[スポンサーリンク]

海外化学者インタビュー

第53回―「革命的な有機触媒を開発する」Ben List教授

[スポンサーリンク]

第53回の海外化学者インタビューは、ベンジャミン・リスト教授です。ドイツのMülheim an der Ruhrにあるマックスプランク石炭研究所の均一系触媒部門に所属し、触媒に関する新概念を開拓しています。それではインタビューをどうぞ。

Q. あなたが化学者になった理由は?

12歳の時、物質が何でできているかさえわかれば、「生命・宇宙・万物」が理解できると考えました。化学はこのビッグクエスチョンに対する答えを与えてくれましたが、幸運にも、面白い爆発物を作るレシピも与えてくれました。

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

私には才能がないでしょうが、芸術家は魅力的な選択肢だと思います。芸術家が創る芸術、化学者が創る分子、どちらも全く新しいものです。

Q. 概して化学者はどのように世界に貢献する事ができますか?

新しいものを生み出す点で、化学は生物学や物理学とは異なります。新しい分子や反応の発明によって、化学は世界を変えてきました。抗生物質、核分裂の発見、ポリメラーゼ連鎖反応、分解、アンモニアの工業的合成などを考えてみましょう。これらの成果は、世界に大きな影響を与えました。

化学者にとって次なる大きな挑戦は、地球のエネルギー問題を解決することです。

Q.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

化学的直感の達人であり、有機合成の天才であるエミール・フィッシャーです。なぜ彼が、どのようにして彼が時代を先取りしていたのだろう、と思います。

Hermann Emil Fischer(1859-1919)写真:Wikipedia

 

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

2004年に比較的小さなグループを持っていましたが、ある分子がよい触媒になると確信しました。イースターの日曜日でした。誰も研究室にいなかったので、自分で作りました。Grignard反応とアセタール化が含まれていました。残念なことに、触媒はほとんど活性がありませんでした…。

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

B.K.S.アイアンガーの「ヨガに光を」、バッハの「マタイ受難曲」です。

[amazonjs asin=”0805210318″ locale=”JP” title=”Light on Yoga: The Bible of Modern Yoga…”][amazonjs asin=”B07J35T8BW” locale=”JP” title=”バッハ:マタイ受難曲”]

原文:Reactions – Ben List

※このインタビューは2008年2月29日に公開されました。

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 第122回―「分子軌道反応論の教科書を綴る」Ian Flemin…
  2. 第11回 触媒から生命へー金井求教授
  3. 第43回―「均質ナノ粒子の合成と生命医学・触媒への応用」Taeg…
  4. 第59回「希土類科学の楽しさを広めたい」長谷川靖哉 教授
  5. 第16回 結晶から結晶への化学変換 – Miguel…
  6. 第74回―「生体模倣型化学の追究」Ronald Breslow教…
  7. 第17回 音楽好き化学学生が選んだ道… Joshua…
  8. 第三回 北原武教授ー化学と生物の融合、ものつくり

注目情報

ピックアップ記事

  1. 牛糞からプラスチック原料 水素とベンゼン、北大が成功
  2. 環境省、04年版「化学物質ファクトシート」作成
  3. シュガーとアルカロイドの全合成研究
  4. 第67回―「特異な構造・結合を示すランタニド/アクチニド錯体の合成」Polly Arnold教授
  5. 2017年の有機ELディスプレイ世界市場は11年比6.6倍の2兆186億円。
  6. 炭素をつなげる王道反応:アルドール反応 (4)
  7. リン–リン単結合を有する化合物のアルケンに対する1,2-付加反応
  8. メルドラム酸:Meldrum’s Acid
  9. トリプトファン選択的なタンパク質修飾反応の開発
  10. 未踏の構造に魅せられて―ゲルセモキソニンの全合成

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2020年2月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
242526272829  

注目情報

最新記事

【日産化学 27卒】 【7/10(木)開催】START your ChemiSTORY あなたの化学をさがす 研究職限定 Chem-Talks オンライン大座談会

現役研究者18名・内定者(26卒)9名が参加!日産化学について・就職活動の進め方・研究職のキャリアに…

データ駆動型生成AIの限界に迫る!生成AIで信頼性の高い分子設計へ

第663回のスポットライトリサーチは、横浜市立大学大学院 生命医科学研究科(生命情報科学研究室)博士…

MDSのはなし 骨髄異形成症候群とそのお薬の開発状況 その2

Tshozoです。前回はMDSについての簡易な情報と歴史と原因を述べるだけで終わってしまったので…

水-有機溶媒の二液相間電子伝達により進行する人工光合成反応

第662回のスポットライトリサーチは、京都大学 大学院工学研究科 物質エネルギー化学専攻 阿部竜研究…

ケムステイブニングミキサー 2025 報告

3月26日から29日の日本化学会第105春季年会に参加されたみなさま、おつかれさまでした!運営に…

【テーマ別ショートウェビナー】今こそ変革の時!マイクロ波が拓く脱炭素時代のプロセス革新

■ウェビナー概要プロセスの脱炭素化及び効率化のキーテクノロジーである”マイクロ波…

予期せぬパラジウム移動を経る環化反応でベンゾヘテロールを作る

1,2-Pd移動を含む予期せぬ連続反応として進行することがわかり、高収率で生成物が得られた。 合…

【27卒】太陽HD研究開発 1day仕事体験

太陽HDでの研究開発職を体感してみませんか?私たちの研究活動についてより近くで体験していただく場…

熱がダメなら光当てれば?Lugdunomycinの全合成

光化学を駆使した、天然物Lugdunomycinの全合成が報告された。紫外光照射による異性化でイソベ…

第59回有機反応若手の会

開催概要有機反応若手の会は、全国の有機化学を研究する大学院生を中心とした若手研究…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP