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ケムステしごと

企業の組織と各部署の役割

民間企業の社員であれば、組織内の部署に属して業務を行っている。多くの企業がホームページ等でその組織図を公開しているが、分かりやすい名前の部署から活動内容が見えない部署まで様々である。また、技術系社員は研究開発に特化すると思われがちだが、化学の知識を持った社員がいろいろな部署で活躍している。この記事では、技術系の目線で会社の各部署の役割について解説する。

組織図

会社によって組織図は異なるが、1、役割 2、製品名 3、地名といった三通りの部署名があり、多くの会社がそれを組み合わせて使っている。製品名が部署名の場合には、その中に製造や営業、開発の部署が組み込まれていて、地名が部署名の場合には、営業エリアや工業の拠点によって地名で部署を分けていることが多い。この記事では、どこの化学企業でもあるような下記の役割で分けた部署ごとに解説していく。もちろん、筆者の主観に基づく紹介であり、個々の会社によって事情は異なる。

開発部:新しい製品を開発する部署である。この部署は大学の研究室と似ているため、多くの理系学生がこの部署に興味を持って就活に挑む。研究員はそれぞれ担当の製品を持ち日々開発を行っている。研究の段階も10年先を見据えた基礎研究から顧客から今求められている市場投入目前の開発までと様々である。

下記、この開発部との違いに着眼点を置いて紹介する。

開発と180度異なる部署

総務部:会社や社員に関わるモノの管理を行う部署である。具体的には、建物やオフィスの物品、社員の制服などを管理している。

法務部:法的な問題を司る部署である。ビジネスを行っていくうえで取引先と契約を結ぶことは重要であり、法律を遵守しつつ自社が不利にならないようにしなくてはならない。開発を行う中で、他社や大学と共同研究を行うことがあるが、その際には秘密保持契約、共同研究契約を結ぶ、その際に契約内容をチェックするのがこの法務部の一つの仕事である。企業間やり取りとそれに関わる法律を熟知していなくてはならない。

人事部:社員に関する仕事を行う。だいたい会社に就職する際に初めて会うのが人事部の方であり、説明会や面接が大きな仕事である。これ以外にも社員への面談をなどを通して、上司以外の視点から各社員のキャリア形成を支援する仕事を行っている。面接という短い時間の中で、相手について見極める必要がある。

面接のポイントは、企業により様々で過去の事例をもとに人物を選択している。

経理部:商品の売り買いや出張精算でのお金の管理が大きな仕事である。出張精算では細かい申請に頭を抱えることも多いが、それは税のルールに則って管理しないといけないからである。その会社でのお金に関するルールを熟知しているエクスパートである。

IT部:個々のパソコンやサーバーの管理を行う。上記の部と関連して、勤怠管理や経理などを専門のソフトウェアで行っている場合が多いが、ビジネスに支障がないよう目を光らせている。研究で便利なフリーソフトを勝手にインストールできず不便に感じることもあるが、情報漏洩は現代においてクリティカルな事故であるため、各人のPCは厳重に管理されている。

それぞれの専門性が高いため化学とは無関係と言える。しかしながら、どの部署でもこれらすべての部署にお世話になることがあり個々の専門性を尊重し協力する必要がある。

製品と向き合う部署

製造部:製造部では効率よくかつ事故のないように製品を製造することが大きなミッションである。研究段階では製造スケールが小さいため問題ない試薬・反応でも、製造のスケールでは危険性が高く、製造方法を変えることもある。このように製造というラボを超えたスケールの仕事になるため、化学に加えてケミカルエンジニアリングの知識も必要とする部署である。

品質保証部:製造品が規定の品質(純度や性能)を有しているかどうか調べる部署である。具体的には製品ごとに証明書を発行して顧客に品質保証を行ったり、不良品が出たらその原因を突き止める。原料が少しでも変わる(製造者、原料の原料、生産工場の違いなど)と製品も変わることがあり同じ品質をずっと保つことは難しい。そのため化学の中でも分析に関する知識を必要とする。開発よりも厳格で、分析に使う機器や試薬もまた品質が保証されてなければならない。

購買部:原料を購入する部署である。原料サプライヤーの選定や価格交渉など原料を安定的に供給することがミッションである。開発とも製造とも関連する部署で、開発品の原料が高価であったり大量に入手できない場合には購買の観点から代替品の必要が出てくる。

物流部:製造した製品を客先に運ぶ部署である。化学品、特に液体は様々な容器(一斗缶、ドラム、ローリー、ケミカルタンカーなど)があり輸送量、顧客の場所などに応じて効率的な運送計画を立てる。ラベルやMSDSの管理、輸出を伴う場合にはその申請も物流部の仕事となる。さらには事故などによる漏洩のリスク対応も考慮しなくてはならない。

UN番号に基づいた容器を選択しないと輸出できない

製品の知識に加えてその部署独特の技術なノウハウが必要になってくる部署の集まりである。

開発と関連する部署

知的財産部:特許を取り扱う部署である。特許の出願を行うだけなく、自社の特許を侵害している商品を発見したり、他社の特許を侵害しないように開発品をチェックする。特許と化学の知識が必要な部署である。

生産技術部:成熟した産業では、一つの製品が長く販売される傾向にあり、その際製造プロセスを改良することで利益率を改善することができる。例えば、より効率の良い触媒を開発することで収率を向上させる研究などがこの生産技術の開発事例である。このような製造プロセスを開発する部署である。

生産安全基盤部:安全を確保するための部署である。どの企業でも安全第一を掲げているが、長きにわたって無事故を継続することは非常に難しい。そのためこの部署では事故となりうるリスクを未然に防ぎ、事故が起きた場合には二度と起きないように対策を講じる。安全な製造・開発には、化学の知識と安全の理論が必要である。

事故が起きればすべてを検証し再発防止策を外部に示さなくてはならない。

上記の部署は開発に関連し、時にはオーバーラップすることもある。そのため化学の知識が大いに生かせる部署だと言える。

会社のイメージを向上させる部署

CSR部:CSRとは Corporate Social Responsibility、企業が倫理的観点から事業活動を通じて、自主的に社会に貢献する責任のことである。例えば災害への募金や、実験教室の開催などがCSR活動の例である。このCSRを企画する部署がCSR部である・

レスポンジブルケア部:レスポンジブルケアとは製品のすべてのライフサイクルにおいて、健康・安全・環境に配慮することを経営方針のもとで公約し、自主的に環境安全対策の実行、改善をはかっていく活動のことである。具体的には廃棄物の適正管理や環境負荷の低い製品の積極的な開発などがそれにあたる。

顧客と向き合う部署

営業部:顧客とやり取りを行う部署である。最大のミッションは、商品を売ることであり、その過程の中で製品の紹介や見積書の作成、売買成立後のサポートなどを行う。製品によっては、顧客の購買部だけでなく開発部とも打ち合わせを行うため技術的な説明が必要な場合が多い。そのため製品の知識に加えて化学の知識が強みとなる。

マーケティング部:顧客とのやり取りなどを通して新しい製品への要望やその需要を絞り、新しい製品を立ち上げる部である。企業によっては営業部と同じ場合もあるが、営業部よりも新製品に重点を置いた部署である。新製品に関して技術的な説明を上層部や顧客に説明する必要があるので営業部と同様に製品と化学の知識が必要な部署である。

新事業企画部:自社にない新しいビジネスを生み出す部である。新しいビジネスとは言っても全く違う製品を作るのは難しいので自社の技術と社会のニーズを照らし合わせて、どのような新しい製品を作れば売れるかを考える。業界内外の現状や技術的な課題など全体について精通していることが強みになる。

これらの部署では、開発と密接に絡んでいて日々やり取りがある。その分だけ開発部からこれらの部に異動することも多い。しかしながら、顧客の要望(スペック、価格、納期)をくみ取る必要があり、開発とは異なる立場になる。

まとめ

多くの部署で化学の知識が必要であると言える。しかし大学で培った基礎的な知識だけでは仕事にならず、それ土台としてそれぞれの職場の仕事に対応するスキルや知識を身に着けていくことが会社の中では必要なことである。

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企業の研究員です。最近、合成の仕事が無くてストレスが溜まっています。

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