[スポンサーリンク]

N

ニトリルオキシドの1,3-双極子付加環化 1,3-Dipolar Cycloaddition of Nitrile Oxide

[スポンサーリンク]

 

概要

ニトリルオキシドは1,3-双極子の一種であり、不飽和結合と[3+2]付加環化を起こし酸化度の高い複素環化合物が得られる。一般に、ニトロンよりも反応性は高い。

 

基本文献

<review>

 

開発の歴史

1894年にWernerはオキシムに対して塩素を作用させるとクロロオキシムが生じ、ニトリルオキシドが発生することを報告した。その後、1960年に向山光昭らがニトロ化合物の脱水からニトリルオキシドを生成する方法を発見。ニトリルオキシドは不安定であり、すぐに二量化する。向山らの単離した生成物は二量化が進行したフロキサンであった。ニトリルオキシドを反応に用いる際は、親双極子として反応性の高い化合物の共存下に行うことが一般的である。

向山光昭

向山光昭

反応機構

1,3-双極子付加環化の項目を参照。

 

反応例

ニトリルオキシドとアルケンの[3+2]付加環化はイソオキサゾリンを与える。N-O結合を還元的に切断・加水分解することで、β-ヒドロキシケトンを与える。すなわち、アルドール等価体を与える反応と見なすことができる。[1]

1_3_dipolar_5.gif

Vinigrolの全合成[2]

1_3_dipolar_nitrileoxide_2.gif

Coleophomonoe Dの合成[3]

1_3_dipolar_nitrileoxide_3.gif

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

※ ニトリルオキシドは不安定であるため、特別な場合を除き単離は難しい。対応するオキシムを次亜塩素酸やクロラミン-Tなどで酸化することで用時調製する。ニトロアルカンの脱水反応によっても生成できる。

 

参考文献

[1] (a) Bode, J. W.; Carreira, E. M. J. Am. Chem. Soc. 2001, 123, 3611. DOI: 10.1021/ja0155635 (b) Curran, D. P. J. Am. Chem. Soc. 1982, 104, 4024. DOI: 10.1021/ja00378a050
[2] Maimone, T.; Shi, J.; Ashida, S.; Baran, P. S. J. Am. Chem. Soc. 2009, 131, 17066. DOI: 10.1021/ja908194b
[3] Bode, J. W.; Suzuki, K. Tetrahedron Lett. 2003, 44, 3559. doi:10.1016/S0040-4039(03)00615-4

 

関連書籍

[amazonjs asin=”4759808752″ locale=”JP” title=”ペリ環状反応―第三の有機反応機構”][amazonjs asin=”3527314393″ locale=”JP” title=”Pericyclic Reactions – A Textbook: Reactions, Applications and Theory”][amazonjs asin=”3527320881″ locale=”JP” title=”Handbook of Cyclization Reactions”][amazonjs asin=”0471280615″ locale=”JP” title=”Synthetic Applications of 1,3-Dipolar Cycloaddition Chemistry Toward Heterocycles and Natural Products (Chemistry of Heterocyclic Compounds: a Series of Monographs)”]

 

外部リンク

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. マクミラン触媒 MacMillan’s Cataly…
  2. ヨウ化サマリウム(II) Samarium(II) Iodide…
  3. コーリー・バクシ・柴田還元 Corey-Bakshi-Shiba…
  4. マイヤース 不斉アルキル化 Myers Asymmetric A…
  5. アシロイン縮合 Acyloin Condensation
  6. 過酸による求核的エポキシ化 Nucleophilic Epoxi…
  7. 森田・ベイリス・ヒルマン反応 Morita-Baylis-Hil…
  8. 福山還元反応 Fukuyama Reduction

注目情報

ピックアップ記事

  1. 【超難問】幻のインドールアルカロイドの全合成【パズル】
  2. ギース ラジカル付加 Giese Radical Addition
  3. カーボンナノチューブ薄膜のSEM画像を生成し、物性を予測するAIが開発される
  4. 最新 創薬化学 ~探索研究から開発まで~
  5. ジュリア・コシエンスキー オレフィン合成 Julia-Kocienski Olefination
  6. 初心者でも簡単!ChatGPTを用いたプログラミング
  7. 伊與木 健太 Kenta IYOKI
  8. 炭素繊維は鉄とアルミに勝るか? 番外編 ~NEDOの成果について~
  9. 有機合成化学協会誌2021年11月号:英文特集号 Special Issue in English
  10. 分子集合体がつくるポリ[n]カテナン

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2013年1月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  

注目情報

最新記事

【協和ファーマケミカル】新卒採用情報(2028年卒)

協和ファーマケミカルが求めているのは、有機合成の知識や実験経験を身につけ、活かし…

【協和ファーマケミカル】“作れる”だけでは終わらない。原薬を安定供給へつなぐプロセス開発の研究

協和ファーマケミカルの研究開発を理解するうえで欠かせないシンボリックな化合物が、プロスタグランジン類…

協和ファーマケミカル株式会社ってどんな会社?

協和ファーマケミカルは、キリングループの一員として、トラネキサム酸やプロスタグラ…

より良い候補を、より速く。——研究者のためのAI解析環境「Multi-Sigma-Alchemy」正式リリース

「データはある。でもAIに渡せない」——その壁を壊す多くの研究現場に、こういう状況があります…

水分子のふしぎ — 四面体性が生む水の特異性 —

「水」はとても身近な液体ですが、化学の目で見ると驚くほど多くの「ふしぎ」をもっています。この記事では…

超微細孔 MOF 内の Cu(I) サイトによる強い水素吸着とその同位体効果の応用

Long らは、超微細孔質の金属–有機構造体 (MOF) に π 塩基性の配位不飽和金属サイトを導入…

【医農薬・合成香料・水素・バイオエタノール・バイオベース有機酸】 各アプリケーションに特化した膜分離ソリューションをご紹介 ~省エネ・CO2排出削減・品質改良~

■概要製造現場では、分離・濃縮工程が製造コストや品質を大きく左右します。蒸留や吸着など十…

求職者の「内定6社でも決めきれない理由」を深掘りし、密な連携でベストマッチングを支援

化学業界における転職の難しさは、「同じ職種であっても、分野が異なれば即戦力になりづらい点」にあります…

キョウチクトウ科植物に含有される多量体型アルカロイドの完全化学合成に成功―ビスロイコノチンAおよびボウシゴニンBの世界初の全合成―

第714回のスポットライトリサーチは、千葉大学大学院医学薬学府(天然物創薬化学研究室)博士課程後期3…

科学捜査! ― 見えない指紋を化学の力で光らせよ ―

近年、分子構造に起因した発光メカニズムの解明が進み、単一分子で複数の機能を有する分子の研究が活発化し…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP