[スポンサーリンク]

一般的な話題

有機合成化学協会誌2021年4月号:共有結合・ゲル化剤・Hoveyda-Grubbs型錯体・糸状菌ジテルペノイドピロン・Teleocidin B

[スポンサーリンク]

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2021年4月号がオンライン公開されました。

新年度を迎え、みなさまいかがお過ごしでしょうか。フレッシュな新メンバーを迎えたはいいものの、筆者はドタバタの毎日を過ごしています。

有機合成化学協会誌は今月号も充実の内容です。

キーワードは、「共有結合・ゲル化剤・Hoveyda-Grubbs型錯体・糸状菌ジテルペノイドピロン・Teleocidin B」です。

今回も、会員の方ならばそれぞれの画像をクリックすればJ-STAGEを通してすべてを閲覧することが可能です。

巻頭言:三尺助走で師の頭上を飛び越せ!

今月号は、日産化学株式会社 専務理事  田中 規生 物質科学研究所長 による巻頭言です。

この4月から新しく研究を始めたひと、またそうではないけれども心新たに頑張ろうと思っているひと、ぜひ読んでください。激励されます。オープンアクセスです。

レドックス活性な高歪炭化水素:共有結合のフレキシビリティに基づくHOMO準位制御

石垣侑祐*

北海道大学大学院理学研究院化学部門

有機化学の基礎である共有結合の常識に、ごく単純な炭化水素分子を緻密に分子設計することで挑んだ最先端研究が紹介されています。「弱い」共有結合の極限はどう実証され、また、その柔らかい結合が物性をどう変えたか、新しい研究展開の幕開けを感じさせる論文です。

分子設計に基づいた有機およびアンビデキストラウスゲル化剤の創製

柘植顕彦*

九州工業大学工学研究院物質工学研究系

高吸水性ポリマーに代表される水をゲル化するヒドロゲル化剤は有名ですが、本稿では有機溶媒をゲル化する有機ゲル化剤、さらには水も低極性有機溶媒もゲル化できるアンビデキストラウスゲル化剤の分子設計に基づいた創成について、多くの写真とともに紹介されています。

生体分子への適用を指向したHoveyda-Grubbs型錯体の機能化

松尾貴史*

奈良先端科学技術大学院大学先端科学研究科物質創成科学領域

本総合論文では、著者らのオレフィンメタセシス活性を有する人工の金属酵素の開発研究と、その境界領域の研究で明らかになった課題をもとにHoveyda-Grubbs触媒を改良していくストーリがまとめられています。ぜひご一読ください。

天然物の合成生物学研究を基盤とする糸状菌ジテルペノイドピロンライブラリーの構築

浅井禎吾*

東北大学大学院薬学研究科

東北大学の浅井らのグループによる、生合成遺伝子群の再構築によるジテルペノイドピロン類の創製に関する総合論文であり、量、種類ともに実に多くの類縁体が得られている。有機合成によるダイバージェント合成も報告されており(Baranら)、比較して読むと面白い。

Redox-Relay Chain WalkingによるTeleocidin B類の全合成

 

中村斐有*、安井孝介、Phil S. Baran

Department of Chemistry, The Scripps Research Institute

第四級炭素を含む天然物を斬新な戦略で全合成しています。20世紀から21世紀の有機化学がいかに飛躍したか本論文でご確認ください。

Review de Debut

今月号のRebut de Debutは1件です。オープンアクセスなのでぜひ。

・Redox-neutral光延反応 (大阪大学大学院薬学研究科) 笠間建吾

Message from Young Principal Researcher (MyPR):有機合成化学は面白い!

今月号のMyPRは、名古屋大学大学院創薬科学研究科 布施 新一郎 教授による寄稿記事です。

布施 新一郎 教授

記事の最後にある、学生さんから教えられるという部分、とても深く共感しました。必見です。

感動の瞬間:新しさにこだわり幸運に恵まれて

今月号の感動の瞬間は、大阪大学大学院工学研究科 茶谷 直人 教授による寄稿記事です。

茶谷先生は、不活性結合活性化の大家といえる先生です。反応開発に関わる研究者以外の人にも必見の内容だと思います。オープンアクセスです。

 

これまでの紹介記事は有機合成化学協会誌 紹介記事シリーズを参照してください。

関連書籍

[amazonjs asin=”4759819320″ locale=”JP” title=”企業研究者たちの感動の瞬間: モノづくりに賭ける夢と情熱”] [amazonjs asin=”4759810803″ locale=”JP” title=”化学者たちの感動の瞬間―興奮に満ちた51の発見物語”]

Avatar photo

めぐ

投稿者の記事一覧

博士(理学)。大学教員。娘の育児に奮闘しつつも、分子の世界に思いを馳せる日々。

関連記事

  1. フロリゲンが花咲かせる新局面
  2. 「ニューモダリティと有機合成化学」 第5回公開講演会
  3. 第59回ケムステVシンポ「無機ポーラス材料が織りなす未来型機能デ…
  4. デスソース
  5. 電場を利用する効率的なアンモニア合成
  6. 特許にまつわる初歩的なあれこれ その1
  7. 21世紀に入り「世界同時多発研究」は増加傾向に
  8. 海底にレアアース資源!ランタノイドは太平洋の夢を見るか

注目情報

ピックアップ記事

  1. コーンブルム酸化 Kornblum Oxidation
  2. アスパラプチン Asparaptine
  3. 水分解 water-splitting
  4. スルホニルフルオリド
  5. 史上最も不運な化学者?
  6. 米のヒ素を除きつつ最大限に栄養を維持する炊き方が解明
  7. アルカロイドなど求核性化合物の結晶スポンジ法による解析を可能とする新規MOFの開発
  8. フラストレイティド・ルイスペア Frustrated Lewis Pair
  9. 分子内架橋ポリマーを触媒ナノリアクターへ応用する
  10. 「糖化学ノックイン」領域紹介PVを制作頂きました!

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2021年4月
月 火 水 木 金 土 日
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  

注目情報

最新記事

大学院留学してよかったこと, 悪かったこと【英語, 経済面, オーバードクターに関するお話】

海外の大学で、その大学に籍を置く大学 (院) 生として留学することは「学位留学」と呼ばれたりします。…

光前駆体法の活用によって、ヘプタセンで初の一重項分裂を観測!

第725回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院 理学研究科化学専攻 有機元素化学研究室(山田研…

【スタッフ・寄稿募集】Chem-Stationで、化学を「伝える側」になりませんか?

Chem-Station(ケムステ)は2000年に開設された国内最大の化学ポータルサイトです。大学・…

第17回大津会議―とある参加者の記録―

2026年9月28日~29日に開催された第17回大津会議についての、とある参加者の記録です。この記事…

第17回大津会議 -Otsu Conference- 2026 開催報告 ~新体制で紡ぐ「有機合成の夢」~

第17回大津会議が2026年9月28日(月)〜9月29日(火)びわ湖大津プリンスホテルにて開催されま…

有機合成化学協会誌2026年10月号:医薬品プロセス開発・σ芳香族性・含窒素複素環・メロテルペノイド二量体・高歪み化合物

有機合成化学協会が発行する「有機合成化学協会誌」2026年10月号がオンラインで公開されています。…

時代は水だ! セメントのように水と混ぜるだけで成形・硬化できる「水硬性」高分子

第724回のスポットライトリサーチは、東京科学大学物質理工学院(大塚研究室)博士前期課程2年の徳満玲…

複雑さを設計して、結晶の動きをプログラムする

第723回のスポットライトリサーチは、高知工科大学大学院工学研究科(林研究室) 博士後期課程3年の樋…

ハロゲンの力で強力な結合を切断!天然物クマリンから医薬品・機能性材料原料のクマラノン類へ

第 722 回のスポットライトリサーチは、立命館大学大学院薬学研究科薬学専攻 精密合…

観察を写真で残す!カメラ内蔵リアクタ EasyMax 102i を使ってみた

反応の温度も、攪拌(かくはん)も、滴下も、サンプリングもいまや自動で記録される時代になりました。とこ…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP