[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

基礎有機化学討論会開催中

[スポンサーリンク]

現在名古屋大学で第21回基礎有機化学討論会が開催されています。基礎有機化学討論会は構造有機化学討論会と有機反応化学討論会の2つが合併されてできた討論会です。これまではそれぞれの討論会と隔年で基礎有機化学討論会が行われていましたが、3年ほど前から完全に統合して毎年行われることになりました。筆者は実はこの学会の参加は初めてとなるのですが、今回は実行委員として参加しているため、会場設営をはじめとして討論会を滞りなく進めるために他の実行委員、学生スタッフと共に思案してきました。ちなみに、写真に写っているのは私ではなく、メイン会場、豊田講堂の照明係の学生です。


今回の参加者は550人弱。これまで200人強のシンポジウムを運営したことはありますが、この規模の学会は経験がありませんでした。前準備は大半は実行委員長の山口茂弘教授の研究室の深澤助教が行ってくれましたので(ありがとうございます!)、細かい会場設営と資料作りをおこないました。会期は三日間で現在第二日目といったところです。今回の討論会では3つの一般講演会場と、1つの特別講演会場(豊田講堂)があります。

詳細は基礎有機化学討論会のホームページをご覧になればわかると思われますが、目玉の特別講演は今回以下の3人の先生方にお願いしました。

 

special

 

本日(第二日目)はPeter Bauerle教授に加えて、野副記念奨励賞受賞者講演があります。野副記念奨励賞とは、非ベンゼノイド芳香族、いわゆるトロポノイドの化学の先駆者である野副鉄男先生の名を冠した賞で、40歳以下の構造有機化学,反応有機化学など広く基礎有機化学の分野で顕著な業績を挙げた若手研究者に与えられる賞です。これまで、松田建児(京大)、山口茂弘(名大)、磯部寛之(東北大)、平岡秀一(東大)、安倍学(広島大)などが受賞しています。

今回の受賞者は東北大学の岩本武明教授です。

nozoe

 そんな基礎有機化学討論会ですが、これまでは組織委員会を中心に次回の実行委員長を決定し、それぞれが独自に討論会運営を行っておりました。しかし今年から基礎有機化学会という学会が設立され、学会機能をもつこととなりました。今回の討論会で設立総会が行われたばかりであり、会長は大阪大学の福住俊一教授に任命されました。実際は来年度からの会員を募集しています。学生は1000円と安いので基礎有機化学討論会に参加する方はぜひ会員になってみてください(討論会は会員価格で参加することができます)。もちろんホームページでも登録でき、便利なことにクレジットカード決済もできるようです。

 ちなみに基礎有機化学学会、英語名ではなんなのでしょう。Basic ChemistryやFundamental Chemistryでは初歩的な化学の学会のようでおかしな感じです。

 答えは The Society of Physical Organic Chemistry, Japan
 
だそうです。そのままですと物理有機化学学会ですが、上記の2つよりはしっくりくるような気がします。略称はJPOC。Journal of Phisical Organic Chemistryと同じ略称になっていまいました。

 来年の基礎有機化学討論会は筑波大学となるようです。どんな内容の討論会なのかは討論会要旨集がJ-STAGEを通して公開されているので確認することができます。なかなか面白いのでぜひ皆さん参加してみてくださいね。

関連リンク

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. ICMSE International Conference o…
  2. 2014年ノーベル化学賞・物理学賞解説講演会
  3. 飲む痔の薬のはなし1 ブロメラインとビタミンE
  4. 【Spiber】新卒・中途採用情報
  5. ケムステイブニングミキサー2016へ参加しよう!
  6. 機能を持たせた紙製チップで化学テロに備える ―簡単な操作でサリン…
  7. 研究者目線からの論文読解を促す抄録フォーマット
  8. 元素ネイルワークショップー元素ネイルってなに?

注目情報

ピックアップ記事

  1. ニトロキシルラジカル酸化触媒 Nitroxylradical Oxidation Catalyst
  2. 2013年ノーベル化学賞は誰の手に?トムソンロイター版
  3. 佐治木 弘尚 Hironao Sajiki
  4. 2012年Wolf化学賞はナノケミストリーのLieber博士,Alivisatos博士に!
  5. いつも研究室で何をしているの?【一問一答】
  6. PACIFICHEM2010に参加してきました!④
  7. Process Mass Intensity, PMI(プロセス質量強度)
  8. 研究リーダーがPJを成功に導く秘訣
  9. Dead Endを回避せよ!「全合成・極限からの一手」⑤
  10. 元素に恋して: マンガで出会う不思議なelementsの世界

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2010年9月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930  

注目情報

最新記事

化粧品用シリコーン代替素材の市場について調査結果を発表

この程、TPCマーケティングリサーチ株式会社(本社=大阪市西区、代表取締役社長=松本竜馬)は、化粧品…

第54回ケムステVシンポ「構造から機能へ:ケイ素系元素ブロック材料研究の最前線」を開催します!

今年も暑くなってきましたね! さて、本記事は、第54回ケムステVシンポジウムの開催告知です! 暑さに…

有機合成化学協会誌2025年7月号:窒素ドープカーボン担持金属触媒・キュバン/クネアン・電解合成・オクタフルオロシクロペンテン・Mytilipin C

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年7月号がオンラインで公開されています。…

ルイス酸性を持つアニオン!?遷移金属触媒の新たなカウンターアニオン”BBcat”

第667回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院工学系研究科 野崎研究室 の萬代遼さんにお願いし…

解毒薬のはなし その1 イントロダクション

Tshozoです。最近、配偶者に対し市販されている自動車用化学品を長期に飲ませて半死半生の目に合…

ビル・モランディ Bill Morandi

ビル・モランディ (Bill Morandi、1983年XX月XX日–)はスイスの有機化学者である。…

《マイナビ主催》第2弾!研究者向け研究シーズの事業化を学べるプログラムの応募を受付中 ★交通費・宿泊費補助あり

2025年10月にマイナビ主催で、研究シーズの事業化を学べるプログラムを開催いたします!将来…

化粧品用マイクロプラスチックビーズ代替素材の市場について調査結果を発表

この程、TPCマーケティングリサーチ株式会社(本社=大阪市西区、代表取締役社長=松本竜馬)は、化粧品…

分子の形がもたらす”柔軟性”を利用した分子配列制御

第666回のスポットライトリサーチは、東北大学多元物質科学研究所(芥川研究室)笠原遥太郎 助教にお願…

柔粘性結晶相の特異な分子運動が、多段階の電気応答を実現する!

第665回のスポットライトリサーチは、東北大学大学院工学研究科(芥川研究室)修士2年の小野寺 希望 …

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP