポジションとは?

開催日:2023/06/01 申し込みはこちら■開催概要MI-6はこの度シリーズAラウン…

Chem-Station Twitter

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP