[スポンサーリンク]

一般的な話題

研究者のためのCG作成術④(レンダリング編)

[スポンサーリンク]

Naphtです。研究者のためのCG作成術に続き、研究者向けのCGの作り方について紹介しようと思います。質問等は随時受け付けますのでコメント欄に記入するかご連絡下さい。

前回はVestaで作成したCifファイルをBlenderで表示させました。今回はオブジェクトの編集に重点を置いて説明しようと思います。

①-③で解説した内容も多いですが、慣れの面も多いので、気合いを入れて頑張りましょう。

 

-オブジェクトの設定とレンダリングの設定-

まず、オブジェクトのスムージング(面を滑らかにする)設定を行います。

①「A」を押して全体を選択(オブジェクトがオレンジになります)し、ToolsタブのShading内のSmoothを押してください。球体などがごつごつした状態から滑らかになります。

②カメラを右クリックし、テンキーの0を押してカメラ視点のモードにします。(キーボードによってはテンキーがない場合があります。そのような状態でカメラ視点のモードに入れないので、”必ず”外付けのテンキーを使用してください)

③カメラを「G」や「R」のショートカットを使い、適切な位置に移動してください(Gはオブジェクトの移動、Rは角度の調整 詳しくは前回の記事参照)

 

設定後は以下のような画面になります。

ー球体オブジェクトや面を別レイヤーに持っていく方法ー

オブジェクトを編集しやすいように同じ属性(球体・面など)のものをほかのレイヤーに移動させます。一つ一つ選択してレイヤーの移動をしてもよいのですが、数百個の面を選択するのは手間なため、一気に行う方法を解説します。

i)Outliner(右上のオブジェクト名が羅列しているタブ)の大きさを広げ、All scenes からSame typeに変える

ii)Shapeindexと入力し、面のみを表示させる。

iii)Outliner内で「A」をおして全選択し、右クリックプラスSelectを押す。その後、3DViewport内(左側の結晶構造が表示されているところ)で「m」を押し、適当なレイヤーに移動させる。

iv)同じことをCylinder、Atomsについても行う。

出来上がった結果はこのようになります。(今回の例ではShapeindexedfacesetの255番までを別レイヤーに移動させる操作もしています。そうしないと色違いの面を分離できません)

 

-マテリアル設定-

次に、これらの面についてマテリアル設定を行います。マテリアルについては習うより慣れた方がよいと思いますので、一つ一つのタブについては説明せずに、設定内容だけを明示します。

パラメーターを変えた場合どうなるかは視た方が早いですし、自分の手を動かしてみてください。

①適当な面を選択した状態でNode editerを開く

②Material 内のUse nodesを押す。その後、Node editer内でDelキーを押す。

③AddタブからNodeを追加し、以下のように設定する。(個々を解説するのは大変なので省略します。本画面のマテリアルについては完成品のBlenderファイルを配布致しますので、そこからコピペしましょう)

④今回はたまたまShape.231というマテリアルを設定しています。本マテリアルを全体に適用するために3D view point内で以下の操作を行います。

i)「A」を押した後Shift Qを同時押しし、Material Utils menuを表示させる

ii)Assign materialからShape.231を選択する。

そうすると、Shape.231のマテリアルがほかの面にも設定できます。これを、他の面や原子についても行います。

マテリアル設定を行った後は以下のようになります。

-レイヤーを重ねて表示する(補足)-

Visible layer内の点をShiftを押しながら左クリックし、レイヤーを選択すると重ねて表示ができます。

-レンダリング-

オブジェクト・マテリアルの設定も終わりました。ここからレンダリングを行い、画像を出力します。

CGレンダリングはパソコンの要求スペックが高いため(グラフィックボードを使用推奨 Quadoroシリーズがあればなお可)、フリーズしたりする方は高性能なパソコンを用意して下さい。

まず、Render画面を開きます。

上部にあるRenderタブ内のRenderボタンを押すとレンダリングが始まります。以下の図のように、画像出力画面になります。

レンダリング終了後、Image→Save as copyから画像を保存します。

出来上がりは上図のようになります。綺麗なmontmorilloniteですね。

結晶構造をBlenderで作るシリーズは以上で完結となります。お疲れ様でした。

①-④で使用したBlenderファイルは以下で配布致します。

mont

学術的用途に関しては自由に利用していただいて構いませんが、商用利用は禁止でお願いいたします。(VESTAなどのソフトが学術利用を想定しているため)

質問や作ってほしいものがあればコメント欄に記入するか連絡ください。

関連書籍

[amazonjs asin=”4844366378″ locale=”JP” title=”Blender標準テクニック ローポリキャラクター制作で学ぶ3DCG”][amazonjs asin=”4899774613″ locale=”JP” title=”はじめよう!作りながら楽しく覚えるBlender”]

関連リンク

Momma, K.; Izumi, F. J. Appl. Crystallogr. 2011, 44 (6), 1272–1276.DOI:10.1107/S0021889811038970

Downs, R. T.; Hall-Wallace, M.  Am. Mineral. 200388 (1), 247–250.

Merkys, A., Vaitkus, A., Butkus, J., Okulič-Kazarinas, M., Kairys, V. & Gražulis, S. Journal of Applied Crystallography. 2016, 49. 292-301. DOI:10.1107/S1600576715022396

Gražulis, S., Merkys, A., Vaitkus, A. & Okulič-Kazarinas, M. Journal of Applied Crystallography. 2015 48, 85-91. DOI:10.1107/S1600576714025904

Gražulis, S., Daškevič, A., Merkys, A., Chateigner, D., Lutterotti, L., Quirós, M., Serebryanaya, N. R., Moeck, P., Downs, R. T. & LeBail, A. Nucleic Acids Research 2012, 40, D420-D427. DOI: 10.1093/nar/gkr900

Grazulis, S., Chateigner, D., Downs, R. T., Yokochi, A. T., Quiros, M., Lutterotti, L., Manakova, E., Butkus, J., Moeck, P. & Le Bail, A. J. Appl. Cryst. 2009, 42, 726-729. DOI:10.1107/S0021889809016690

Napht

投稿者の記事一覧

企業で働く研究者。サイエンティフィックイラストレーションに興味あり。CG・TOC・Journal Coverを見るのが最近の日課

関連記事

  1. 海洋シアノバクテリアから超強力な細胞増殖阻害物質を発見!
  2. 648個の誘導体を合成!ペプチド創薬の新手法を開発
  3. ピリジンの立体装飾でアルカロイドをつくる
  4. 【22卒就活スタートイベント】Chemical Live(ケミカ…
  5. 第28回Vシンポ「電子顕微鏡で分子を見る!」を開催します!
  6. 巧みに設計されたホウ素化合物と可視光からアルキルラジカルを発生さ…
  7. 痔の薬のはなし after
  8. クラリベイト・アナリティクスが「引用栄誉賞2020」を発表!

注目情報

ピックアップ記事

  1. チャン転位(Chan Rearrangement)
  2. 【書籍】セルプロセッシング工学 (増補) –抗体医薬から再生医療まで–
  3. 乙卯研究所 研究員募集 第二弾 2022年度
  4. 化学的に覚醒剤を隠す薬物を摘発
  5. 第73回―「Nature Chemistryの編集者として」Gavin Armstrong博士
  6. アルケンとニトリルを相互交換する
  7. 【書籍】クロスカップリング反応 基礎と産業応用
  8. 太陽光変換効率10%での人工光合成を達成
  9. エイモス・B・スミス III Amos B. Smith III
  10. 再転職の成功へ: 30代女性研究者が転職ミスマッチを克服した秘訣

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2019年3月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

注目情報

最新記事

7th Compound Challengeが開催されます!【エントリー〆切:2026年03月02日】 集え、”腕に覚えあり”の合成化学者!!

メルク株式会社より全世界の合成化学者と競い合うイベント、7th Compound Challenge…

乙卯研究所【急募】 有機合成化学分野(研究テーマは自由)の研究員募集

乙卯研究所とは乙卯研究所は、1915年の設立以来、広く薬学の研究を行うことを主要事業とし、その研…

大森 建 Ken OHMORI

大森 建(おおもり けん, 1969年 02月 12日–)は、日本の有機合成化学者。東京科学大学(I…

西川俊夫 Toshio NISHIKAWA

西川俊夫(にしかわ としお、1962年6月1日-)は、日本の有機化学者である。名古屋大学大学院生命農…

市川聡 Satoshi ICHIKAWA

市川 聡(Satoshi Ichikawa, 1971年9月28日-)は、日本の有機化学者・創薬化学…

非侵襲で使えるpH計で水溶液中のpHを測ってみた!

今回は、知っているようで知らない、なんとなく分かっているようで実は測定が難しい pH計(pHセンサー…

有馬温泉で鉄イオン水溶液について学んできた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉の金泉は、塩化物濃度と鉄濃度が日本の温泉の中で最も高い温泉で、黄褐色を呈する温泉です。この記…

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

圧力に依存して還元反応が進行!~シクロファン構造を活用した新機能~

第686回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院化学部門 有機化学第一研究室(鈴木孝…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP