[スポンサーリンク]

H

ハウザー・クラウス環形成反応 Hauser-Kraus Annulation

[スポンサーリンク]

概要

フタリドアニオンとα,β-不飽和カルボニル化合物から、マイケル反応ディークマン縮合の連続過程を経てナフタレンヒドロキノンを合成する反応。ポリケチド系化合物の合成に汎用される手法である。

ベンジル位にスルホンを置換した基質で行うとHauser環化、シアニドを置換した基質で行うとKraus環化となる。後者のほうが立体障害が小さいため、収率が良くなる傾向がある。

フタリドの代わりにo-メチル安息香酸エステルを用いる場合はStaunton-Weireb環化と呼ぶ。こちらは酸化度の低いナフトール生成物が得られる。

基本文献

<review>

反応機構

Hauser_Kraus_2

反応例

ホモフタリドを用いる反応[1]

Hauser_Kraus_3

5環性テトラサイクリン誘導体の全合成[2]

Hauser_Kraus_4

参考文献

  1. Tamura, Y.; Sasho, M.; Nakagawa, K.; Tsugoshi, T.; Kita, Y. J. Org. Chem. 1984, 49, 473. DOI: 10.1021/jo00177a017
  2. Charest, M. G.; Lerner, C. D.; Brubaker, J. D.; Siegel, D.; Myers, A. G. Science 2005, 308, 395. DOI:10.1126/science.1109755

関連リンク

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. [6π]光環化 [6π]Photocyclization
  2. 不均一系接触水素化 Heterogeneous Hydrogen…
  3. カストロ・ステファンス カップリング Castro-Stephe…
  4. ディールス・アルダー反応 Diels-Alder Reactio…
  5. 衣笠反応 Kinugasa Reaction
  6. シュガフ脱離 Chugaev Elimination
  7. オーヴァーマン転位 Overman Rearrangement
  8. パール・クノール ピロール合成 Paal-Knorr Pyrro…

注目情報

ピックアップ記事

  1. ベン・クラヴァット Benjamin F. Cravatt III
  2. Nature Chemistryデビュー間近!
  3. アンドリュー・ハミルトン Andrew D. Hamilton
  4. アラインをパズルのピースのように繋げる!
  5. 熊田誠氏死去(京大名誉教授)=有機ケイ素化学の権威
  6. 化学ベンチャーが食品/医薬/化粧品業界向けに温度検知ゲル「Thermo Tracker(サーモトラッカー)」を開発
  7. 5配位ケイ素間の結合
  8. デスソース
  9. 還元的脱硫反応 Reductive Desulfurization
  10. 天才プログラマー タンメイが教えるJulia超入門

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2015年7月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

有馬温泉で鉄イオン水溶液について学んできた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉の金泉は、塩化物濃度と鉄濃度が日本の温泉の中で最も高い温泉で、黄褐色を呈する温泉です。この記…

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

圧力に依存して還元反応が進行!~シクロファン構造を活用した新機能~

第686回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院化学部門 有機化学第一研究室(鈴木孝…

第58回Vシンポ「天然物フィロソフィ2」を開催します!

第58回ケムステVシンポジウムの開催告知をさせて頂きます!今回のVシンポは、コロナ蔓延の年202…

第76回「目指すは生涯現役!ロマンを追い求めて」櫛田 創 助教

第76回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第75回「デジタル技術は化学研究を革新できるのか?」熊田佳菜子 主任研究員

第75回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第74回「理想的な医薬品原薬の製造法を目指して」細谷 昌弘 サブグループ長

第74回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第57回ケムステVシンポ「祝ノーベル化学賞!金属有機構造体–MOF」を開催します!

第57回ケムステVシンポは、北川 進 先生らの2025年ノーベル化学賞受賞を記念して…

櫛田 創 Soh Kushida

櫛田 創(くしだそう)は日本の化学者である。筑波大学 数理物質系 物質工学域・助教。専門は物理化学、…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP