[スポンサーリンク]

海外化学者インタビュー

第144回―「CO2を捕捉する多孔性金属-有機構造体の開発」Myunghyun Paik Suh教授

[スポンサーリンク]

第144回の化学者インタビューは、ミョンヒョン・パク・ソ教授です。韓国のソウル大学で化学を専攻し、有機分子や気体の貯蔵や分離に応用できる多孔性金属―有機構造体などの機能性配位高分子の研究を行っています。それではインタビューをどうぞ。

Q. あなたが化学者になった理由は?

小学生の頃から理科や数学が好きでした。勉強しているうちに、世の中のことを忘れてしまいます。難しい問題を解くことに大きな幸せを感じていました。数学者か科学者になりたいと思っていましたが、化学者を選んだのは、他の科学よりも人間の問題をより直接的に解決できると思ったからです。

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

バイオリニストです。6歳からバイオリンを始めました。優秀なヴァイオリニストとして認められ、プロになることを考えましたが、両親は音楽家になって欲しいとは思ってくれませんでした。プロのヴァイオリニストになることはありませんでしたが、今でも演奏を楽しんでいます。

Q. 現在取り組んでいることは何ですか?そしてそれをどう展開させたいですか?

産業排ガス中の二酸化炭素を選択的かつ効率的に捕集できるスマート固体材料の開発を行っています。これらの材料を産業界に応用して二酸化炭素を捕捉することで、地球温暖化問題の解決に貢献したいと考えています。

Q.あなたがもし 歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

天才であり、バイオリニストでもあるアルベルト・アインシュタインと食事をしてみたいです。彼の並外れたIQとEQの高さに魅了されています。

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

研究室での最後に行った実験は6年ほど前で、ある化合物の磁化率を学生が測定したときのことでした。彼は細心の注意を払ってサンプルを用意しなければならず、私は丸々一週間、研究室で彼とつきっきりで仕事をしました。

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

聖書と、ヴィオッティのヴァイオリン協奏曲(22番と23番)のアルバムを持って行きます。時間をかけて聖書を全部書き直すことで、私の宗教心が高まると信じています。ヴィオッティのヴァイオリン協奏曲を聴いていると、自分の感情の全てが爆発します。無人島でも、つまらない生活にはならないでしょう。

Q.「Reactions」でインタビューしてほしい化学者と、その理由を教えてください。

ジョージ・ホワイトサイズ教授 です。彼ほどのアクティブな化学者が、もし化学以外の活動を選んでいたらどうなっていたのか、興味津々です。

 

原文:Reactions – Myunghyun Paik Suh

※このインタビューは2010年7月30日に公開されました。

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. Christoph A. Schalley
  2. 第85回―「オープン・サイエンス潮流の推進」Cameron Ne…
  3. 第45回―「ナノ材料の設計と合成、デバイスの医療応用」Youna…
  4. 第三回 北原武教授ー化学と生物の融合、ものつくり
  5. 第67回「1分子レベルの酵素活性を網羅的に解析し,疾患と関わる異…
  6. 第57回―「アニオン認識の超分子化学」Phil Gale教授
  7. 第140回―「製薬企業のプロセス化学研究を追究する」Ed Gra…
  8. 第147回―「カリックスアレーンを用いる集合体の創製」Tony …

注目情報

ピックアップ記事

  1. タンパク質の構造ゆらぎに注目することでタンパク質と薬の結合親和性を評価する新手法
  2. 炭素繊維は鉄とアルミに勝るか? 2
  3. 第11回ケムステVシンポジウム「最先端精密高分子合成」を開催します!
  4. 2015年化学10大ニュース
  5. 水が促進するエポキシド開環カスケード
  6. ポットエコノミー Pot Economy
  7. 生体分子を活用した新しい人工光合成材料の開発
  8. 核酸医薬の物語3「核酸アプタマーとデコイ核酸」
  9. マンチニールの不思議な話 ~ウィリアム・ダンピアの記録から~
  10. パラジウム価格上昇中

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2021年4月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  

注目情報

最新記事

第54回ケムステVシンポ「構造から機能へ:ケイ素系元素ブロック材料研究の最前線」を開催します!

今年も暑くなってきましたね! さて、本記事は、第54回ケムステVシンポジウムの開催告知です! 暑さに…

有機合成化学協会誌2025年7月号:窒素ドープカーボン担持金属触媒・キュバン/クネアン・電解合成・オクタフルオロシクロペンテン・Mytilipin C

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年7月号がオンラインで公開されています。…

ルイス酸性を持つアニオン!?遷移金属触媒の新たなカウンターアニオン”BBcat”

第667回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院工学系研究科 野崎研究室 の萬代遼さんにお願いし…

解毒薬のはなし その1 イントロダクション

Tshozoです。最近、配偶者に対し市販されている自動車用化学品を長期に飲ませて半死半生の目に合…

ビル・モランディ Bill Morandi

ビル・モランディ (Bill Morandi、1983年XX月XX日–)はスイスの有機化学者である。…

《マイナビ主催》第2弾!研究者向け研究シーズの事業化を学べるプログラムの応募を受付中 ★交通費・宿泊費補助あり

2025年10月にマイナビ主催で、研究シーズの事業化を学べるプログラムを開催いたします!将来…

化粧品用マイクロプラスチックビーズ代替素材の市場について調査結果を発表

この程、TPCマーケティングリサーチ株式会社(本社=大阪市西区、代表取締役社長=松本竜馬)は、化粧品…

分子の形がもたらす”柔軟性”を利用した分子配列制御

第666回のスポットライトリサーチは、東北大学多元物質科学研究所(芥川研究室)笠原遥太郎 助教にお願…

柔粘性結晶相の特異な分子運動が、多段階の電気応答を実現する!

第665回のスポットライトリサーチは、東北大学大学院工学研究科(芥川研究室)修士2年の小野寺 希望 …

マーク・レビン Mark D. Levin

マーク D. レビン (Mark D. Levin、–年10月14日)は米国の有機化学者である。米国…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP